講談社文庫
2021年10月 第1刷発行
解説・瀧井朝世
388頁
高校時代に両親を交通事故で亡くしてから心を閉ざしてしまっている大学生・青山霜介
ひょんなことから水墨画の巨匠・篠田湖山に気に入られて内弟子になります
反発するのは湖山の孫、千瑛
自分は祖父に教えてもらえないのに何故?
勢いで霜介に来年の湖山賞で対決しようと提案します
生きる意味を見失っていた青年が未知の世界で切磋琢磨しながらコンクールを目指すことになります
解説にも書かれていますが、全く水墨画に縁のなかった霜介がなぜ巨匠の目に留まったのか
箸の持ち方が綺麗だったから?
千瑛の水墨画の感想が的確だったから?
正直で真面目で素直だったから?
多少の困難はあっても最後は上手くいくのだろう、千瑛とは恋愛関係に発展するのだろう、と甘い内容を想像して読み進めました
しかし、そんな単純な物語ではなく、良い意味で期待を裏切られ続け、読後感の爽やかなこと!
砥上さんご自身も水墨画を描かれ個展も開く腕前だそうです
そうでなければ小説に著せない内容で読み応え十分な力作でした
タイトルも秀逸です
YouTubeで水墨画の描き方を見ましたが、これは難しい!
意外なことに、作中、日本画の中でも水墨画は地位が低い、という件がありました
このような作品をきっかけに水墨画人気が高まると良いですね
10月21日映画公開とのこと
千瑛を演じる清原果耶さんが気になります
砥上さんは初めてでしたが、久しぶりに手応えを感じられる作家さんに会えた気がしています。
↑ エラそうに(;´∀`)
読んでから日美などで水墨画を見ると描いている様が想像されて少しだけわかった気になってます(笑)
それは私も思いました。
単行本には解説もありませんでしたし。
でも読み進むにつれ、そんなことは段々どうでも良くなってきました。
読後感はよかったですね!
夏川草介さんも当初は小説家としての力量に疑問が持たれていましたが現在に至っていますので砥上さんも期待して良いのではないかと思っています。
次作は様子を見てから後日にでも^^
YouTube見ました!
神業です。湖山師匠はもっと速いのかしら(*_*)
小説家が水墨画も書くのではなく、水墨画家が書いた小説という風に感じました。
http://blog.livedoor.jp/todo_23-br/archives/20922413.html
砥上さんは昨年『7.5グラムの奇跡』という本を出していますよ。私はさほど高く買っていないのですが、世評は高いようです。
http://blog.livedoor.jp/todo_23-br/archives/27380185.html
>YouTubeで水墨画の描き方を見ましたが
こちらを見られました?砥上さん自身が作中に出てくる春蘭と菊を描いています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZckNTyRH-Fg