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核兵器禁止条約言及なく「国際社会に困惑」 日本の決議 賛成23減 国連総会第1委

2017-10-29 | 核兵器廃絶の世界を

【ニューヨーク=池田晋】国連総会第1委員会(軍縮・国際安全保障)は27日、日本政府が提出した核廃絶決議案を賛成144、反対4、棄権27で採択しました。賛成が昨年の167カ国から23票減り、棄権が17カ国から10票増加。核兵器禁止条約の採択で中心的役割を果たしてきた国が、禁止条約への言及がないことや、核軍縮の国際的な到達点から大きく後退した表現に反発し、軒並み棄権に転じました。

 共同提案国の数も昨年の109カ国から77カ国程度にまで減少。今年新たに棄権したのは、オーストリアやブラジル、コスタリカ、ニュージーランド、南アフリカなど。反対は、中国、北朝鮮、シリア、ロシアで昨年と変わらない一方、昨年棄権した核保有国の英仏や、米国が賛成しました。

 この日の意見表明でも、日本の決議案に対し禁止条約へ言及がないことは「あり得ない」(ナイジェリア)「過去の決議からの逸脱」(ニュージーランド)「国際社会の自明の理を掘り崩している」(メキシコ)など、決議案に賛成した国も含め、厳しい批判が出されました。

 棄権票を投じた禁止条約推進国の外交官は、日本の決議案が多くの国の間に「困惑と新たな論争」を広げ、今会期の「後ろ向きの意味での見どころ」になったと評し、日本政府が主張する核保有国と非保有国の「橋渡し」の役割に程遠い現状を嘆きました。

 別の外交官は、棄権票の増加は「日本へのメッセージだ」とくぎを刺し、今後の対応を見たいと話しました。

 日本の決議案は、禁止条約へ一切言及がない代わりに、核廃絶に「さまざまなアプローチがある」と条約への不参加を正当化。2000年の核不拡散条約(NPT)再検討会議で合意された、核廃絶を達成するとの「核兵器国の明確な約束」などの文言を削った上、核兵器使用の非人道性に対する表現も後退させました。

 日本の高見沢将林軍縮大使は採決後、北朝鮮の核開発など、今年の「顕著な現象」を踏まえて「核兵器国も含めて、共通の基盤をつくるべく努力した」と述べ、保有国寄りの決議案を釈明しました。

 

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