政府は今月、東京電力福島第1原発の賠償や除染・廃炉費用の国民負担と合わせ、東電の経営改革のあり方の検討を始めました。そのなかで「柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働の遅れ」を東電の経営改革の課題に掲げ、国を挙げて再稼働の音頭をとっています。県内世論の6割以上が再稼働に反対し、カギを握る新潟県知事選が注目されています
5日に開いた経済産業省の「東電改革・1F(福島第1原発)問題委員会」(東電委員会)の初会合。経済同友会代表幹事はじめ、経団連会長が推薦したというKDDI会長、原発メーカーの日立製作所名誉会長らわずか10人のメンバーに東電の広瀬直己社長がオブザーバー参加して非公開で行われました。
後で公表された政府の資料には、「東電改革の姿は、電力産業の将来を示し」「福島復興、原子力事業、原子力政策の根幹的課題」と明記し、国が関わることを正当化。経営改革の「果実をもって」「福島への責任を果たし、国民に還元する」などと、経営改革を最優先にしています。
この経営改革の一つに位置づけられているのが、柏崎刈羽原発の再稼働です。7月に発表した東電の「経営改革の方針」で5原則の1番目に「柏崎刈羽原発の再稼働の環境整備に全力を尽くす」などとしています。
2014年に策定し、国が認定した東電の「新・総合特別事業計画」では、柏崎刈羽原発6、7号機は14年7月に、その後1、5号機を順次動かす計画でした。原発1基を動かせば、年間約1000億~1450億円のコストが削減できると東電は見込んでいます。
政府の資料は、柏崎刈羽原発の再稼働の遅れなどで「構造的な収支は未改善」などと経営の現状を評価。「福島費用が上振れ」と「柏崎刈羽原発の再稼働が遅延」を今後の課題に挙げ、再稼働問題を前面に出しています。