環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案を議論する衆院TPP特別委員会は、早期承認を促す安倍晋三首相の意向をうけ、序盤から与党による強行姿勢が際立つ運営となっています。一方、21日には、与党の強行姿勢への批判が強まるもとで、いったん強行議決された24日の地方公聴会を26日に再設定せざるを得ない事態も生まれています。
国会冒頭から問題になった「売買同時入札」(SBS)米に関する資料提出や協定誤訳問題の解明などは、審議の当然の前提です。
ところが、政府・与党はこうした問題に答えないまま14日の審議入りを急いだのです。 その上、政府・与党から「強行採決」暴言が相次ぎました。
自民党の福井照衆院議員は「強行採決という形で実現するように頑張らせていただく」(9月29日の会合)と発言。安倍首相は17日の同委員会で、「結党以来、強行採決を考えたことはない」「(自民)党の考え方とは相いれない発言だった」といわざるをえませんでした。
ところが翌18日、山本有二農水相が「強行採決するかどうかは、(衆院議運委員長の)佐藤勉さんが決めるだろう。だから私ははせ参じた」と発言。担当大臣自ら国会に介入し、強行採決をけしかけるもので、与党・公明党からも批判の声があがり、野党4党は山本氏の辞任を求めました。
しかし、暴言が問題になった19日、委員長職権で委員会開会を強行し、さらに地方公聴会の議決を強行するという二重の暴挙を重ねました。
こうした強行につぐ強行に、大島理森議長や佐藤議運委員長も懸念を表明。「議長も議運委員長も丁寧にやった方がいいのではないかという意向を示した」(森山裕自民党筆頭理事)ことから、与党側は強行議決した地方公聴会の日程を2日遅らせざるを得ない状況に追い込まれたのです。
しかし、竹下亘自民党国対委員長が「(28日の強行採決を)否定しない」と公言するなど、政府・与党は28日の強行採決という構えを崩していません。
日本共産党は、TPPに対する国民の不安が広がる下で、国民の声を聞く地方公聴会や参考人質疑、その上での質疑などを求めています。国民のたたかいと国会での徹底審議の上に、廃案にすることが求められています。