キ上の空論

小説もどきや日常などの雑文・覚え書きです。

アンヴァル茶話

2020年11月21日 | 二次創作・短文
 人の数いるところには噂話がつきもののようで、これまでも「何を考えているかわからない」と言われているところに三度出くわした。
 実は影武者がいる。いるんだったら会ってみたい。
 実は人間じゃない。それはまだ確かめているところだ。
 実は監視されている。残念ながらそういうわけじゃない。
 実は不死身だ。多分、今ならちょっとしたうっかりでも死ぬと思う。
 よくもまあ本人が通りすがるかも知れないところでそんな話をするものだ、と感心はするものの、実害はないのでそのまま謎の人になっている。
 どんな風に思うものなのか、どう対処するのが普通なのか。
 戦場で敵の配置と構成を理解したあとの、戦術より難しい。
 案外、わかりやすそうなものほど難しい。自分でどうにかすれば良いと安易に走りがちだが、味方がいるならそれだけで済むことはまずない。
 その後のある味方を考えから外すと痛い目に遭うことがある。
 戦時なら印象と勢いでやり過ごすこともできたのだが、元々転地転戦を常とした傭兵稼業、あらゆる意味で長期戦には慣れていない。
 戦略担当としての意見を聞きたいと言えば、「放っておけば良いのでは」と顔に書いてあるとおりのことを言ってから、こちらの意図を察して時間をとってくれる。ありがたい同居人だ。同じ敵と戦う便宜上、居候となっているのだが、厄介と言ったらあまり良い反応じゃなかったし、大家さんと呼んだら首を振られたので、言い方としては同居人に落ち着いた。
 目的を果たすまでは、その後の身の振り方を考えている場合じゃない。
 とは言え、現在進行形の噂話が障害にならないなら、何かに使えないかとも思うのだ。でもその方法は知らないから、レクチャー求む。
 良い茶葉で入れたお茶と、甘くない菓子とを用意して。
 結局のところ、噂話もこうして消費されてしまうのだ。そういう平和もいいんじゃないかと思っている。
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