うたたねこと

ちょっぴり皮肉、かつ、お気楽
うたた寝ネコが薄目で見た日常と社会

捨てられないのは

2009-12-20 14:50:09 | うたたねこと~日々雑感
何かと文句の多い私ですが、久々に「そうそう」と思える文章に出会いました。
朝日新聞土曜版(『be』ってやつ;大阪本社)の「悩みのるつぼ」という相談コーナー。 
78歳の母親が物を捨てられなくて困るという、40代主婦の悩みに回答しているのは評論家の岡田斗司夫さん。

岡田さんは相談者のお母さんが物を買い求めるのは「もっと生きたいから」、通販で商品を買うのは「そうなる可能性を買う」ということで、それを「使わないなら処分しろ」というのは、「夢を捨てろ」「これ以上生きるな」と言っている様な物と答えておられます。
実はこれ、物が捨てられない全ての人に言えることですよね。 このお母さんは高齢なので、それが一層はっきりしてくるのです。
前に「『捨てる!』技術」の「あなたにとって大事な物でも、あなたが死ねばただのゴミ」と言う言葉に反発を感じたのも、同じ理由からでしょう。
多くの人が身辺整理をしたいと思いながら物を捨てられないのは、それにまつわる自分の夢や生き方を諦められないからでしょう。 過去の自分を否定するなんて、そんな簡単に出来ないですよ。 出来るんだったらみんな悟り開けちゃってます。 どんどん捨てられるという人は、逆に大量消費、使い捨て文化に毒されてるようで心配です。

「お母さんの思いを受け止めてあげて」という、岡田さんの回答は良いと思うのですが、全面的に賛成というわけでもありません(やっぱり出たぁ~)。
足腰の弱くなった状態で、物のあふれる環境は危険で心配という、相談者の気持ちも分かります。
物が増える原因である、通販で物を買いまくるというのは、やはり消費文化に踊らされているだけで、本当の生きる希望、幸せとは程遠い気がします。 訪問販売の詐欺に掛かるお年寄りの心理と、あまり変わりないようで、その辺にも相談者の心配は有るんじゃないでしょうか? 
「『生きる』とは欲望と不安を受け入れること。無駄と混乱は当たり前」と岡田さんはおっしゃる。 片付け下手のグウタラ主婦には有り難い、心強いお言葉です。 でも、やっぱりそれだけじゃダメだろ、なるべく無駄や不安はなくして、欲望と混乱もほどほどにコントロールして、上手く付き合って行きたいと思うのも本音。

物が増える、散らかる原因はやはり物と情報をコントロールし切れていないから。
「『捨てる!』技術」以降の片付け本には、「物を捨てると生き方が変わる」と謳っているものが多いけれど、それは逆だろ、自分に合った地に足の着いた生き方を模索していく中で、物の処理も出来ていくのが本当だろ、と思う師走のこの頃です。


コメント
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