米軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)をはじめとする在日米海軍基地に寄港している原子力艦船の災害時の避難は、原発事故時の20倍の放射能が避難基準となっている―。
日本共産党の田村智子議員は12日の参院決算委員会で、同じ原子力災害への対応でありながら、国の二重基準が地方自治体の防災計画に矛盾を広げている実態を取り上げました。
原発事故では毎時5マイクロシーベルト(原子力災害対策指針)が避難基準とされながら、原子力艦船事故では毎時100マイクロシーベルト(原子力艦災害対策マニュアル)が基準となっています(表)。
いま原子力艦船事故にどう対応するのか―。田村氏の質問に対し、外務省の冨田浩司北米局長は「現行の原子力艦のマニュアルで対応する」と述べ、二重基準となることを追認。佐々木克樹内閣府官房審議官は「100マイクロシーベルトに達しない場合も情報の提供等を行う」などと自治体任せの姿勢を示しました。
田村氏は、横須賀市での防災訓練を例に、原発事故の想定では小学校児童などにできるだけ遠くへ逃げる訓練がなされる一方、原子力艦船事故の訓練では屋内退避を求めるだけで、保護者から「何の訓練か分からない」と戸惑いの声があがっていることを紹介。避難基準や範囲を原発事故「指針」と少なくとも統一すべきだと強調しました。
佐々木審議官は「原子力安全規制見直しの検討結果を踏まえ適切に対処していきたい」と述べました。
田村氏は、「マニュアル」改定が進まない背景に、「放射能はすべて艦内にとどまる」(米軍ファクトシート)と説明する米軍の「安全神話」があると指摘。東日本大震災の教訓を生かし、大津波による座礁の危険性や外部電源喪失など想定外の事態への対策を米側と協議すべきだと提案しました。
岸田文雄外相は大津波の場合でも「原子炉の安全は維持されると説明を受けている」などと米側任せの姿勢に終始しました。