読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

北重人「火の闇 飴売り三左事件帖」

2023年03月23日 | か行の作家
徳間書店2009年12月 第1刷282頁連作短編集ですかつて土屋三左衛門という名の武士だった飴売りの三左顔はいかついが笑顔は天下一品腕が立ち、肝も据わっており江戸を舞台に喧嘩の仲裁から殺人事件の下手人探しまで解決していきます三左の活躍を描く「観音のお辰」「唐辛子売り宗次」「鳥笛の了五」「佛のお円」そして、最後の表題作「火の闇」で土屋三左衛門が武士を止めて飴売りになり、友の想い人であった小紋と暮らす . . . 本文を読む
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門井慶喜「江戸一新」

2023年03月18日 | か行の作家
中央公論新社2022年12月 初版発行383頁第四代将軍・徳川家綱の時代明暦3年(1657年)1月に江戸を襲った、後に「明暦の大火」と呼ばれる大火災が発生します死者、行方不明者とも世界的にも有数な惨事に立ち上がった老中・松平伊豆守信綱は、町奴・花川戸の長兵衛を斥候として使いながら江戸一新に乗り出します『家康が建てた江戸が燃え尽きた後、現在の東京へ繋がる大都市・大江戸への建て替えが始まった』の文言に . . . 本文を読む
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久世光彦「有栖川の朝」

2023年02月18日 | か行の作家
文藝春秋2005年6月 第1刷発行173頁人生は“配役”の問題だ殿様面の大部屋俳優、安間安間と、美人だけれど馬鹿で酒乱の華ちゃん2人を拾った老女“川獺のお月さん”は彼らに貴族の衣装を着せ、ニセ華族さまの結婚披露宴でひと儲けをたくらみます2003年に起きた有栖川宮事件を題材に、可笑しくて切ない人間模様を描きます久世さん、最後の小説とのことお月さんたちは . . . 本文を読む
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門井慶喜「東京、はじまる」

2023年02月11日 | か行の作家
文藝春秋2020年2月 第1刷発行423頁江戸が東京に変わる時代佐賀の下級武士から身を立てるべく学問に励み、洋行して列強諸国と日本の差に焦り、恩師ジョサイア・コンドルを蹴落としてでも日本人建築家による首都作りを目指した男・辰野金吾の一代記です金吾が設計した日本銀行本店が完成し、次は東京駅の設計を目指す金吾が同郷で同じように建築の道に進んだ曾禰に語る言葉「私たちの世代の人生というのは、ひょっとしたら . . . 本文を読む
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北重人「花晒し 北重人遺稿集」

2023年01月13日 | か行の作家
文藝春秋2012年4月 第1刷発行268頁2009年、胃がんにより62歳で逝去された北さん最後の時代小説集です「秋の蝶」「花晒し」「二つの鉢花」「稲荷繁盛記」広小路を束ねる元締めの右京が、町の人々の助けを借りながら様々なトラブルに立ち向かう姿を描きますシリーズ物の予定だったのでしょうか続きが読みたかったです「恋の柳」元武士で、塾を開いていた夫に先立たれ、寺子屋の師匠をしながら一人息子を育てている千 . . . 本文を読む
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木下昌輝「宇喜多の楽土」

2022年08月27日 | か行の作家
文春文庫2021年1月 第1刷解説・宇喜多秀家の生涯 大西泰正378頁宇喜多秀家の数奇な生涯を描く歴史小説織田信長が本能寺に斃れた天正10年(1582年)に、わずか11歳で家督を継ぎ、豊臣秀吉の引き立てにより、豊臣「五大老」の一角を占めるに至り尋常ではない地位を得ます正室は前田利家の四女にして秀吉の養女であった豪姫と文句のつけようもありませんしかし、秀吉の死を境に暗転秀家の施政に対して有力家臣が徒 . . . 本文を読む
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角田光代「幸福な遊戯」

2022年06月26日 | か行の作家
角川文庫2003年11月 初版発行2021年 4月 17版発行解説・永江朗214頁「幸福な遊戯」実家と上手くいっていないサトコ、留年して二度目の大学四年生ハルオ、高卒後、同級生である立人のアパートに転がり込んできて5年が過ぎアルバイトでその日暮らしをしています立人、サトコと同じ大学の院生赤の他人、男2人女1人の3人が木造一軒家で共同生活をする話です3人で暮らす家こそが我が家、ハルオと立人こそが家族 . . . 本文を読む
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春日武彦「老いへの不安 歳を取りそこねる人たち」

