危険は明白 ― 石波幹事長「軍法会議」発言、生きる権利を抹殺
日本が世界に誇る憲法を守り生かすのか、それともその改悪に道を開き、再び「戦争する国」へ踏み出すのか―。戦後の国政選挙ではじめて与党の改憲案が本格的な争点となった参院選挙の投票が目前です。安倍晋三首相と自民党は、選挙で勝てば改憲に踏み出す狙いを隠しません。改憲の危険は明白です。改憲の策動を阻止するために、党ができてから91年、侵略戦争反対と「国民が主人公」の政治実現に力を尽くしてきた日本共産党への一票こそ、憲法を守り生かすもっとも確かな一票です。
選挙中、安倍首相は演説などでは改憲にふれないようにしてきましたが、終盤、テレビインタビューなどで聞かれれば「(憲法)9条を改正し、※(自衛隊の)存在と役割を明記していく」と語る(15日、長崎国際テレビで)など、改憲の意図は明白です。選挙公示前から、自民・公明の与党に加え、改憲に積極的な日本維新の会やみんなの党、さらには民主党の一部などを糾合して、改憲に乗り出す意向を語ってきました。選挙で勝てば、いよいよ改憲に乗り出してくるのは間違いありません。
(※石波幹事長の自衛隊への「軍法会議」暴言 4月21日に― 自民党
の石破茂幹事長が、「国防軍」命令に従わなければ軍法会議で「死刑」と発言
していたことが明らかになりました。
“石破発言”は4月21日放映の「週刊BS―TBS報道部」でのもの。国防軍
の出動命令に従わない者に対し、「(今の法律では)めいっぱいいって懲役7
年」「死ぬかもしれないし、行きたくないなという人がいない保証はない」「だか
らその時に従わなければその国における最高刑に死刑がある国なら死刑、無
期懲役なら無期懲役、懲役300年なら300年」との考えを示しました。
国の命令ひとつで軍人に「命を捨てよ」と強制した戦前の暗黒体制につ
ながりかねない危険な改憲発言です。
BS番組での石破幹事長発言
自民党の石破茂幹事長のBS番組(4月21日)での発言は以下の通りです。
(自民党改憲案は)憲法のほかの条項で軍事裁判所的なものを創設するという規定がご
ざいます。
「自衛隊が軍でない何よりの証拠は軍法裁判所が無いことである」という説があって、そ
れは今の自衛隊員の方々が「私はそんな命令は聞きたくないのであります」「私は今日かぎ
りで自衛隊をやめるのであります」と言われたら、「ああそうですか」という話になるわけで
す。「私はそのような命令にはとてもではないが従えないのであります」といったら、(今の法
律では)目いっぱいいって懲役7年です。
これは気をつけてモノを言わなければいけないけれど、人間ってやっぱり死にたくないし
、けがもしたくない。「これは国家の独立を守るためだ」「出動せよ」って言われた時、「死ぬ
かもしれないし、行きたくないな」と思う人がいないという保証はどこにもない。
だからその時に、それに従え、それに従わなければ、その国における最高刑に死刑があ
る国なら死刑、無期懲役なら無期懲役、懲役300年なら300年(を科す)。「そんな目にあ
うぐらいだったら出動命令に従おう」っていうことになる。
「お前は人を信じないのか」って言われるけど、やっぱり人間性の本質から目をそむけち
ゃいけないと思う。今の自衛官たちは服務の宣誓というのをして、「事に臨んでは危険を顧み
ず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」っていう誓いをして、自衛
官になっているんです。でも、彼らのその誓いだけがよすがなんです。本当にそれでいいで
すかっていうのは問わねばならない。軍事法廷っていうのは何なのかっていうと、すべて
は軍の規律を維持するためのものです。
政府が国民の自由や権利を制限できることをねらっている
自民党はすでに昨年「憲法改正草案」を発表しています。その中身は、憲法9条を改定し、自衛隊を「国防軍」にするとともに、歴代政府でさえ行使できないとしてきた「集団的自衛権」を認め、交戦権の否認も取り払って、海外で「戦争する国」になるというものです。基本的人権は侵されないとしている現行憲法の97条を廃止し、政府が国民の自由や権利を制限できることをねらっています。憲法改定を発議する要件を定める96条でさえ、国会議員の「3分の2」から「過半数」に引き下げて多数派で改憲を持ち出せるようにするというのですから、権力を縛る憲法の立憲主義そのものを踏みにじる、とんでもない内容です。
安倍首相は、選挙中の党首討論などでこうした危険な改憲案の中身を指摘されると、「話し合いで修正することはある」というぐらいで、改憲の内容そのものは否定しません。選挙で勝てば、改憲案通りの中身を押しとおしてくるねらいは明らかです。改憲を阻止するには、参院選で自民党にきびしい審判を与えるしかありません。
「加憲」を主張する公明党も、自民党がいうように自衛隊を「国防軍」にしなくても、9条に3項をもうけて自衛隊の海外での活動などを認めればいいというだけで、海外で「戦争する国」をめざす改憲を阻止する立場ではありません。明確に改憲を掲げる維新の会はもちろん、「改憲の前にやるべきことがある」と主張するみんなの党も、改憲を否定せず同調する点では同じです。これらの改憲勢力にもきびしい審判が不可欠です。
憲法を守り生かす確かな力を
日本共産党は憲法9条や96条の改悪に反対するとともに、憲法を守り生かし、国民主権や恒久平和、基本的人権など世界でも進んだ憲法の原則については、憲法の規定どおり全面実施を求める立場です。憲法の明文改悪はもちろん、解釈改憲も許しません。
戦前戦後どんな迫害にも耐えて戦争反対、「国民が主人公」を主張した日本共産党は決してぶれたり裏切ったりしない党です。この党が伸びてこそ、国民と協力し憲法を守り生かすことができます。