北海道函館市は3日、青森県大間町に建設中の大間原発(電源開発)について、国と電源開発に対し建設差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こしました。工藤寿樹市長が直接訴状を提出し、弁護団、市議会の正副議長と各会派の代表が同行しました。自治体による原発建設差し止め訴訟は全国初。
提訴後の会見で工藤市長は、「これまで再三、地域として大間原発の凍結を要請してきたが、受け入れてもらえなかった。大間原発の問題点、その進め方の乱暴さ、地域の思いを訴えて、理解を得ていきたい」と語りました。
会見に同席した日本共産党の紺谷克孝市議は「市長の英断を歓迎します。全面的に支援していきたい」と語りました。
大間原発は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜてつくるMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物)を全炉心で使用する世界初のフルMOX発電をめざす原発で、その危険性が指摘されていたにもかかわらず、2008年に建設を着工。11年の東日本大震災の影響で建設が中断されました。
函館市は対岸の大間原発から最短で23キロしか離れておらず、いったん事故が起きれば市民の生命と安全が脅かされます。そのため函館市では隣接する北斗市や七飯(ななえ)町など周辺自治体とともに国や電源開発に大間原発の無期限凍結を繰り返し要請してきました。しかし、国と電源開発は、震災から1年半後の12年10月に北海道側には一切説明せず、建設を再開しました。