キ上の空論

小説もどきや日常などの雑文・覚え書きです。

それいゆ(レトヒュ短文)

2023年07月02日 | 二次創作・短文
 太陽柱は現れるタイミングをはかって、救いの啓示であるかのように演出をしたことがあると、史書にある。もちろん、そんな記述のある本を教団は野放しにしていなかったし、ガルグ゠マクの書庫で読むことは今以て不可能だ。それはともかく。
 言わば、太陽柱のような存在感。そこにいないのに、確かにいる。
 輝ける者。
 救いたる者。
 今、目の前にいる人を、その場におらずして心安からしめている者。
 かわいい生徒のひとりだった。過去形にかかるのは生徒の方だったはずだ。女神の達観の影響だったかもしれないが、手に届く者はみんなかわいいと思っていた。事実愛されるべき人であり、実際に会ったらかわいいと思い直すのだ。それでも今は、違う感情が表に出ないことを念じてしまっている。
 ただのにんげんはこんなにも心が狭い。けれど、目の前の人には覚られたくはない。大変目敏い人なのだけれど。
 自分が淹れる紅茶の選択を間違えた、たったそれだけの理由だと、自分に刷り込む直すのに、変に時間がかかっていた。


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タイトルは決まってたのに前回から二年以上開いてたよ……
次は『宮内卿にインドラの矢』です。猫に小判なのか、虎に翼なのか
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