衆院財務金融委員会は18日、金融機関で10年以上出し入れがなく、持ち主も現れない「休眠預金」を民間団体の「公益活動」に使えるようにする法案を、自民、公明、民進、維新などの賛成多数で可決しました。日本共産党は反対し、宮本徹議員が討論に立ちました。要旨を紹介します。
貧困な社会保障制度の下、NPO(非営利法人)やNGO(非政府組織)の活動は重要性を高めており、わが党は、資金や活動場所の提供も含めて、あらゆる側面から支援することを訴えてきました。しかし、本法案には、主に二つの点で問題があると考えます。
第一は、預金者である国民の理解です。
年間約500億円もの休眠預金を利用することになりますが、活用先は3分野を限定的に列挙しているだけです。「社会の諸課題を解決するための革新的な手法の開発を促進するための成果」に着目した助成等を選択すると基本理念に書き込んでおり、以前から地道におこなっている活動への援助がおろそかになる懸念があります。
市民運動の中から休眠預金で給付制奨学金をつくろうという声もあがりました。ところが法案提案者から「個人に支給する活動」を否定する答弁がありました。国民の理解と合意のもとで進めるため、十分な審議と参考人聴取など広く国民の意見を聞き反映させる努力を行うべきです。
もう一つは、不正を排除する制度設計が不十分な点です。資金の配分方法を決める人が受け取り活用する側とならないようにする仕組みや、支援する活動内容等を公開し第三者の監視機能を生かすための規定が盛り込まれていません。多くの制度設計が成立後の内閣府令や運用に委ねられており、不十分だと言わざるをえません。
本制度に期待する人たちに応えるためにも多くの国民の声を反映し国民の理解を得た制度を創設すべきです。