読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

木下昌輝「宇喜多の楽土」

2022年08月27日 | か行の作家
文春文庫2021年1月 第1刷解説・宇喜多秀家の生涯 大西泰正378頁宇喜多秀家の数奇な生涯を描く歴史小説織田信長が本能寺に斃れた天正10年(1582年)に、わずか11歳で家督を継ぎ、豊臣秀吉の引き立てにより、豊臣「五大老」の一角を占めるに至り尋常ではない地位を得ます正室は前田利家の四女にして秀吉の養女であった豪姫と文句のつけようもありませんしかし、秀吉の死を境に暗転秀家の施政に対して有力家臣が徒 . . . 本文を読む
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角田光代「幸福な遊戯」

2022年06月26日 | か行の作家
角川文庫2003年11月 初版発行2021年 4月 17版発行解説・永江朗214頁「幸福な遊戯」実家と上手くいっていないサトコ、留年して二度目の大学四年生ハルオ、高卒後、同級生である立人のアパートに転がり込んできて5年が過ぎアルバイトでその日暮らしをしています立人、サトコと同じ大学の院生赤の他人、男2人女1人の3人が木造一軒家で共同生活をする話です3人で暮らす家こそが我が家、ハルオと立人こそが家族 . . . 本文を読む
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春日武彦「老いへの不安 歳を取りそこねる人たち」

2021年12月17日 | か行の作家
中公文庫2019年6月 初版発行解説・宮沢章夫246頁老いについて語ることは、幸福について考えることに重なる認知症への恐れ、歳を取りそこねるために生じる恥や勘違い、若さへの見苦しい執着一方、歳を経たがゆえの味わいとは臨床現場や文学作品のなかに、身につまされる事例や望ましい「年寄り」の姿を探ります序章 初老期と不安第一章 孤独な人第二章 鼻白む出来事第三章 老いと勘違い第四章 孤島としての老い第五章 . . . 本文を読む
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熊谷達也「翼に息吹を」

2021年09月11日 | か行の作家
角川文庫2014年 7月 初版発行解説・戸高一成 特攻、行く者と、送る者の間329頁舞台は、米軍が沖縄に上陸し、日本が勝利を望むことなど夢の彼方に消え去っていた昭和20年(1945年)の5月から終戦までの鹿児島の陸軍特攻基地知覧主人公である特攻機の整備員・須崎の目線で終戦間近の数か月が描かれます埃と油にまみれ不眠不休で働く毎日ある朝、万全の整備を施したはずの特攻機が帰還してきます搭乗員は機体の不調 . . . 本文を読む
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角田光代「愛がなんだ」

2021年04月29日 | か行の作家
角川文庫2006年2月 初版発行2020年4月 26版発行解説・島本理生212頁アラサーOLテルコの恋話です主人公のテルコ=テルちゃんは仕事も友達もそっちのけにして、友人の結婚披露宴で出会い恋に落ちたマモル=マモちゃんをいつも最優先させる生活を送っていますそんなことをしていたら社会生活に支障が出ることは明らかだし、2人の関係は明らかにテルちゃんが振り回されていて、テルちゃんも自分がマモちゃんにとっ . . . 本文を読む
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川上健一「宇宙のウインブルドン」

2020年09月21日 | か行の作家
集英社文庫1988年7月 第1刷2016年6月 第6刷344頁杉本宇宙(うちゅう)、17歳彼の野望はサーブ1本だけでウインブルドンで優勝することそのために毎日サーブの練習だけをしていますそして、ジャパンオープンで優勝、とうとうウインブルドンに出場し、並居る世界の強豪たちを次々負かしていくのでした宇宙がサーブ以外は得意ではない、という設定ならまだしもストロークもボレーも全くできない、それなのにウイン . . . 本文を読む
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川上弘美「大きな鳥にさらわれないよう」

2020年09月13日 | か行の作家
講談社文庫2019年10月 第1刷発行解説・岸本佐知子406頁第44回(2016年度)泉鏡花文学賞受賞遠い未来、衰退の危機を認めた人類は「母」のもと、それぞれの集団どうしを隔離する生活を選びます異なる集団の人間が交雑することにより、新しい遺伝子を持ち、進化する可能性がある人類の誕生に賭けたのです14編が収録されており、それぞれ物語と語り手、舞台、時間が違いますなかには緩くリンクしている話もあります . . . 本文を読む
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木下昌輝「人魚ノ肉」

