東京電力福島第1原発事故による避難と自殺の因果関係を認めて約4900万円の損害賠償の支払いを命じた福島地裁判決(8月26日)にたいし、東電は5日、控訴を断念し、判決に服することを、福島原発被害弁護団に回答しました。
遺族側も控訴しない方針で、原発事故の避難と自殺との因果関係を初めて認めた判決が確定する見通し。
原告は、同県川俣町山木屋の渡辺はま子さんの夫・幹夫さんら。8月28日に、地裁判決に従い、謝罪と賠償を求めていました。東電は、原子力補償相談室長らが8日に原告の自宅に赴き、はま子さんの遺影に報告し、哀悼の意を表明することも回答しました。
同被害弁護団は同日、「東電の『控訴断念』に対する声明」を発表。「決断したことを踏まえ、今日なお泣き寝入りを強いられている多くの自死被害者の権利救済に真剣に取り組むことを求める」としています。
判決は、山木屋地区が計画的避難地域に設定されたため、生まれ育った地域を離れたことなど人生のなかでまれにしか経験しない強度のストレスだったと指摘。その出来事に「予期なく、かつ短期間に次々と遭遇することが余儀なくされた」「自死と本件事故との間には、相当因果関係がある」と、明確に東電の責任を断罪していました。