今日は天気が悪いという予報だったにも関わらず、
午後には雲が漂白されちぎれて、
青空も見え始めたので気持ちが良く、
約束の時間はあったものの、
そう急ぐでもなく歩いていた。
とある曲がり角で
はしばみ色のつやつやした落ち葉が無数に散らばっていた。
五月なのに?と思って見上げた。
同じ形のつやつやした緑が繁っていた。
秋の落ち葉とは異なり、
地面に落ちてから変色したのかもしれない
と、だいぶ経ってから気が付いた。
堀江敏幸さんの『正弦曲線』を少しずつ読んでいる。
読みながら、恥じ入る。
詩を書きながら、読む。
恥じ入る。
だから、楽しい。
差があるから。
その差の中に、無数の感触と感覚と経験、
無数の言葉と文体と本、
無数の作家や詩人や写真家、
そして無数の街、時間、記憶……がある。
そして世界を夢見るために何よりも大切なもの
部屋に入る光の筋を際立たせる塵埃がある。
その塵埃は、堀江さんの誠実。
世界にはまだまだ入り込むべき無数の襞がある、と教えてくれる。
いまはこういう季節(半月ほど前だけれど)。