山梨の花を探して、楽しんで

山梨の豊かな自然に育まれている植物、特にその季節に咲く花について書いてます。

ミヤマカタバミ、コミヤマカタバミ、オオヤマカタバミ

2023-04-15 20:38:41 | 似てる花の見分け方
スミレもそろそろひと段落。
スミレのこともあって近くの山の下のほうをウロウロしていたらカタバミの花に出会いました。
ひとつは前から花を見たかったオオヤマカタバミです。
山梨県絶滅危惧二類ですが環境省でも二類。全国的に希少な花のようです。
このカタバミは葉っぱに特徴があるのでわかりやすいです。身近で咲いているところが低い標高でしかも林道が開通する前に咲くのでなかなか会えませんでした。


今回は二ヶ所で咲きかけの花に会えてラッキーでした。
もう少し標高の高い場所も知っているので来週くらいに見にいってみようかと思ってます。

さて今日の本題はこちらです。違う山で撮ったものです。
素人の考察なのでよくご存知の方はスルーしてください。




ミヤマカタバミかコミヤマカタバミか?
しかもミヤマカタバミにはカントウミヤマカタバミもあります。

手元の「山に咲く花 旧版」を読むと図鑑特有の差別ポイントがわかりにくい表記でした。
→ 以降は私の感想です。

ミヤマ      葉柄、葉の裏、花茎に密に毛。花は白色。根茎が太い。
カントウ   ほとんどミヤマ。葉裏の毛が少ない →   こんな定性的な表現では区別しにくいです。
              →  本の写真は高尾山のもの、よく見ている中央部がかなりへこんでスリムに葉。これは見分け方になるの?
コミヤマ  葉裏、ときに表にも毛がある。  →  葉柄や花茎は? 
             葉の角が丸い
             花は白色、ときに脈が淡紅色を帯びる   
             写真の説明に   「花の基部に黄色の斑が入る」の記載あり

このコミヤマの花の特徴がわかりやすいのでこれで見分けられると思ってしまうのですが、
ミヤマの写真の説明に、
花弁は白色、ときに紫色のすじがある   →  脈とは違う??  紫と薄い紅色の違い?   
写真を見ると基部が少し黄色く見えるんです。
結構  微妙ですね。まあどこにも「コ」とつけた感じないですね。

カントウは昨日富士山まわりで見かけました。区別しやすい葉の形でした。


残り2つ差別ポイントが明確に表記されている「日本の野生植物」旧版   を見てみました。
◯根茎の太さ      これは採取しないと無理ですね。
◯基部が古い葉柄密集していればミヤマ、そうでないならコ。
◯小葉の角   円形がコ、鈍端ならミヤマ。ミッキーマウスだとコですね。

またそれぞれの説明を読むと毛に違いがあるようで、
葉柄、花茎、葉の裏面に密に軟毛ありがミヤマ、
コは葉柄は細毛がないかまばらで葉は表や裏に軟毛が散出  とありました。
花の大きさが違うとも。→  これは区別が難しい。
毛の違いはわかりやすそうですね。特に葉柄は。
苞葉の位置は花茎の真ん中より少し上で違いなし。

カントウではないですが葉の形だけでいけば
上がコミヤマで下がミヤマに見えます。また葉柄の毛もそんな感じです。
もう花は無くなりましたが葉は繁っているので両方とも訪れて確認しようと思います。


              
             
              
              

アオイを見分けたい

2023-01-23 15:41:00 | 似てる花の見分け方
今日のお題はこの写真、アオイです。

葵(あおい)は検索したらタチアオイなどの華やかな花がでてきますが今の時期見かけるのはこの地味なアオイです。
ウマノスズクサ科カンアオイ属。
カンアオイは寒葵と書いて、寒い時に葉がある常緑の植物のようです。
このアオイ一族はほかに緑や花がないせいか、今の時期から春にかけてよく見かけます。私の印象では南部の山にいくと多い気がしています。ただどこで見分けるのかよく分からず、冬に咲いているのを見かけたらすべてカンアオイと決めつけていました。

やっと重い腰をあげて今回調べてみました。
毎回参考にさせていただいている「山梨の植物誌」では以下の種がありました。
◯カンアオイ
◯カギガタアオイ
◯ランヨウアオイ
◯フタバアオイ
◯ウスバサイシン
山梨には5種類しかないなんて思ったよりも少なかったです。
「山に咲く花」のカンアオイ属の分布をみるとタマノカンアオイなどもあるのかもしれません。
このうち、カギガタアオイは山梨と静岡にしかないとされる絶滅危惧種です。環境省IB類。
図鑑見てもこの種は地域限定種が多かったです。