2021年12月17日 | か行の作家
中公文庫2019年6月 初版発行解説・宮沢章夫246頁老いについて語ることは、幸福について考えることに重なる認知症への恐れ、歳を取りそこねるために生じる恥や勘違い、若さへの見苦しい執着一方、歳を経たがゆえの味わいとは臨床現場や文学作品のなかに、身につまされる事例や望ましい「年寄り」の姿を探ります序章 初老期と不安第一章 孤独な人第二章 鼻白む出来事第三章 老いと勘違い第四章 孤島としての老い第五章 . . . 本文を読む
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熊谷達也「翼に息吹を」

2021年09月11日 | か行の作家
角川文庫2014年 7月 初版発行解説・戸高一成 特攻、行く者と、送る者の間329頁舞台は、米軍が沖縄に上陸し、日本が勝利を望むことなど夢の彼方に消え去っていた昭和20年(1945年)の5月から終戦までの鹿児島の陸軍特攻基地知覧主人公である特攻機の整備員・須崎の目線で終戦間近の数か月が描かれます埃と油にまみれ不眠不休で働く毎日ある朝、万全の整備を施したはずの特攻機が帰還してきます搭乗員は機体の不調 . . . 本文を読む
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角田光代「愛がなんだ」

2021年04月29日 | か行の作家
角川文庫2006年2月 初版発行2020年4月 26版発行解説・島本理生212頁アラサーOLテルコの恋話です主人公のテルコ=テルちゃんは仕事も友達もそっちのけにして、友人の結婚披露宴で出会い恋に落ちたマモル=マモちゃんをいつも最優先させる生活を送っていますそんなことをしていたら社会生活に支障が出ることは明らかだし、2人の関係は明らかにテルちゃんが振り回されていて、テルちゃんも自分がマモちゃんにとっ . . . 本文を読む
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川上健一「宇宙のウインブルドン」

2020年09月21日 | か行の作家
集英社文庫1988年7月 第1刷2016年6月 第6刷344頁杉本宇宙(うちゅう)、17歳彼の野望はサーブ1本だけでウインブルドンで優勝することそのために毎日サーブの練習だけをしていますそして、ジャパンオープンで優勝、とうとうウインブルドンに出場し、並居る世界の強豪たちを次々負かしていくのでした宇宙がサーブ以外は得意ではない、という設定ならまだしもストロークもボレーも全くできない、それなのにウイン . . . 本文を読む
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川上弘美「大きな鳥にさらわれないよう」

2020年09月13日 | か行の作家
講談社文庫2019年10月 第1刷発行解説・岸本佐知子406頁第44回(2016年度)泉鏡花文学賞受賞遠い未来、衰退の危機を認めた人類は「母」のもと、それぞれの集団どうしを隔離する生活を選びます異なる集団の人間が交雑することにより、新しい遺伝子を持ち、進化する可能性がある人類の誕生に賭けたのです14編が収録されており、それぞれ物語と語り手、舞台、時間が違いますなかには緩くリンクしている話もあります . . . 本文を読む
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木下昌輝「人魚ノ肉」

2020年06月30日 | か行の作家
文春文庫2018年6月 第1刷432頁解説・島内景二八百比丘尼伝説をベースに幕末の京都を舞台に描く伝奇小説木下さんは初めて読んだ高校生直木賞受賞作「宇喜多の捨て嫁」が衝撃的でした著作もですが高校生が宇喜多を選んだのにも驚きましたねぇ続いて他の著書も読みたいと思いつつアンソロジーでは数作読んだものの機会を逃していて宇喜多からおよそ4年半が経ってしまいました本書は宇喜多に続く第二作で山田風太郎賞候補に . . . 本文を読む
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熊谷達也「七夕しぐれ」

2020年02月15日 | か行の作家
光文社文庫2009年 6月 初版1刷発行2017年10月 2刷発行解説・あさのあつこ344頁春、小学五年生の和也は県内の小さな町から憧れの仙台市に引っ越してきます隣家に住む同級生ユキヒロとナオミと友達になろうとする和也に彼らは冷たい態度を取ります二人がクラスで浮いた存在で、江戸時代から続く因習がその原因であることを知る和也でした…和也が夏の終わりにまた以前に住んでいた町に戻るまでの短 . . . 本文を読む
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門井慶喜「若桜鉄道うぐいす駅」

2019年09月30日 | か行の作家
徳間文庫2014年10月 初刷395頁鳥取県内を走る若桜鉄道、うぐいす駅昭和初期に著名な建築家が設計したとされるうぐいす駅の駅舎の保存か取り壊しかを巡る騒動を描きます取り壊して病院を建てようとする鶯村村長に対し、歴史的建築物の保存を求める元・京都大学教授周囲を巻き込んでの騒動は、村長急死に伴い、村長の孫である主人公・芹山涼太と保存派の久世静男による村長選となりさらに大事になっていきます面白くないこ . . . 本文を読む
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