「ニュース女子」制作も子会社
沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設に反対している人は「金で雇われている」などとデマを放送して批判が殺到している東京の地上波テレビ局・MXテレビの最大のスポンサーが、デマを流した番組「ニュース女子」を提供した化粧品・健康食品製造販売のDHC(ディーエイチシー、吉田嘉明会長)で、同局の売り上げの1~2割超にのぼっていることが19日、赤旗紙の調べで明らかになりました。
MXテレビの有価証券報告書によると2015年(16年3月決算)での総売り上げは164億7千万円。主な相手先ではDHCが23億5900万円(14・3%)で1位、2位のテレビ通販会社・インターワールド11億1100万円(6・7%)を大きく引き離す大口スポンサーになっています。
10年には総売り上げ75億300万円で、大口先は1位が東京都8億5700万円(11・4%)、2位DHC8億2400万円(11%)、3位インターワールド8億600万円(10・8%)と横並びの状態でした。
ところが11年にDHCが18億300万円(19・2%)へと急激に増やし、それ以降不動の1位に。もはやDHC抜きのMXテレビはありえないほど、いびつな収益構造になっています。
極右論客登場番組作り続け
DHCの吉田会長は14年3月、当時みんなの党代表だった渡辺喜美氏(維新の会参院議員)に8億円を提供したと暴露して大問題になりました。
吉田氏は同年、CSチャンネル「シアター・テレビジョン」を子会社とし、翌15年には「DHCシアター」と改称。「日本最高クラスの知性を結集した日本国民のテレビ局」(通販顧客向けパンフレット)とうたい、極右論客を登場させる番組を作り続けています。
このうちの一つである「ニュース女子」が、MXテレビの時間枠をDHCが買いとる形で地上波でも放映されています。
MXテレビは自主的に定めている「放送番組の基準」で「すべての人の人権を守り、人格を尊重する。個人、団体の名誉、信用を傷つけない。差別・偏見の解消に努め、あらゆる立場の弱者、少数者の意見に配慮する」としています。
2日放送の「ニュース女子」のデマ、差別表現がこれに抵触することは明らかであり、MXテレビは訂正、取り消しの放送、再発防止に取り組むべきだと批判があがっています。
訂正・謝罪求め抗議
― 東京MX本社前で市民
MXテレビが2日放送した番組「ニュース女子」はデマで沖縄への偏見をあおるものだとして市民60人が19日、東京都千代田区の同局本社前で抗議行動をしました。
(写真)東京MXテレビ本社前で抗議する市民
=19日、東京都千代田区
「TOKYOMXさん 良心の放送局に戻って」という横断幕、「人間の尊厳をかけた闘いを笑うな」「公共の電波でデマ」など思い思いのプラカードをかかげ市民がリレートークしました。
「私のまわりでも『MXが放送したのだから』とデマを信じ込んだ人がいる。これは放送被害だ」(都内の女性)、「『日当』をもらって反対運動をしている人などいない。ちょっと考えればわかるようなデマがまかり通る世の中は怖い」(男性)と次々訴えました。
抗議を呼び掛けたフリーの編集者・川名真理さんが、
▽ウソの放送内容の訂正と謝罪を放送で行うこと
▽沖縄の基地建設に反対する人への偏見をあおったことへの謝罪を行うこと
―を求める申し入れ書を手渡し、MX側は「確かに受け取りました。後日、広報から回答します」と答えました。