厚生労働省が、労働者派遣法の「労働契約申し込みみなし制度」を発動させないため、派遣法の改悪を急ぐよう与党議員らに工作していた問題で、日本共産党の小池晃参院議員の国会質問を受けて、同省が工作に使っていた内部文書の核心部分を削除する修正を行っていたことが8日までに分かりました。
削除したのは、(1)経済界が発動に反対している(2)派遣先が派遣の受け入れをやめるなど業界が大打撃を受ける―という核心部分。財界いいなりの派遣法改悪をごまかすねらいですが、改悪を急ぐ論拠が破たんしていることを示しています。
「みなし」制度は、違法派遣があれば、派遣労働者に対して派遣先が直接雇用を申し込んだとみなす制度。2012年に法改定され、10月施行予定です。
ところが、今国会提出の派遣法改悪案は、派遣期間や業務の制限を取り払うもので、施行は9月1日。そのため「違法派遣」は生じず、「みなし」制度は事実上、発動されません。9月までに違法派遣があってもそれ以後は白紙に戻り、違法行為は合法化されてしまいます。
小池議員は4月23日の参院厚労委員会で「労働行政が違法派遣の合法化に手を貸していることになる」と批判し、「労働者派遣法改悪案は撤回すべきだ」と求めていました。
内部文書では核心部分を削除する一方で、派遣労働者が「みなし」制度の適用を求めて「訴訟につながる」などとして派遣法改悪に固執しています。
しかし、「みなし」制度は、「派遣切り」に対する国民的批判を受けて、厚労省が法案を提出し、自公両党も賛成し成立したものです。3年余の猶予期間が過ぎたのに発動させない道理はありません。