三陸鉄道南リアス線 全線再開
― “みんな、待ちに待った”
「みんな、待ちに待った列車だよ」―。東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた岩手県の三陸鉄道南リアス線は5日、不通が続いていた吉浜駅(大船渡市)―釜石駅(釜石市)間(15キロ)で3年余ぶりに運転再開しました。6日は、残る最後の不通区間の北リアス線小本駅(岩泉町)―田野畑駅(田野畑村)間(10・5キロ)で運転再開し、全線復旧しました。
(写真)職員の合図で発車する記念列車=5日、
岩手県釜石市の三陸鉄道釜石駅
5日、盛駅(大船渡市)―釜石駅間を往復した記念列車の切符は定員48人に対し、全国から約14倍の661人が応募。沿線各駅は、列車を一目見ようと詰めかけた人たちでごった返しました。
大船渡市から友人3人と乗車した女性(68)は、「3年間途絶えていた列車がやっと通りました。大船渡から釜石へ通う高校生も多く、バスだと時間がかかるのでみなさん助かると思います」と話していました。
岩手県奥州市から8歳の息子、2歳の娘と列車を見に来た夫妻は、「私たちもパワーをもらって前向きになれる。三陸鉄道が明るい話題を届けてくれてうれしい」と、笑顔を見せました。
釜石駅前で開かれた記念式典で同鉄道の望月正彦社長は、「これからも地域のみなさまの『足』の役割を果たすとともに、全国からお客様をお迎えして産業振興や地域活性化に貢献することをお誓いします」とのべました。
衆院委 穀田議員が追及
東日本大震災で大きな被害を受けた三陸鉄道(岩手県)が6日、北リアス線、南リアス線(地図)とも全線復旧しました。一方、三陸鉄道の路線とつながるJRの山田線、大船渡線(地図)の復旧は見通せていません。日本共産党の穀田恵二議員は衆院国土交通委員会(3月26日)で早期復旧に政府が積極的役割を発揮することを要求しました。
「震災から3年もたっているのにJR東日本は復旧を明言していない。これ以上の放置は地域復興の障害ともいうべき事態だ」
穀田氏は、三陸鉄道が被災直後から復旧に取り組み、震災5日後に一部区間を再開し全面復旧にこぎつけたことと対比して、JR東を批判しました。
被災自治体とJR東の調整会議の場(今年2月)でJRは、山田線と三陸鉄道との一体運営化を持ち出し、(1)原状復旧はJRが負担(2)赤字総定額の補てん(一時金)―などを提案しました。
これでは、原状復旧以外で自治体にも負担がかかることや、三陸鉄道がJRより運賃体系が高く一体運営になれば利用者の負担増になることが懸念されます。
地元も不信を募らせています。
JR東は大船渡線の原状復旧に130億円かかると算定していましたが、突如として追加で270億円かかる山側のルート変更案を提示。変更案でなければ復旧は困難とする態度を取り始めています。
岩手県議会は3月25日、「復旧・復興をめざす沿線自治体および住民の意向とはかけ離れた提案」とJRを痛烈に批判する意見書を全会一致で採択。山田線とともに大船渡線の早期復旧にむけ国がJRを指導することを求めました。
「鉄道はつながってこそ鉄道」。穀田氏の質問に太田昭宏国交相は衆院国交委員会で三陸鉄道の復旧をめぐり所感を述べました。しかしJRの復旧に話が及ぶと「調整会議で推進するようにする」とトーンダウン。穀田氏は、政府がJR側ではなく、被災地自治体・被災住民の立場にたつべきだと主張。JRに公共交通の責任を果たさせ「本気になって(早期復旧を)明言させるべきだ」と迫りました。