反原発、脱原発の老舗、日本共産党。
ただ、原発反対と言っているだけではありません。
日本共産党の、「即時原発ゼロ」へ向けての提案をごらんください。
―「即時原発ゼロ」の実現
―原発再稼働をやめる。大飯原発の停止。すべての原発を、停止させたまま廃炉へ
―青森県六ケ所村の再処理施設を閉鎖。プルトニウム循環方式から即時撤退
―原発の輸出政策の中止。輸出の禁止
1.再生可能エネルギー(自然エネルギー)の最大限の普及と低エネルギー社会への取り組みを本格化させる
―(再生可能エネルギーに移るまでの)緊急避難として、火力での電力確保は必要
―その時期は5~10年程度とし、その間に、再生可能エネルギーと低エネルギー社会への移行をはかる
しばらくは、国民的な節電の努力とともに、火力による電力確保が必要になります。しかし、温室効果ガスによる地球温暖化を抑止する、という人類全体の重要課題もあります。
そのため、火力による電力確保はあくまで過渡的な緊急避難措置(5~10年程度)とします。その間の原発分のエネルギーは、再生可能エネルギーと低エネルギー社会に移っていく事とで確保します。その後は、さらなる火力発電の削減へと取り組みを強めます。
再生可能エネルギーの導入可能量は、全国で20億kW以上(環境省などの試算)になり、原発54基の発電能力の約40倍です。この大きな可能性を現実にする本格的な取り組みを開始すべきです。
ドイツは、2000年に固定価格買い取り制度を導入しましたが、再生可能エネルギーによる発電量が、2011年には導入前(1999年)の4.1倍に拡大し、原発による発電量を上回りました。
北海道電力では、風力発電の買い取り枠20万kWに対して、発電を希望する事業者の応募は187万kWに達しました。(約9倍)
東北電力でも30万kWの買い取り枠に対して、約11倍の324万kWの応募がありました。
送電線の容量不足などの電力会社側の「都合」で、こうした巨大な力が生かされていないのです。いまこそ、再生可能エネルギーの普及のためにあらゆる手立てを尽くすべきです。
―電力体制の改革に直ちに着手する
―発送電の分離など、再生可能エネルギーの大規模な普及にふさわしい体制に
再生可能エネルギーの普及を大規模にすすめていくと、大中小の発電所が全国各地に無数に誕生することになります。そのため、発送電分離などの電力供給体制の改革にただちに着手する必要があります。
「電力自由化」の名のもとに、すべてを規制緩和と市場原理・競争にゆだねるというやり方では、再生可能エネルギーの普及はすすみません。固定価格買い取り制度や送電事業者への接続義務などのルールを強化します。
再生可能エネルギーによる発電事業に、官・民問わず、大・中・小の幅広い事業者、市民が参入できるようにします。
公共性が高く、地域独占になる送電事業は、公的管理の下に置く電力体制にする改革をすすめます。
再生可能エネルギーであっても、その導入にあたっては、環境基準の設定、環境アセスメントなどを実施します。
2.電気料金問題―原発こそ「高コスト」であり、再生可能エネルギーと低エネルギー社会への取り組みが広がるほどコストは下がる
政府や電力業界は、「電力不足」という脅しが通用しなくなったら、「原発ゼロで電気料金が2倍になる」などと言い出しています。この原発擁護論も二重三重のごまかしです。
―「原発ゼロで料金2倍」は根拠のない過大宣伝
政府が公表した2030年の電気料金は、試算した機関によって大きく異なります。「2倍になる」というのは、地球環境産業技術研究機構(RITE)の試算です。
それも「現在月額1万円の家庭の電気料金が、2030年には原発ゼロだと2万円、原発20~25%だと1万8000円」というものです。(原発が20~25%でも18,000円です!20,000÷18,000は2でしょうか?私は、1.11くらいのような気がしますが・・・)
ですから、本来、RITEの試算は、「原発ゼロでも全原発を稼働させても電気料金はあまり変わらない」という試算だったのです。
それとは別の、国立環境研究所の試算では、原発ゼロでも、20~25%でも、2030年の料金は月額1万4000円と変わりません。
―高すぎる天然ガス買い取り価格をあらためる
日本の火力発電のコストは、確かに高すぎます。それはなぜか。天然ガスを高い価格で買い続けているからです。日本の電力会社は、天然ガス価格を日本向け原油平均価格にリンクする方式で契約しています。
そのため、国際的には天然ガス価格が、シェールガスの開発で低下する傾向にあるにもかかわらず、高騰している原油価格に引きずられた不当に高い価格で天然ガスを買い取っているのです。
東京電力は、自分の子会社(TEPCOトレーディング)と三菱商事が設立した貿易会社から天然ガスを購入していますが、その価格は、対米販売価格の9倍(!)にもなっています。天然ガスの買い取り価格は、国際的な価格水準を反映するように改めるべきです。
―原発こそ本質的に「高コスト」
「原発は安い」というのもまやかしです。原発こそ本質的に「高コスト」であることは、今回の原発事故でも明らかになったことです。いったん大事故が起きれば、その賠償や除染、事故を起こした原発の管理などに莫大な費用がかかります。さらに、使用済み核燃料を長期間保管し続けることなど、将来の大きなコストがあります。
