参院外交防衛委 井上議員反対表明
トルコとアラブ首長国連邦(UAE)への原発輸出を可能にする原子力協定が17日の参院外交防衛委員会で、自民、公明、民主の各党の賛成多数で承認されました。日本共産党の井上哲士議員は討論で、「世界有数の地震国トルコへの原発輸出は、日本国民もトルコ国民も望んでおらず、国際的道義に反する」と反対を表明しました。みんな、維新、結いの各党も反対しました。
両政府との協定は、原発輸出を柱に据えた安倍政権の成長戦略の下、首相によるトップセールスで昨年に実現。日本の国際原発ビジネス参入に大きく道を開くものです。
両協定の衆参両院の国会審議はわずか約13時間。参院参考人質疑では、脱原発を望む国内世論も、原発に過半数が反対するトルコ世論も無視して輸出を進める日本政府に批判が集中しました。中東の情勢不安や地震の危険性に対する懸念の指摘も出される中、福島事故の教訓も顧みないままひた走る姿勢が鮮明になりました。
井上氏は、トルコとの協定では政府間合意によりウラン濃縮など核兵器への転用につながる危険もあると指摘。「事故を起こした日本が率先して売り込むのは無責任そのもので、いまやるべきは脱原発を世界に発信する先頭に立つことだ」と強調しました。
日本共産党の井上哲士議員は15日の参院外交防衛委員会で、トルコへの原発輸出に道を開く原子力協定について、トルコ国内の反対世論も地震の危険も無視しており、福島原発事故の教訓を生かしていないと批判しました。
トルコ世論も反対
井上氏は、輸出先となる現地のシノップ市長が原発反対を掲げて当選し、トルコ国内の大手世論調査(13年4月)でも63%が建設反対の意思を示していることを指摘しました。
外務省の上村司中東アフリカ局長は「世論調査は承知していない」とする一方、岸田文雄外相は「トルコの政府機関や国会議員から反対は限定的と聞いている」と答えました。
井上氏は、世論調査は無視し、推進派からの情報だけを根拠に「おおむね支持されている」と推進するのは「あまりにご都合主義だ」と批判。トルコが日本と同様、四つのプレート境界に位置し、1000人以上の死者を出す大地震が繰り返し起きていることをあげ、「『地震大国』に原発建設などできない」と指摘しました。
岸田外相は、トルコ政府による国内危険分類を示してシノップ地域の「リスクは低い」と答えました。井上氏は東日本、阪神の両大震災も確率が低いとされた地域で発生したと指摘。住民意見の軽視や地震の過小評価が福島事故の教訓であり、それを生かすなら「輸出という結論はありえない」と強調しました。