2020年06月30日 | か行の作家
文春文庫2018年6月 第1刷432頁解説・島内景二八百比丘尼伝説をベースに幕末の京都を舞台に描く伝奇小説木下さんは初めて読んだ高校生直木賞受賞作「宇喜多の捨て嫁」が衝撃的でした著作もですが高校生が宇喜多を選んだのにも驚きましたねぇ続いて他の著書も読みたいと思いつつアンソロジーでは数作読んだものの機会を逃していて宇喜多からおよそ4年半が経ってしまいました本書は宇喜多に続く第二作で山田風太郎賞候補に . . . 本文を読む
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熊谷達也「七夕しぐれ」

2020年02月15日 | か行の作家
光文社文庫2009年 6月 初版1刷発行2017年10月 2刷発行解説・あさのあつこ344頁春、小学五年生の和也は県内の小さな町から憧れの仙台市に引っ越してきます隣家に住む同級生ユキヒロとナオミと友達になろうとする和也に彼らは冷たい態度を取ります二人がクラスで浮いた存在で、江戸時代から続く因習がその原因であることを知る和也でした…和也が夏の終わりにまた以前に住んでいた町に戻るまでの短 . . . 本文を読む
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門井慶喜「若桜鉄道うぐいす駅」

2019年09月30日 | か行の作家
徳間文庫2014年10月 初刷395頁鳥取県内を走る若桜鉄道、うぐいす駅昭和初期に著名な建築家が設計したとされるうぐいす駅の駅舎の保存か取り壊しかを巡る騒動を描きます取り壊して病院を建てようとする鶯村村長に対し、歴史的建築物の保存を求める元・京都大学教授周囲を巻き込んでの騒動は、村長急死に伴い、村長の孫である主人公・芹山涼太と保存派の久世静男による村長選となりさらに大事になっていきます面白くないこ . . . 本文を読む
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角田光代「坂の途中の家」

2019年04月05日 | か行の作家
朝日文庫2018年12月 第1刷発行解説・河合香織493頁     刑事裁判の補充裁判員になった理沙子まもなく3歳になる娘と夫と暮らす専業主婦です世間を騒がせた乳児虐待事件の被告人である母親をめぐる証言にふれるうち、彼女の境遇に自らを重ねていくのでした   解説の河合香織さんが書いておられるようにこの小説は一部、自分のことを書いているように感じました &n . . . 本文を読む
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神吉拓郎「私生活」

2019年01月07日 | か行の作家
  文春文庫1986年12月 第1刷解説・中村武志276頁    1983年下半期、第90回直木賞受賞作17篇から成る短篇集です  一見、何でもないようなサラリーマンの都会生活の哀愁を知的なペーソスで描く作品集どこの誰にも一枚めくれば、あやしげな私生活があるものです1篇は平均15頁ほどと短く、これといった大事件を描いているのではないけれど、読み終れば . . . 本文を読む
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角田光代「対岸の彼女」

2018年11月30日 | か行の作家
  文春文庫2007年10月 第1刷2018年 1月 第22刷解説・森絵都327頁  第132回直木賞受賞 主人公は田村小夜子、35歳5年前に勤め先での人間関係に疲れて寿退社した彼女は、以来専業主婦として暮らしてきました夫、娘、嫌味ばかりの姑日常的に小夜子に関わりのあるのはこの3人だけ外での息抜きもせず、娘の公園デビューにも躓き、最近では他者と関わる気力自体を失いかけてい . . . 本文を読む
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門井慶喜「銀河鉄道の父」

2018年05月12日 | か行の作家
  講談社2017年 9月 第1刷発行2017年12月 第3刷発行408頁    宮沢賢治は祖父の代から続く富裕な質屋に生れた家を継ぐべき長男だったが、賢治は学問の道を進み、理想を求め、創作に情熱を注いだ勤勉、優秀な商人であり、地元の熱心な篤志家でもあった父・政次郎は、この息子に対する愛情を止められない…   宮沢政次郎の伝記小説では . . . 本文を読む
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角田光代「さがしもの」

2017年12月24日 | か行の作家
  新潮文庫2008年11月 発行2015年 5月 16刷解説・岡崎武志229頁   9編の本の物語「旅する本」「だれか」「手紙」「彼と私の本棚」「不幸の種」「引き出しの奥」「さがしもの」「初バレンタイン」   どれも、本好きにはあるあるです   一番気に入ったのは「ミツザワ書店」今は作家となった男性が子供の頃に通った町の小さな本屋を訪ねます当時、店番をしていたおばあさんは既に亡く店 . . . 本文を読む
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