―再生可能エネルギーの価格は普及がすすめば低下する
「再生可能エネルギーが高い」という議論も正しくありません。もちろん初期投資には、ある程度の費用がかかりますが、大規模な普及と技術開発が進めば、そのコストは大幅に低下していきます。ドイツでは、太陽光発電の価格は、2004~2012年の間に4割程度へと大幅に下り、風力でも継続的に引き下げられ10年間で8割程度になりました。
日本でも2020年には風力発電コスト(陸上)が1kW時当たり7~11円となり、現在の火力発電コストを下回る可能性があるとされています(「NEDO再生可能エネルギー技術白書」2010年7月より)。
―「値上げ」の脅しは通用しない
国民は、電気料金の問題も冷静に見ています。政府の行った「討論型世論調査」では、「コスト高になっても、再生エネルギーや省エネルギーを進めるべきだ」は、賛成が50.4%に対して、反対が9.6%。世論調査でも、「原発の割合をゼロ%にするために電気料金の追加負担」を容認する人が55%となっています(「朝日」8月28日付)。当面のコスト増はあっても、再生可能エネルギーの大規模な普及をすすめるべきだという意見が多数であり、政府や財界の「値上げ」の脅しは通用していません。
3.原発から再生エネルギーへの大転換こそ、日本経済の持続可能な成長を実現する
政府や財界は、原発をなくせば日本経済が衰退するぞ!と大騒ぎします。しかし、原発から再生可能エネルギーへの大転換こそ、日本経済と産業の新たな成長と発展の可能性をきりひらくものです。
「フクシマ」以後、ドイツ、イタリア、スイスをはじめ原発から撤退する流れが大きくなり、世界一の原発大国のフランスでさえ縮小の方向です。一方で、再生可能エネルギーの開発と実用化は、今後、世界で爆発的に広がります。
原発にしがみつくのか、再生可能エネルギーの、産業としての可能性に挑戦するのか、どちらが日本経済の成長と発展につながる大局的な道なのか?答えは明白ではないでしょうか。
―エネルギー自給率を向上させ、内需主導の日本経済に転換していく大きなチャンス
再生可能エネルギーの本格的導入は、エネルギーの国産化をすすめることになります。「資源のない国」からの転換になり、日本経済の構造を大きく転換するチャンスです。エネルギー自給率を現在の4%から数十%に引き上げる可能性をもったチャレンジです。
―新しい産業の振興、地域経済の活性化、中小企業への仕事づくりでも大きな可能性
再生可能エネルギーによる発電は、地域密着型の新産業であり、地域経済への波及効果も大きくなります。エネルギーの「地産地消」、地域や自然環境の実情にあった小型の発電装置の開発、製造、維持・管理などは、中小企業への仕事を増やすことになります。雇用も、原発よりはるかに大きな可能性をもっています。ドイツでは、原発関連の雇用は3万人にたいして、再生可能エネルギー関係の雇用は38万人となっています。
再生可能エネルギーは、これからも様々な分野で技術開発、実用化がすすめられる産業であり、技術革新(イノベーション)の大きな起爆剤になります。日本の中小企業の高い技術力が生かされる分野も多くあります。風力発電は、2万点もの部品を組み立てるもので、自動車産業などで培われた日本のモノづくりの力が生かされます。
低エネルギー社会への取り組みでも、住宅の断熱リフォームをはじめ新しい需要を生み出し、技術革新をすすめることが期待できます。
―浪費型社会から、人間らしく生活し、働くことができる社会に
日本の社会、経済のあり方も問われています。地球環境の面でも、浪費型社会をいつまでも続けることはできません。
同時に、低エネルギー社会は、決して「我慢の社会」ではありません。「大量生産、大量消費、大量廃棄」、「24時間型社会」などのライフスタイルを見直し、異常な長時間労働を抜本的に是正して、人間らしく生活し、働くことができる社会に転換することで、低エネルギー社会へと進んでいくことが必要です。
4.大事故の科学的検証、廃炉と使用済み核燃料の処理などのための研究、技術開発と、強力な権限をもった規制機関の確立
―事故原因の徹底究明に責任ある体制を
福島事故の原因究明と大事故にいたるすべてのプロセスを解明する科学的検証をしっかりおこないます。東電や経産省から独立し、情報隠しなどの妨害を排除できる、調査権限を持った第三者機関と研究機関を確立します。国会に特別委員会を設置し、証人や参考人を招致し、事実を明らかにしていきます。
―「原発ゼロの日本」に必要な研究と技術開発をすすめる
「原発ゼロ」を実現した後も、原発の廃炉、使用済み核燃料の管理・処理など原発関連の「負の遺産」の後始末を安全に実施しなければなりません。
使用済み核燃料の処分の手段・方法については、専門家の英知を結集して研究・開発をすすめます。その結論が出るまでは、政府の責任で厳重な管理をおこないます。
こうした事業に取り組むためにも、原子力に関する基礎研究とこの仕事を担う専門家の確保・育成をすすめます。
―強力な権限をもった規制機関の確立をはかる
原発の廃炉にいたるプロセスの管理、使用済み核燃料の管理などを目的とし、従来の原発推進勢力から独立し、強力な権限をもった規制機関を確立します。
長くなりましたが、このようにはっきりと具体的な展望をもって、即時原発ゼロ!を主張している反原発の老舗、日本共産党を、2013年も、よろしくお願いします!