先日翻訳実務検定試験で和文独訳は合格したのに独文和訳は不合格だったので、やはり日本で社会人にならないままドイツに来てしまったために日本語能力が不足しているのだろうと思い、改めて日本語の勉強をしようと何冊かその手の本を買いました。そのうちの2冊が語彙力向上研究会の『できる人の語彙力が身につく本』と『ビジネスですぐ使える語彙力が身につく本』(知的生き方文庫)です。
『できる人の語彙力が身につく本 一目置かれる“大人の伝え方”!』(2017年7月発行)はどちらかというと古典的な教養語彙に重点があります。目次は以下の通りです。
第1章 社会人として評価される語彙力の磨き方
第2章 ビジネスで使える、知性が輝く語彙
第3章 日常会話に驚くほど深みが出る語彙
第4章 気持ち・イメージが伝わる慣用句とことわざ
第5章 うっかり間違えると恥をかく語彙
第6章 気持ちや様子がピタッと伝わる語彙
第7章 上手に使うと評価が上がる四字熟語
第1章から6章までで扱われている語彙のうち大体75%は既知のものでした。とはいえ由来まで知っていたものはそれよりも少ないですし、自分が積極的に使いこなせるものとなるともっと少なくなりますね。「辛党」の意味を勘違いしていたことに気付けたのも収穫でした(笑)。
第7章の四字熟語はこれこそ私の弱点と言えるくらいで、知っていた四字熟語はせいぜい半分くらいでした。ここで紹介されている四字熟語の中で知らなかったものを覚えるのはかなり大変そうです。もともと漢文が苦手なので、それに由来する四字熟語も実はあまり好きではないのです。四字熟語の英訳を探して、それとセットならもう少し親しみを持って覚えやすくなるかもしれませんね。
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『ビジネスですぐ使える語彙力が身につく本』(2017年10月発行)では、よく耳にするカタカナ語や経済用語、社会人として知っておきたいビジネス用語、趣のある日本語、四字熟語やことわざ・慣用句などが、使い方とともに紹介されています。
目次は以下の通りです。
第1章 仕事で評価される語彙力の養い方
第2章 今さら誰にも聞けないビジネス用語
第3章 プレゼンや商談で使うと効果的な言葉
第4章 知っておくと得するビジネス用語
第5章 時代の潮流として知っておきたい言葉
第6章 ビジネスの現場でよく使われる言葉
第7章 できる人が使っていることわざ・慣用句
第8章 決め言葉に使える四字熟語
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本書で紹介されていることわざや四字熟語は『できる人の語彙力が身につく本』と重複しているものは、ほとんどないと思います(「鬼門」は両方で取り上げられています)。だから2冊とも買う意味があると思います。
第1章から第6章までで紹介されている語彙のほとんどを知っていました。未知のものはわずかで、カタカナ語で日本独特の意味で使われている語彙(例えば「商品の画一化」という意味での「コモディティ」)あるいは省略形で使われている語彙(例えば「オワコン」や「ブレスト」)、または昔とは違う意味になっている語彙(例えば「パトロン」)などがそれに当たります。
「当たり屋」が「ヒットメーカー」の意味で使われるということには、かなりの衝撃を受けました。私が知ってる「当たり屋」の意味は「車にわざと当たって、慰謝料を脅し取る詐欺師」でしたので。なんだか隔世の感がありますね。
第7章のことわざ、第8章の四字熟語は知らないものの方が多かったです。
この本を読んでて、自分が思いのほか金融用語に強いことに気が付きました。これはきっと池井戸潤の作品をほぼ制覇したおかげなのではないかと思います。1冊や2冊読んだくらいでは身につかないかもしれませんが、10冊以上読めばよく出て来るキーワードくらいはさすがに自分の語彙として定着します。語彙を増やすのに読書という手段は、やはり有効みたいですね。
しかしながらことわざや四字熟語はどうやって身に着けていけばいいものやら皆目見当もつきません。小説などの中に使われていたとしても、一度意味を調べたくらいではまず身につかないし、次の小説を読みだす頃にはどんなことわざ・四字熟語だったか忘れているでしょうから。単語帳みたいなものを作って受験生よろしく暗記するのはいかにも不毛で退屈な感じです。なにか楽しみながらそういうのを勉強できる方法、ないでしょうかね?
とにかく、この2冊を読んで自分の弱点がどこにあるのかはっきりしたのは、大きな収穫でした。