日本航空の客室乗務員の女性が妊娠中に、地上勤務への転換を拒否され、一方的に無給休職を命令されたのは、男女雇用機会均等法などが禁じたマタニティーハラスメントだと訴えた裁判で28日、同社と原告が東京地裁で和解しました。
訴えていたのは日航キャビンクルーユニオン(CCU)組合員の神野(じんの)知子さん(42)。和解では日航が希望者全員を地上勤務につけることや、CCUとの団体交渉に応じることなどを約束しました。
日航には客室乗務員が妊娠した際、地上勤務か休職かを選べる「産前地上勤務制度」がありますが、2008年に制度改悪され、ほとんど地上勤務につけなくなっていました。
和解内容は、▽今年度から希望者全員を地上勤務につける。やむをえずつけない場合は事情を説明する▽来年度から、地上勤務はフルタイムか時短勤務か選択できるようにする▽CCUに、産前地上勤務の配置先と人数を開示する▽制度運用と問題点解決についてCCUとの団体交渉の協議事項にする―です。
裁判は通常、個別の金銭補償が争われますが、すべての客室乗務員の権利を前進させたことで、神野さんとCCUは「勝利和解だ」と評価しています。
CCUと弁護団が東京地裁内で会見。体調不良で欠席した神野さんは「誰もが安心して妊娠・出産できる職場になってほしいとの願いがかない、うれしい」とコメントを発表しました。
神野さんの提訴後に妊娠・出産して地上勤務につけた藤原真美さんは「安心して出産できた。職場では『神野さんのおかげで制度改善した』と仲間が喜んでいる」と話しました。