在沖縄米海兵隊は19日午後、沖縄県名護市安部(あぶ)の浅瀬で13日夜に発生した墜落事故を受けて停止していた垂直離着陸機MV22オスプレイの飛行を、事故原因となった空中給油を除いて全面的に再開しました。
同日午後1時58分、最初の1機が米海兵隊普天間基地(宜野湾市)を離陸したのを皮切りに、2時30分ごろまでに計4機が離陸。宜野湾市上空や那覇市、浦添市といった人口密集地や伊江島(伊江村)など県内各地への飛行を強行し、旋回飛行も繰り返しました。
また、13日から米軍伊江島補助飛行場にとどまっていた1機も同日午後、飛行を再開し、普天間基地に着陸しました。
13日に墜落事故が発生してからわずか6日。事故原因の究明はおろか、機体回収も終わらない中での傍若無人な飛行再開に、県内では怒りの声が高まっています。
オスプレイはこれまで、首都圏や山口県、長崎県など全国各地に飛来しています。「全面飛行」が宣言されたことで、近く本土への飛行も再開される可能性があります。
在沖縄米軍トップのニコルソン四軍調整官は19日、「MV22の安全な飛行を継続できることを強く確信している」とのコメントを発表。また、稲田朋美防衛相も同日、「これまで米側から得た情報等に基づき、防衛省・自衛隊の専門的知見に照らせば合理性が認められる」として、13日夜に普天間で発生したオスプレイの胴体着陸に対する説明を含め、飛行再開は「理解できる」とコメントしました。
さらに稲田氏は、依然として事故を「墜落」と認めず、「不時着水」との評価に固執しました。
伊江島補助飛行場に隣接する伊江村真謝(まじゃ)区の平安山(へんごん)良尚区長は「区の住民は自分たちの頭上にいつ落ちるかと敏感になっている。沖縄県民を人間と思っていないのか」と怒りをあらわにしました。
翁長知事「言語道断」
オスプレイの飛行再開について沖縄県の翁長雄志知事は19日、「言語道断」と批判、午後に県庁で行った記者会見では、険しい表情で「県民を一顧だにしない日米政府に強い憤りを感じる」と強く抗議しました。
翁長知事は、県民が配備に反対してきたオスプレイが墜落事故を起こしたことに対し怒りを禁じ得ず、飛行中止を強く要請してきたにもかかわらず、事前に十分な説明がないまま飛行が再開されたとのべ、「オスプレイに対する県民の不安は一向に払拭(ふっしょく)されていない」と語りました。また、日米地位協定のもとで日本政府にまったく主体性がないと批判しました。
沖縄県は、県内の全41市町村長らが署名した「建白書」の精神に基づき、オスプレイ配備に反対してきました。翁長知事は、「今後ともあらゆる機会を通じて、日米両政府に対してオスプレイの配備撤回を求めるとともに、飛行再開の中止を求める」考えであり、「県民の思いに寄り添って全力投球していく」と強い決意を語りました。