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「内部留保の活用」(共産党の提言) ー 政治のイニシアチブとは

2013-08-01 | 人権・生存権・労働者の権利を守ろう

賃上げ可能の世論高める / 雇用守るルール立て直す

 日本共産党の「大企業の内部留保の一部を賃上げと雇用に」との提言が、参院選でも共感を広げました。これに関連して、内部留保の活用のために「政治がイニシアチブを発揮」する(共産党の参院選政策)とは、具体的にはどういうことかという質問が寄せられていますので、お答えします。

 賃上げについては、最低賃金など政府が関与するものを除けば、基本的には労使の交渉で決まりますから、政府が賃上げを企業に強制することはできません。だからといって、政府のように企業に「お願い」するだけでは、実効性がありません。

  政治がイニシアチブをとるべきことは、第一に、「内部留保を活用すれば賃上げは可能だ」という世論を高めることです。数年前までは、「内部留保の活用」を言っているのは、共産党や全労連などの民主的な労働組合だけでした。最近では、政治的な立場を超えて、同様の意見を言う人が増えてきています。たとえば、「朝日」のインタビュー(7月8日付)で、高橋伸彰立命館大学教授が「内部留保 賃上げに回せ」という見出しで発言をしています。政府が先頭に立って、こういう主張をするようになれば、いっそう大きな世論になるでしょう。

  この間、利益をあげている大企業でさえも賃上げがストップしてきた原因として、大企業の労働組合の多くが賃上げ要求を自粛してきたことがあります。「国際競争が厳しいから賃上げはできない」という経営側の宣伝を政府やマスコミも応援するという状況の中で、労働組合もそれに流されてきていました。「内部留保を活用して賃上げを」の世論が高まれば、組合が賃上げ要求を掲げてたたかう条件が広がります。

 第二に、雇用を守るルールを立て直すことです。小泉内閣時代から政府の経済財政諮問会議の民間議員を務めてきた吉川洋東京大学教授が、今年はじめに出した『デフレーション』という本の中で、“日本がデフレに陥ったのは、大企業の雇用制度が変わり、名目賃金が下がり始めたためだ”という趣旨の内容を書いています。大企業のリストラで労働者が「雇用か、賃金か」という選択に直面した結果、賃金が下がり、デフレになったのだという指摘です。

  この吉川氏の指摘は、同氏も一員であった経済財政諮問会議が雇用規制緩和の法改悪を進めてきたという点には一切ふれないという弱点はありますが、その点を除けば正論です。この間政府自身が進めてきた雇用法制の規制緩和を改め、大企業の無法なリストラや派遣労働の野放しの拡大をストップすることが、「雇用か、賃金か」という不毛の選択から労働者を解放し、賃上げを促進することになります。派遣労働者の正規化を進めれば、その労働者自身の賃金アップにもつながります。

 このほか、現行の下請け関係法規を厳正に適用して、大企業の下請けいじめをやめさせることも、内部留保の活用につながります。こうした「政治のイニシアチブ」を発揮させるため、国会内外で声を大きくしていきましょう。

 


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