まず知ってるものを除きました。
ウスバサイシンは毎年春にスミレと同じように柔らかな葉が出てきます。常緑ではないのですね。
ヒメギフチョウの食草としても知られていて近くの山にいっぱいあるのでよく見ています。
フタバアオイはあの徳川家の家紋三つ葉葵のもとになったものといわれ、有名なのは水戸黄門さまの印籠のデザインですね。私は高尾山ではじめてみたときは赤い傘のような花が咲いてました。これも常緑ではないそうです。
残り3つです。

日本の野生植物には花柱の比較図があり、容易に見分けられそうでした。
また見分け方の最初が花柱の上部が2裂するかどうかでした。
そもそもカギガタアオイのカギガタは柱頭の形なんだそうです。
が花柱ってどこに???
大きな花の奥にあって確かめるには花を裂く必要がありそうです。
今回はそこまでしてません。ルーぺで外から拡大して見分けられるか次回やってみようと思いました。

違いを見つけようとよく特徴を読むと
ランヨウアオイは葉の基部の両側が耳状に張り出し    とあり、掲載されている写真をみると確かに特徴があります。
お題の写真の葉はそんな特徴はありません。
残すは2つですが、カギガタの花期は9-10月、カンアオイは10ー2月なのでカンアオイで良さそうです。
ちなみにランヨウは3ー5月、タマノカンアオイは4月なので、「冬に花が咲いていたらカンアオイ」は偶然ですが的を得ていたようです。面白いものです。

最後までおつきあいいただきありがとうございます。
間違いも多いと思ってますのでご指摘いただけると助かります。





山梨で出会えるイワカガミの仲間たち

2022-06-15 15:19:00 | 似てる花の見分け方
最近、インスタで知らないイワカガミがアップされている。
といっても新規ではなく、私が知らないだけなのですが、、、

まずは山梨の植物誌を調べてみたら、
◯イワカガミ
◯コイワカガミ
◯ヒメイワカガミ
◯ヤマイワカガミ
の四種でした。
ふつうにあるのがイワカガミで、
コイワカガミが稀で富士山五合目と書かれています。

イワカガミ以外でよく見かけるのは白い花のヤマイワカガミで人によってはカイイワカガミと呼ぶ方もいらっしゃいます。
日本では地域が限定される種のようです。
私が見た範囲だと南部、御坂、南アルプス前衛は源氏山〜櫛形山そして高谷山あたりまで。そして帯那山まわりかな。

さて聞いたこともない種もあったのでYlistを見てみました。
標準とあるものは12種でした。

イワカガミ(別名コイワカガミ)
  シロバナイワカガミ
  ヒメコイワカガミ
オオイワカガミ
  シロバナオオイワカガミ
ナガバイワカガミ
  シロバナナガバイワカガミ
ヒメイワカガミ
  タカネヒメイワカガミ
  アカバナヒメイワカガミ
シマイワウチワ(別名シマイワカガミ)
ミヤマイワウチワ(別名ミヤマイワカガミ)

花の色が白だからヤマイワカガミ、葉っぱがギザギザだからヤマイワカガミとしか覚えてなかったです。
なんていい加減だったのでしょう。
中でも興味を持ったのは山梨にもあるとされているヒメイワカガミです。
アカバナがあるということや高山系のタカネもあります。
山梨の植物誌には南ア、八ヶ岳、富士山、関山、桂川の各地の山地にあり「少ない」と書かれています。

図鑑で特徴を調べてみると、
改訂版原色牧野植物大図鑑(H8)には、イワカガミのほかオオ、ヒメ、ヤマの4種が載せられていて
イワカガミとの違いを探すと、
◯オオ  高さが10〜15cm(イワは10cm位)、北海道南部から中部地方日本海側に生息。
           花の裂片の先が細かく裂ける。
◯ヒメ  本州中部や北部の山地。葉縁に2〜5個の三角形の粗い鋸歯あり。
          花色はふつう紅紫色だが、関東北部では白花が多い。
          (→ アカバナヒメはどの種にあたるのだろうか?)
◯ヤマ  山梨から東海地方の山地。葉縁に比較的大きな三角形の鋸歯あり。

この記述からは葉縁の鋸歯の数や大きさで見分けるのがよさそうだ。オオは山梨にはなしで。

もうひとつ 日本の野生植物(1982年)でも見てみた。
こちらは大きくはイワカガミ、ヒメイワカガミ、ヤマイワカガミの3つとされ、
イワカガミの項にコ、オオ
ヒメイワカガミの項にアカバナ、ヒメコイワ
が書かれている。この図鑑は差異を明確に載せているので項中の記述と合わせて以下にまとめてみました。

