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自殺 いじめが原因 - 海自「たちかぜ」訴訟 東京高裁 組織的隠ぺいを断罪

2014-04-26 | ニュース

賠償額 一審から増額

 海上自衛隊横須賀基地の護衛艦「たちかぜ」の1等海士=当時(21)=が2004年に自殺に追い込まれたのは先輩隊員(2等海曹)による暴行・恐喝などのいじめが原因として、両親が国と元上司に約1億3000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が23日、東京高裁でありました。鈴木健太裁判長はいじめと自殺の因果関係を認め、国、先輩隊員に計440万円の賠償を命じた一審横浜地裁判決を変更し、賠償額を計約7330万円に増額しました。

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(写真)亡き1等海士の遺影を胸に勝利判決をかみしめる原告の母親=23日、東京高裁前

 判決は、国による「艦内生活実態アンケート」と聞き取り文書の隠匿についても、国側が「廃棄済み」として隠匿したことを認定し、違法性を認め、国に対し、別に20万円の支払いを命じました。海自の組織的隠ぺいを断罪したものです。

 一審判決は、先輩隊員の加害行為、自殺との事実上の因果関係を認めたものの、自殺についての予見可能性がなかったとして、暴行・恐喝による損害の範囲内でしか賠償を命じませんでした。

 控訴審判決は、2等海曹の後輩隊員への暴行の事実が申告された時点で、乗員からの事情聴取などで2等海曹の行状などを調査していれば、1等海士の心身の状況を把握することができた可能性があるとして自殺の予見可能性、相当因果関係を認めました。

 原告弁護団は「国による行政文書の隠匿について、これを正面から認定し、違法性を認めたものとして評価できる」との声明を発表しました。

 秘密保護法が成立したもとで、裁判で断罪された海上自衛隊の隠ぺい体質が増幅することや、内部告発がこれまでより困難になるとの懸念が起きています。


 たちかぜ自衛官いじめ自殺事件 2004年、先輩隊員からエアガンでうたれるなどの暴行や恐喝を受けた1等海士の男性=当時(21)=が自殺しました。遺族が06年、国と先輩隊員を提訴し、横浜地裁は11年1月の判決で、いじめを「自殺の重要な原因」と認定。控訴審の東京高裁では、一審が認めなかった自殺の予見性が争点になり、いじめの実態を示す資料の隠ぺいが内部告発で明らかにされていました。

 

「息子に報告」母涙 海自いじめ認定判決
                      ― 命の重さ認められた

告発の3等海佐と握手

 「命の重さを認める判決でよかった。これで息子にちゃんと報告できます」―。2004年10月27日に21歳で自殺した海自護衛艦「たちかぜ」の1等海士の遺族は23日、自殺が先輩隊員によるいじめが原因と認めた東京高裁判決に、10年間の重みをかみしめました。


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(写真)全面勝訴の判決を勝ち取った「たちかぜ裁判」報告集会であいさつする遺族の母親(右から3人目)=23日、衆院議員会館会議室

 判決によると、03年に入隊した息子は、同年12月に横須賀基地のたちかぜ配属となりましたが、先輩隊員からガスガンで撃たれるなどのいじめを繰り返し受け、先輩隊員を名指しした遺書を残し、ホームから電車に飛び込んで自殺しました。

 判決報告集会で遺族の母親は、息子は温厚な一面、何かやりだしたら最後までやりぬく性格で、テレビでみた自衛隊の災害救助に心を動かされ、自衛隊に出入りしていた父親のすすめもあって入隊したことにふれ、「父親は自分が入隊させた責任がある、裁判で無念をはらしたいと提訴しながら中途で病死した。判決で国の責任を認めさせたと報告できます」と涙ぐみました。

 自衛隊が「廃棄した」として開示請求や裁判所の提出命令を拒んできた「艦内生活実態アンケート」。その存在を告発した3等海佐は遺族の母親と握手、笑顔で「よかったですね」とくりかえしました。

 北海道の陸上自衛隊に入隊し、敵を殺傷できる「徒手格闘訓練」の試合で息子の命を奪われた島袋勉さんは「自衛隊員も国民の一人だ、その命を軽んじられることは許されない。安倍政権がアメリカと一緒に戦争する国にしようとしているときだけに判決は重い」と評価しました。

解説

裁かれた証拠隠し

 「国側(海上自衛隊)による証拠隠し、根強い隠ぺい体質をどう突破していくか、というたたかいでした」。2006年に横浜地裁に提訴して以来、8年にわたる裁判を岡田尚原告弁護団長が振り返りました。

 海自の証拠隠しを象徴したのが「艦内生活実態アンケート」。海士長が自殺した直後に「たちかぜ」全乗組員を対象に実施した聞き取り調査には自殺といじめの因果関係、予見可能性を裏づける証言が多数含まれていました。

 提訴前にその存在を知った遺族の情報開示請求、提訴後の文書提出命令にも海自側は「存在しない」「破棄されている」と主張。しかしこの局面を変えたのが一審判決後に「アンケートは存在する」との海自3佐の内部告発でした。海自の法務担当で一審に関わった幹部です。

 海自は3佐の告発後も「3佐の証人尋問も文書の提出も必要ない」と強弁。3佐が裁判所に陳述書を提出、内容をマスコミが一斉に報道するや海自は「アンケートは存在した」と文書を提出しました。

 ある防衛事務官は高裁への陳述書で「アンケート原本」について海幕法務室に意見を求めたら「破棄するのが適当だろう」と回答され、同室の訟務専門官から「隠密裏に(破棄)実施してください」との業務メールが届いていたと海自の組織的な証拠隠しを証言しました。

 今回、国側の組織的な証拠隠しという犯罪行為は断罪されました。それは息子を自殺に追い込んだ真相と国の責任を明らかにしたいとの強い遺族の思い、自衛隊の隠ぺい体質を必ず突き崩すという弁護団の決意が海自幹部の心を動かし「勝訴」の道を切り開きました。

 防衛省は内部告発した3佐への懲戒処分手続きをただちに撤回すべきです。


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