感情や気分が世論を形成
― 背景にテレビ・新聞のジャーナリズム・信頼性 喪失
「ポスト真実」と「フェイク(偽)ニュース」。客観的な事実を押しのけて、感情や気分が世論を形成するさまを示す言葉です
英国のEU(欧州連合)離脱やトランプ米大統領の誕生は、「ポスト真実」の現象を指しています。インターネットの大量の偽ニュースが発端とはいえ、既存のテレビ・新聞がジャーナリズム性を欠き、信頼を失っていることが背景になっています
日米首脳会談を見れば、日本ではトランプ・安倍両氏の和気あいあいのニュースばかり。NHKは特番を編成し、ニュースに安倍首相が生出演。キャスターらは「安全保障について満額回答」と政府見解をそのまま持ち上げ、日米同盟の中身を問う視点はありません
かくして世論調査では、日米首脳会談を「よかった」とする回答は70・2%。イスラム圏7カ国からの入国を禁止した大統領令については、「理解できない」が75・5%。このねじれ現象も「ポスト真実」の表れでしょう
米英のメディアが、政権の発言や偽ニュースのチェックを強めようとしています。英国のBBCは、視聴者の疑問に答える番組も制作。EU国民投票に関して「BBCの報道はEU残留寄りだ」という意見にBBCの見解を伝えました
この「BBCの視聴者対応」は、『放送研究と調査』(NHK放送文化研究所刊)が紹介しています。ちなみに番組名は「Newswatch(ニュースウオッチ)」。NHKも試みてはいかがか。夜9時のニュースは、同じタイトルなのですから