安倍内閣が提出している労働者派遣法の改悪に反対する地方議会の意見書が昨年7月以降197に達していることが5日までに分かりました。昨年12月以降に可決されたものが193に上っており、派遣法改悪反対の声が急速に全国に広がっていることを示しています。
都道府県では北海道、岩手、長野、静岡、岐阜、愛知、三重、兵庫、山口の9道県議会、政令市では大阪、浜松、堺などの市議会が可決しています。
意見書は派遣法の改悪について、「低賃金や低処遇のままの派遣労働の拡大につながりかねない」(静岡県議会)、「正規雇用が減少し、非正規雇用が大幅に拡大する」(福島県金山町議会)などの懸念を示すとともに、「派遣労働の利用を臨時的・一時的なものに限り、直接雇用への誘導と処遇改善に向けた法改正を行うこと」(北海道議会)などを求めています。
北海道士別(しべつ)市議会で日本共産党が提出し全会一致で可決した「労働者派遣制度改正をやめブラック企業根絶を求める意見書」は、「派遣労働を野放図に拡大するなど労働法制の規制緩和をやめ、ブラック企業根絶を目指し、労働者保護を柱とする派遣法の抜本改正で『正社員が当たり前の社会』を目指すよう強く要望する」としています。
派遣法改悪だけでなく、労働法制の規制緩和を厳しく批判しているのも特徴です。堺市議会が可決した意見書は「長時間労働を誘発する恐れのあるホワイトカラー・エグゼンプションの導入などは行わないこと」を求めています。
さらに、労働者代表がいない規制改革会議などで決めた結論を押し付けるやり方についても、「雇用・労働政策は、国際標準であるILO(国際労働機関)の三者構成原則に基づき、労働政策審議会で議論すべき」(愛知県大口(おおぐち)町議会)だと強調しています。