韓国ソウル中心部の光化門広場で15日、日本の安倍政権による歴史の歪曲(わいきょく)や対韓輸出規制を糾弾する、ろうそく集会が開かれました。韓国はこの日、日本の植民地から解放された日を祝う「光復節」。子ども連れや若者の姿も多く見られ、「侵略支配を謝罪しろ」「国民の力で新しい歴史をつくろう」などと訴えました。
主催したのは市民団体や労組など750団体で構成する「安倍糾弾市民行動」や市民社会団体連帯会議など4団体。日本が植民地支配していた朝鮮半島から強制動員され労働を強いられた女子勤労挺身(ていしん)隊の被害者、梁錦徳(ヤン・クムドク)さんが参加し、被害を証言しました。
参加者の思い「日韓市民が交流し、互いを理解しあえたら」
小学2年生のめいを連れていた女性(41)は、植民地時代に刑務所だった西大門刑務所歴史館を集会前に見学したといいます。「めいには昔のことだけでなく、いま起きている問題もしっかり見てほしいと思った」と集会参加の動機を語りました。
「安倍政権は、まだ韓国を植民地と考えているのではないか」と話すのはキム・ジナさん(23)。いまの経済や政治問題だけでなく、「『慰安婦』問題をお金で解決しようとする姿勢を見て、以前から日本側の対応に疑問を感じていた」。日本から集会参加者があったと聞き驚きました。「日韓市民は交流し、互いの考えを理解しあえたら、安倍政権を変える力になる」と述べました。
元国会議員などでつくる東アジア平和会議の李富栄(イ・ブヨン)運営委員長は、「日韓の関係はとても悪い」と指摘しました。根底に安倍政権の歴史認識があるとし、「彼らは認識を変えないでしょう。いまも大東亜戦争の価値観をそのまま実現しようとしているのですから。しかし日本市民が選挙を通し彼らを国会から追い出すでしょう。ともにたたかいましょう」と述べました。
日本の総がかり行動共同代表の高田健さんは舞台にあがり、安倍政権打倒へ、日本での運動を強める決意を語りました。
「今からでも快く手を握る」
韓国大統領 日本に対話呼びかけ
光復節式典
韓国が日本の植民地から解放されたことを記念する「光復節」の15日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は中西部・天安市の独立記念館で演説し、「今からでも日本が対話と協力の道に踏み出すなら、私たちは快く手を握る」と語りました。日本企業に賠償命令を出した韓国の最高裁の徴用工判決をめぐり、日韓が輸出規制などで対立するなか、改めて事態の打開に向けて対話を呼びかけた形です。
文氏は歴史問題について、「過去を顧みることは未来へと進むことだ。日本が隣国に不幸を与えた過去を考える中で、東アジアの平和と繁栄を共に導いていくことを私たちは望む」と強調。「光復は私たちにとってのみうれしい日ではなかった」と語り、東アジアが日本の軍国主義、侵略戦争から解放された日であり、「日本の国民たちも、軍国主義の抑圧から逃れ侵略戦争から解放された」と述べました。
さらに来年の東京五輪・パラリンピック、2022年の北京冬季五輪に言及。「東アジアが友好と協力の土台を固め、共同繁栄の道に進む絶好の機会だ。東京五輪で友好と協力の希望を持てるよう願う」と述べました。
また文氏は、日本の輸出管理強化について「協力してこそ共に発展し、発展が持続可能になる。国際分業形態の中で、自国の優位な部門を武器にすれば、平和な自由貿易秩序が壊れるしかない」と批判しました。