イワカガミ
   葉の先は円形または広い三角形で頂端は鋸歯と同程度に短くとがる。
   オオ   北海道南部から東北地方や中部地方の日本海側に生息。葉が円形大型長さ幅とも8〜12cm(イワ 3〜6cm)
   コ      高山にあり、鋸歯があまりとがらないもの。イワとの区別は難しい。

ヒメイワカガミ
   葉は卵円形で長さ1〜5cm、幅0.7〜4cm、1〜5対の鋸歯あり。(→ 葉がかなり小さい!)
   関東地方、中部地方、紀伊半島の主に太平洋側に生息。花は白色または淡紅紫色。
   アカバナ  関東地方南部、中部地方の淡紅紫色のもの(関東北部は白色)
   ヒメコ     屋久島上部に生息。葉が小さく、鋸歯の少ないもの。

ヤマイワカガミ
  葉は卵形で長さ3.5〜7cm、幅3〜6cm、8〜18対の鋸歯。(葉の大きさはイワカガミとほぼ同じ)
  山梨、静岡、愛知などの東海地方に生息。花は白色、わずかに紅色を帯びるものあり。
  
違いがわりとわかったので、これまで見てきたイワカガミの仲間を見比べてみたいと思います。
とくにヒメと呼べるもの見ていたのかが気になります。
わかり次第  追記します。

とりあえず6月に甲武信ヶ岳で見かけたもの(咲き始め)の写真をアップしておきます。
葉の大きさや鋸歯の感じからイワカガミかなと思います。





  

ケマンの仲間たち

2022-05-31 18:05:00 | 似てる花の見分け方
ムラサキケマン、キケマンはよく知られた春の山の花だと思います。
よく見かけるせいか これまであまりに気にかけていませんでした。
興味を持ち始めたのはナガミノツルキケマンに気づいてからですね。

山梨県植物誌@1982によればケマンの仲間は、
ムラサキケマン
ツルキケマン     稀       
ヤマキケマン     稀
ミヤマキケマン   普通
キケマン            普通

この仲間は葉や実によって見分けることができます。

ムラサキケマン


キケマン

実がついた写真を探してます(^_^;)

ミヤマキケマン
こちらも探索中!

ヤマキケマン
先日やっと撮影できました。今回のまとめをしようと思ったきっかけです。

花の色が薄く、葉のつき方が独特です。ぐにゃぐにゃした実も撮れました。
昔は稀だったけど絶滅危惧種ではありません。

残りの2つはともに山梨県レッドデータブック2018では情報不足とされています。
ツルキケマン   環境省絶滅危惧種IB類
   山梨県植物誌では雲取山や富士山となっている。長野県で見かけましたが花色以外の詳細は確認できてません。
   レッドデータブック2005でも情報不足なので山梨でも見つけてみたいものです。

ナガミノツルキケマン  環境省準絶滅危惧種
   レッドデータブック2005では絶滅危惧IA類。秋に見つけて名前を調べてびっくりした花。
   ただその後あちこちで見かけているのでうまく生息情報が集まっていなかったのかも。
   見かけるたびに何度も種を確認しているがツルキケマンではなかった。


残りはツルキケマンのみ。
夏の終わりから、黄色いケマン身逃さないようにしましょう。






ヒョウタンボクの仲間 確認編

2022-05-25 21:22:00 | 似てる花の見分け方
家の周りの田んぼに水が入りはじめ、田植えもはじまっています。
田んぼの花はまだですが、少しすれば散歩のときに確認してみようと思います。

さて冬の間に見分け方を調べてましたが、あくまでも写真を見て検討していたので、実際に現物を見て推定が正しかったかどうか確認してきました。
最初はヒョウタンボクの仲間、アラゲヒョウタンボクと同定しました。




花は終わっていて、葉と茎そして実の様子が確認できました。

平凡社の「日本の野生植物  草木編」に書かれている特長がよくあてはまりました。
特に葉の縁に長毛というのがよく確認できました。この本には実について書かれてなかったので
保育社の植物図鑑を見てみました。
アラゲヒョウタンボクではなく、オオバヒョウタンボクで載っていました。オオバというのは江戸時代に最初に名づけられた時の名前だそうです。実が苞に包まれた図があり、一致していました。

確認できてほっとしました。
ほかにもいっぱい撮影しているムグラなどを順次検証していこうと思います。