厚労省が10月から全病院に実施させる「病床機能報告制度」について、医療関係者から意見が相次いで上がっています。
病棟を四つの機能から選択することについて「小規模で病棟が一つしかない場合や診療所における病床は、疾病や病状が多様であるため、明確に分類できない」との批判があがっています。
病床報告で、稼働していない病床があれば削減される可能性があります。これに対し千葉県の医療関係者は「休眠状態の病床があるのは医師と看護師の不足のためであり、医療需要があるのに稼働できないのが実態だ。国は人員不足の解決にこそ本腰を入れるべきだ」と話します。
神奈川県では「県内の二次医療圏で基準病床を下回っているところが11のうち5つあります。病床数の適正化を強行すれば、現在も不足している病床をさらに減らすことになりかねない」と懸念する声があがっています。
報告にもとづいて、都道府県が「地域医療構想」をつくることについても、“実態を反映したものにならない”との指摘も。「高度急性期機能をもつ医療機関は、都市部にある場合が多く、都道府県を越えて受診することが多い。レセプト(診療報酬請求書)データが患者の治療実態を反映することには無理がある」との指摘が出ています。
国の計画や基本方針にもとづいて各都道府県が決める「医療費適正化計画」では医療費の支出目標を都道府県ごとに定めることが計画されています。「今後、報告制度を利用して、都道府県ごとに医療費を制限することになる」と批判の声があがっています。