日本共産党の高橋千鶴子議員は21日の衆院厚生労働委員会で、原発の再稼働審査に対応する業務をしていた関西電力の課長が過労自殺した問題をただし、電力会社の審査対応業務を残業時間規制の適用除外とした国の通達を撤回すべきだと迫りました。
同課長は、高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の再稼働審査と、7月が期限だった運転延長審査を並行して担当していました。自殺した4月の残業時間は、国が定める過労死ラインを超える100時間前後に達したと報じられています。
高橋氏が、再稼働のために過労死するほど働くことが現実に起こってしまったと追及すると、塩崎恭久厚労相は「個別の労災認定にかかわるので答弁は控える」と逃げ、関電との関係を直接明らかにしませんでした。
高橋氏は、原子力規制委員会が電力会社の要望通りに業務を急がせてきた経緯を示し、「委員会の“のり”を超えている」と追及。田中俊一委員長が「期限を見ながら対応した」と開き直ったのに対し、「結局、早く早くとなって、この事件に至った」と批判しました。
高橋氏はさらに、審査対応業務を残業時間規制の「適用除外」とした2013年の労働基準局長通達は九州電力の求めに応じたものなのに、なぜ九電以外の他社を含めた計14基で残業時間を「適用除外」にしたのかとただしました。
「ほかもあてはまると判断した」と答えた厚労相に対し、高橋氏は「(再稼働を)応援しているのと一緒だ」と批判。通達の前に「すでに違法な労働実態があり、(国は)それを分かっていたのではないか」と追及しました。
高橋氏は、九電が「法令順守」の名で適用除外を求めたことは「ルールを守るためにルールを外してくれというものだ」と批判。国には「(審査対応は)“公益”と言って残業規制を除外しながら、(過労死の)個別の事件は答えられないなんて話はない」と述べ、通達の撤回とともに、労働時間や労災の実態をきちんと調査・公表すべきだと強調しました。