米大統領選挙での勝利を受け、共和党のドナルド・トランプ氏は来年1月の政権発足に向けた新しいウェブサイトを開設しました。そこに提示されている政策は、同氏が選挙中に示した政策と若干の違いがみられます。
トランプ氏は選挙戦最終盤の10月22日、政権発足直後とその後100日間に実施する政策として「100日行動計画」を発表。貿易政策で「環太平洋連携協定(TPP)からの撤退の宣言」や「北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉」、移民政策で「犯罪歴のある不法移民の米国からの強制退去」や「テロ発生地域からの移民受け入れの一時停止」を列挙していました。
さらに▽医療保険制度改革(オバマケア)の新制度への置き換え▽メキシコ国境への壁の建設▽連邦法人税率の35%から15%への引き下げ―を打ち出していました。
ところが新しいウェブサイトでは、TPPからの撤退は明記されておらず、NAFTA再交渉にも触れず、「雇用を米国外に流出させてきた数十年にわたる政策を反転させる」としています。
オバマケアの見直しについてトランプ氏は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルでのインタビューで、いい部分もあるとして「修正」について言明。従来の態度を軟化させています。
外交・軍事分野は具体策に乏しく、移民については相変わらず強硬な姿勢を崩していません。メキシコとの国境線に壁を築くと明記。不法移民を捕えてすぐ釈放する(キャッチ・アンド・リリース)のをやめることや、外国人犯罪者への処罰を強化することなども列挙しています。一方で、イスラム教徒を対象にした移民受け入れ規制については言及していません。
ただ新しいウェブサイトは政権移行に向けたもので、ここに盛られていない政策が実施されることや、復活することもありえます。