うたたねこと

ちょっぴり皮肉、かつ、お気楽
うたた寝ネコが薄目で見た日常と社会

ルンペルシュテルツヒェン(金を紡ぐこびと)

2012-06-21 19:08:43 | エコロジー(?)昔話
久々のエコロジー(?)昔話はグリム童話のルンペルシュテルツヒェン。 「金を紡ぐこびと」という題名でも知られています。 いや、日本昔話に限るなんて言ってませんけど…。

 昔ある男(多分お百姓)が、王様とお話しする機会があり、その時何を勘違いしたか「自分の娘は藁を紡いで金にできる」と大ボラを吹いてしまいました。 黄色い藁の山を見て「これが金だったら」なんて誰しも考えるのでしょうか? 冗談のつもりだったかも知れないけれど、王様はすっかり真に受けて、「娘をすぐ城によこせ、本当に藁から金が紡げたら后にしてやろう」とおっしゃいました。
 そんなこと出来るわけないし、出来なかったらどんな酷いめにあわされるか知れたものじゃない。 でも断っても大変なことになりそう。 というので、男はとりあえず娘を城に遣わします。 全く無責任な男ですね。 自分が犠牲になって娘だけでも逃がしてやろうとか思わないんでしょうか? ま、それじゃお話しが続かないんですけど。

 可哀想なのは娘さん。 藁でいっぱいの部屋に連れて行かれ、朝までに全部金に紡ぐように言い渡されますが、そんなこと出来るはずがありません。 嘆いていると、どこからか現れた一人のこびと。 なんと、自分が藁を金にしてやろうと申し出るではありませんか。 その代わり将来娘に赤ちゃんが出来た時にその子をよこせと言います。
 娘に選ぶ余裕はありません。 この場を乗り切れなければ命があるかどうかも判らないのですから、先の事なんて考えられません。 一も二もなくこびとの言い分を受け入れます。
 どんな魔法を使ったのやら、朝になると部屋いっぱいの藁はすっかり金の糸に紡がれていました。 王様は大喜びで、約束通り娘を后にしてくれました。
 その後また藁を金にしろとか言い出すんじゃないかと心配になるのですが、王様は気が済んだのか、気まぐれに試しただけで、元々お金持ちだからそれほど金に執着はないのか、それからは金を紡げといった様子はありません。 約束もちゃんと守るし、わがままそうに見えるけど、この王様意外といい人かも。 娘本人を気に入ったのかも知れません。 お后になった娘はそれなりに幸せに暮らし、やがて赤ちゃんを授かりました。

 そこに再び現れた例のこびと。 約束通り赤ちゃんをよこせと迫ります。
 その時初めて娘、いやお后はどんなに大変な約束をしてしまったか気付くのです。 何よりも、自分の命よりも大事な赤ちゃん。 それを怪しげな恐ろしげなこびとに渡すなんて…。 ためらうお后にこびとは余裕でチャンスを与えます。
 「自分の名を当てることが出来たら、赤ん坊を連れて行くのは許してやろう。」
 「名前」というのは正体、本質ということでしょうね。 それがわかれば対処のしようもある。 お后はそれに賭けます。 彼女は成長しているのです。 もう無力な小娘ではありません。 知恵や権力も手に入れている。 その力をフルに使って国中に人を遣わし、こびとの名前を探らせます。
 運良く期限ギリギリにこびとの名前を知ることが出来ました。 本人が得意になって歌っているのを耳にした家来がいたのです。 ほんとバカですね。 期限が過ぎるまでじっと黙ってればいいものを。 慢心したということでしょうね。
 ルンペルシュテルツヒェンという名前を言い当てられて、悔しさに怒り狂ったこびとは我と我が身を引き裂いて死んでしまいましたとさ。

で、これのどこがエコロジーと関係あるかって?
うーん、私も以前はあまり関係ないかと思っていました。 ローンとかサラ金とか、そういう経済面なら関係ありそうですが。 甘い言葉で負債を背負わせて、将来の稼ぎをむしり取るやり方に。
でも現在のために未来を危うくする、そんな環境問題が目の前にあるではないですか。
そう、原発再稼働のことです。 「国民の生活を守る」なんて、親切ごかしのこびとの言い草とそっくりだよ。
名前ー正体・本質ーを知られたこびとが怒りのあまり我が身を引き裂くなんて、実際には起こるはずありません。 それが出来たのはこびとが人間にはない異常な力を持っていたから、つまり並はずれた力ゆえに身を滅ばしたと言えるでしょう。

それを原発に当てはめると……こっ、怖~!! 

 




コメント
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