防衛省と高額受注契約
三菱重工業や川崎重工業、日本電気など防衛省と多額の契約をしている軍需企業に多数の自衛官が天下りしています。2015年の1年間に防衛相や各所属長が承認した「天下り」は695人にのぼることが、防衛省資料からわかりました。
防衛省が3月25日に国会に報告した「営利企業への就職の承認に関する報告」によると、15年に最も多く「天下り」を受け入れたのは三菱重工業で24人です。
三菱重工業の防衛省との契約額は1965年度から2014年度まで50年間にわたってトップでした。15年度は2位でしたが、1998億円もの契約額がありました。三菱重工業に嘱託として「天下り」した1等空佐(退職時)は、その職務内容を「防衛省関連業務に関する指導及び助言」としています。また、「エンジン設計等に関する技術的アドバイス業務」「潜水艦の全般指揮及び操艦業務」などを「天下り」後の職務内容としている人もいます。
15年度に防衛省との契約額がトップだったのは川崎重工業です。川崎重工業が契約額トップになるのははじめてで、P1哨戒機20機の「まとめ買い」(2073億円)が大きな影響を与えました。川崎重工業には6人の自衛官が「天下り」しています。
15年度に契約額3位だったIHIには直接、本体企業への「天下り」はありません。しかし、子会社であるIHIジェットサービスに4人、IHIビジネスサポートに3人「天下り」するなど、IHIグループに10人が「天下り」しています。
関連会社を含めれば三菱重工業の39人をはじめ、日本電気に32人、東芝17人など高額契約企業への自衛隊員の「天下り」はさらに増えます。(清水渡)