ヘイトスピーチ規制できるのか
女性閣僚2人(小渕優子経産相、松島みどり法務相)のダブル辞任後も第2次安倍改造内閣を揺さぶる「政治とカネ」問題。同様に、山谷えり子国家公安委員長と「在日特権を許さない市民の会(在特会)」との親密な関係は、あいまいにできない重大問題です。
「在特会」は、人種や国籍で差別をあおるヘイトスピーチ(差別扇動行為)を各地で繰り返し、京都の朝鮮人学校周辺での街宣活動は、京都地裁判決(2009年)に続き大阪高裁判決(今年7月)で、その行為の違法性が明確に断罪されました。判決により同学校周辺での街宣禁止、名誉毀損(きそん)による損害賠償を命じられたうえ、「在特会」の行動には、脅迫や威力業務妨害罪など刑事責任を問われるべき悪質な行為を含んでいます。
献金複数回
山谷氏は、こうした在特会の活動に関わってきた元関西支部幹部(男性)らと2009年2月に島根県松江市内で写真撮影に応じていました。10年12月には、参院議員会館にある自室内で同男性幹部らと写真を撮っていたことが判明しています(赤旗9月19日付)。さらに同幹部と共に写真に写っている、在特会関係者とみられる女性から複数回の献金を受けていた事実も判明しています(赤旗10月4日付)。
個人の尊厳を直接的に脅かすうえ、威圧的・暴力的な行為で犯罪性を持つ場面も目撃されているヘイトスピーチ。人種・民族差別的な社会的風潮を助長して、大量虐殺のような事態を引き起こす危険もあるとして、国際的な関心も高まっています。警察当局を所管する国家公安委員長として、必要な対策の責任を負う山谷氏が、「在特会」と特別な関係にあることは、決して見過ごすことはできません。日本の民主主義に関わる問題です。
国連も勧告
国連の人種差別撤廃委員会は、今年8月末に採択した見解で、日本各地に広がるヘイトスピーチに対する対応を勧告しました。外国特派員協会で行われた山谷氏の記者会見(9月25日)では、担当相として日本人拉致問題がテーマに掲げられましたが、記者から山谷氏に対して「在特会のような組織を容認できないという気持ちがあるか」との質問が殺到。山谷氏は、「いろいろな組織についてコメントすることは適切ではない」と述べ、「在特会」への評価を避け続けました。
10月30日の参院内閣委員会で日本共産党の田村智子議員は、「在特会」活動の違法性を認めようとしない山谷氏に対し、「そこをあいまいにする山谷氏が国家公安委員長で、ヘイトスピーチの取り締まりができるのかと不安の声が上がっている」と批判しました。
山谷氏は、民主党政権時代の高校無償化政策に対し朝鮮学校に適用しないようにと求めるなど、「在特会」と共通の主張を繰り返してきました。