全労連と共同して研究・政策活動をしている労働運動総合研究所(労働総研)は13日、安倍政権がねらう「雇用改革」によって労働者の賃金が41兆9000億円減少するとした試算を発表しました。減少額は、日本のGDP(国内総生産)472兆6000億円(2012年度)の約9%に相当するとしています。
安倍「雇用改革」は、▽労働者派遣の無制限の拡大▽あらかじめ「1日8時間働いた」とみなす協定を結べば、8時間を超えた以降の残業代は支払われない裁量労働制の対象労働者の拡大▽勤務地や職務、労働時間を限定する一方、通常の正社員(無限定正社員)より賃金が低く、解雇されやすい「限定正社員」制度の導入―などをねらっています。
試算は、これらの制度が導入された場合の賃金減額分を算出。その内訳は、(1)「限定正社員」制度導入による賃金減収額(2)企画業務型裁量労働制の拡大など、新裁量労働制の導入による残業代減収額(3)「無限定正社員」の選別・振るい落としによる「限定正社員」化での賃金減収額(4)「派遣労働の大幅規制緩和」による非正規雇用労働者の賃金減収額(5)「正社員」とされながら年収249万円以下におかれている「名ばかり正社員」の非正規雇用化(6)「限定正社員」のリストラによる「派遣労働者」化―です(上の表)。
労働者1人あたりの減収額では、▽正社員の「限定正社員」化で年間55万円減▽新裁量労働制の導入で平均166万円減▽非正規雇用社員で年間賃金12・7万円減―となっています。
労働総研の藤田宏事務局次長は、「試算の結果が想像以上の額にのぼり、驚いています。アベノミクスによる『雇用改革』は労働者にとって大きな悪影響を与えます」と語りました。