沖縄県名護市議会は22日、米軍普天間基地(宜野湾市)に替わる新基地建設のための名護市辺野古沿岸部の埋め立てに強く反対し、県知事に承認しないよう求める市長意見を賛成多数(賛成14、反対9、退席2)で可決しました。
A4判23ページに及ぶ市長意見は、危険なオスプレイが環境影響評価の手続きもないまま安全だとして強行配備されたことなどを指摘。埋め立て事業は▽公有水面埋立法の定める環境保全、災害防止への配慮義務を満たしていない▽ジュゴン、ウミガメの生育環境を脅かす事実の隠ぺいをはじめ事業そのものが不適切―の2点を挙げ「埋め立て周辺域の生活環境、自然環境の保全を図ることは不可能」と強調しています。
市長意見には、市が文案作成にあたって8~10月、市民から募った意見約2500件のうち特徴的なものを6ページにわたり紹介。「辺野古のキレイでジュゴンがいる海がなくなるのは、いやです」など、子どもから高齢者まで圧倒的多数を占めた新基地建設反対、十数件にとどまった賛成の市民意見を盛り込み、市長意見を裏付けました。
稲嶺ススム市長は、提案に際して意見の冒頭と結びを読み上げ、「名護市民の誇りにかけて『普天間飛行場の辺野古移設』には断固反対する、市民の強い決意です」と締めくくると、傍聴席に入りきれないほど駆け付けた市民の中には涙ぐむ姿もありました。
稲嶺市長は議会後、記者団に「市長の意見というだけでなく議会の承認を得たことで大きな重みがある」とのべ、埋め立ての可否を判断する仲井真弘多(ひろかず)知事に意見を尊重するよう求めました。
市長意見の骨子
オスプレイ配備に伴う安全及び環境保全措置が全く示されておらず、到底認められない。
航空機騒音、低周波音、埋め立て等、生活環境・漁業に甚大な被害・影響を与える。
ジュゴン、サンゴ類、ウミガメ等の生育・自然環境の保全措置の実行性が乏しい。
「辺野古移設が唯一の解決策」との国の主張は整合性を欠き、普天間基地の危険性を辺野古に移すだけ。
環境影響評価手続きで「不都合な真実」を隠してきた国の姿勢は「建設ありき」「結論ありき」。生活環境、自然環境の保全を図ることは不可能。