日本防衛とは無縁 安保問うたたかい
今年2月に公表された京都・経ケ岬基地への米軍Xバンドレーダー配備計画。それは、単に自衛隊基地内に移動式レーダー一式を設置するだけ、という問題ではありません。
「京都に米軍基地はいらない」の闘い党派超え拡大
米兵や軍属など約160人が配備され、自衛隊基地に隣接する5ヘクタールもの土地を追加提供することになります。数十人の地権者が有する土地です。近畿全体でも、兵庫・六甲山頂の通信基地が1992年に返還されて以来の米軍専用基地を許すのか。「京都に米軍基地はいらない」のたたかいが党派を超えて広がっています。
米軍に絶対的な管理権
いったん基地が置かれれば、日米安保条約第6条に基づく日米地位協定により、米軍に絶対的な管理権が与えられます。米兵が犯罪を犯しても、基地内に逃げ込めば身柄拘束は困難になります。基地内で土壌汚染や火災が発生しても、日本の当局は立ち入りを拒まれます。沖縄での事例が、それを示しています。京都で米軍基地を許さないたたかいは、安保そのものを問うたたかいです。
防衛省は、Xバンドレーダー配備は日本に飛来する弾道ミサイルの対処に有効だと説明します。しかし、経ケ岬基地には、すでに弾道ミサイル対処用に改修した自衛隊の警戒監視レーダーが存在します。これとの関係はどうなのか。何も説明がありません。
米長官の証言
米ミサイル防衛局のシリング長官が、日本への2基目のレーダー配備は、「(米本国の)国土防衛のため」(5月9日、米上院軍事委員会)と証言しています。
北朝鮮が米本土に向けて弾道ミサイルを撃てば、日本上空ではなく北極海を通過します。従って、Xバンドレーダーは日本とは真反対に飛んでいる弾道ミサイルを追尾することになるのです。日本防衛とは無縁です。
Xバンドレーダー 主に北朝鮮の弾道ミサイルの探知・追尾を行います。8~12ギガヘルツの「Xバンド」と呼ばれる帯域を使用。高出力の電波を発します。日本ではすでに車力基地(青森県つがる市)に配備。今年2月、2基目の配備先として経ケ岬が挙げられました。
重大事実隠したまま
日本共産党の井上哲士参院議員
私が6月25日に提出した質問主意書では、Xバンドレーダーの電磁波による障害など、健康や環境への影響に対する住民の不安があるのに、米国で実施されている環境影響評価(アセスメント)を日本で実施しないのは不合理だと指摘しました。しかし、答弁書(7月2日)では、国内法(環境影響評価法)の「対象外」だとしてはねつけました。
米軍は、Xバンドレーダーが環境に与える影響について、米国内では法律上の縛りから事実を明らかにしていますが、日本では法律に従う義務がなく、重大な事実も隠したままで済まそうとしています。米軍自身が定めている「日本環境管理基準」(JEGS)が、どう適用されるのかも定かではありません。問題の根底にある日米安保条約や地位協定を厳しく問わなければなりません。