原子力規制委員会は15日、東京電力福島第1原発の放射能汚染水対策として1~4号機周囲の地盤を凍らせる「凍土壁」(陸側遮水壁、全長約1・5キロ)で、唯一計画的に未凍結としている2、3号機の山側1カ所(約7メートル)の運用を認可しました。東電は22日にも、同箇所の凍結を始めるといいます。これで、凍土壁の一部運用を始めた昨年3月以来、全面運用されることになります。
同原発では、高濃度の放射能汚染水が滞留する建屋の地下に、地下水が流入することによって放射能汚染水が新たに発生し続けています。
東電は、汚染水の発生量を抑制するため、凍土壁のほか、敷地内の地下水くみ上げ、雨の浸透を抑える舗装などの対策をとってきました。複合的な対策により、建屋への地下水流入量は当初1日当たり約400トン規模でしたが、最近では同百数十トン程度まで減少しました。
凍土壁の最大の課題は、建屋地下に滞留する高濃度の放射能汚染水が外部に漏れないように、建屋滞留水の水位より地下水位を高く維持することです。
建屋への流入量を減らすため、地下水くみ上げを続けながら、一定の地下水位を維持するという困難な運用となります。
規制委は、凍土壁が全面凍結し建屋周囲への地下水供給が全くなくなった場合でも、建屋周囲の井戸からの地下水くみ上げを停止すれば、地下水位を維持できると見込んでいます。
同未凍結箇所は7月31日から、地下水の流速を遅くするための補助工事を始めていました。