詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

年を忘れて年を越す

2016年12月31日 | 雑記
いま、酔っています。
忘年会の帰り道。

関係ないけど昨日、年賀状を書いていたら、夫がふとそれを見て「忘年会の字が違う!」と。
「年を忘れるだよ!」
えー、もう何枚も書いちゃったよ。
「昨年は忘念会に参加できず、残念でした。」
って。
まるで忘れられない怨念でもあるみたいですよね。いつのまにか手が勝手にそう動くようになっていたの。

それはともかく
酔った勢いで、ブログを書くぞー!
私が書くこと、くだらなーいとか、そういうことも忘れて、酔ってるから書いちゃうぞー。

謎のピンク生物について。

高松にいた頃、田んぼの周りのコンクリートに、謎のピンクの物体が無数にくっついていることがありました。

季節を覚えておけばよかったけど、意識していなかったのでそれはわかりません。

ピンクもピンク。真ピンクで。
自然界にこんな色あるのー!?
キモッー!!
と思って。

でも例によって調べない。
謎のピンク生物は永遠に謎のままでした。
そのはずでした。今月の初め頃までは。

先日、テレビをつけて料理をしておりました。
チャンネルはNHKで『所さん!大変ですよ』を放送していました。

日本の農家で大変なことが起こっているというのです。用水路に放しているすっぽんが盗まれてしまう。なぜすっぽんをそんなところに放しているのか?なぜすっぽんが盗まれることがそんなに大変なのか。

実はいま、田んぼに外来種のジャンボタニシが大発生していて、その巨大で食欲旺盛なジャンボタニシが、稲を食い荒らしてしまうのだとか。ジャンボタニシを食べてもらうため、農家の人はわざわざすっぽんを放しているのです。

ある農家は「あれ、ここ田植えしてなかったんだっけ?」と一瞬思ってしまったほど、なーんにもなくなってしまったのですって。ジャンボタニシに食べられちゃって。

へぇー!それは大変や〜。などと思って、料理の手をとめたり、動かしたり、しながら見ていました。

「これ、ジャンボタニシの卵です」
ふーん。
え、えー!?
こ、これは!

そう、もうみなさんお気付きのことでしょう。
真ピンクの謎の生物。
ジャンボタニシの卵だったのでした。

高松から東京に戻ってきて二年半。謎の生物を見つけてからはさらに時が経っているでしょう。まさかこんなふうにその正体を知ることになるとは。

ジャンボタニシは色んな色に品種改良されて、とても美しいことになっており、さらに食欲旺盛なため、水槽のお掃除をしてくれるということで、観賞用で大人気なのだそうです(本当は輸入禁止?品種による?数年越しの大発見に興奮していたので詳細はよくわからず……)

「水槽の中では天使、田んぼでは悪魔」
とうまいこと言われてましたが、ほんとにびっくり。調べないことの効果、絶大。

これがもし、高松で、このピンクの生物なんだろう、とその場ですぐに調べていたら、ふーん、と思って、またすぐに忘れてしまったと思うんです。それを、敢・え・て調べずに、ずーっと頭のどこかに謎の生物として生息させていたからこそ、しかも意図せずその答えに出会ったからこそ、こんなにも感動的な?再会となったのです。そういうことにいたしましょう。

そんなわけで、無理矢理(歩きながら携帯をポチポチしているうちに、帰省中というか寄生中の実家に着いてしまって、家族としゃべったり、テレビを見たり、して、酔いもすっかり冷めてしまった、書くぞーという勢いもしゅーん)、大晦日らしく話をまとめると。

何かこうやって、時を経てつながるっていいなぁ、と思ったのです。大げさですけど。

今年、久しぶりの人に会ったり、またこれからもつながっていけそうな人と出会ったり、またピアノもやりたいな(実は長らくお休みしてました、家ではポロポロ弾いてはいるのですが)と思ったり、して、人とのつながりや、自分ですることについても、直線でなくてよいから、雲梯のような感じで、時を越えて、つながっていったらいいなぁという思いを強くしております。それは単に過去未来だけでもなくたとえば横にも。

そんな夢を見て、もうすぐまたあたらしく年を越します。
いまふと、地球上の年越しをイメージ。
経度によって時間が違うから、みんなが大縄跳びをしていて順番に縄を飛んでいく。


謎のピンク生物の写メは残念ながらなかったので、最近、ベランダで洗濯物を干していると、下の原っぱの日当たりの良いところで丸くなって昼寝をしている生物がいる、の写メ。

ある日


ある日


これまたある日

お昼寝中に日が動いて、日陰になっちゃった。


またまたある日

もうどこがどうなっているのかわからない。


ある日
お、目、覚ました。


ですが、目、ほとんど開いてません。

猫村さん似。
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エンドロール

2016年12月27日 | 
本当は終わることのない
ひとつのドラマが終わる

本当は名付けようもない
感情が爆発して

本当は透明でない涙を
クリスタルのようにこぼした

苦労は少しだけ報われたし
奇跡が起こらなかったことも
意味らしく見える

とても美しいものを
知っているような気もするし
知っているとは言えない気もする

でも
美しい
と思っている瞬間に
嘘はないはず

エンドロールが流れている
ひとつの作られた物語の中に
おのおのの物語を織り込んで
本当は終わることのない
時の流れ

本当は何かが次々終わっていて
それに気付くことが少なすぎるから
わたしたちはエンドロールを眺める

無数をひとつにして
名付けられないものを感動ということにする
エンドロールを
並んで見ている

終わったものは終わりを見つめられない

本当は何も終わっていない、という終わり
をエンドレスに生きている

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心音に灯る火

2016年12月23日 | 
からだの形に寄り添う
掛布団に波を送って横向きになる
薄荷のようなカフェインが
布団に包まれたからだの外周を明らかにする
まだ氷の手袋と靴下をはいている
じっと待っていると
心音に火が灯る

近すぎて
聴いているのか
感じているのか
わからない

赤く熱く
たぎったマグマが噴き出している
どんなに微細な管の先へも
滞りなく温かさを伝えるため
命をおくりこむために

わたしがみじめでさみしく
あらゆることへ
思いが散らばり
蒸発してしまっても

目をつむって
どこまでも続く薄闇

精神の地平は果てしなく広い
遠くを見遣って
祈っている

再びしずけさにもどるなら
もう手も足もあたたかく
青白い光の膜に包まれたからだは
みずからのぬくもりに安らっている

やがて
夜が明ける
うっすらと

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青さの中で。

2016年12月20日 | 
空、青い。
月並みな地球から見える空。

青い。

オブジェとしての時計の針。
ある時間を指している。
そのまま進むことはなく。
刻まない。
流れている。

冷たい空気がかきまぜられて、すくいとられたからからの葉っぱが、舞う。

葉っぱの色。
はしばみ色。
くすんでいる。
なのに鮮やか。
けれど穏やか。
そして軽やか。
青さの中で。

はしばみ色だから。
さみしくない。
桜のようには。

坂の上の喫茶店。
家々は眼下に息づいているのに
この窓の高さで葉っぱが舞っている。
それは店のすぐ脇に立っている木の精。
紅茶から香り立つ湯気と
いっしょになって踊っている。
地上をすっかり忘れてしまって。

向かいの椅子にかけたコートのすそに
はりねずみのトゲのような
植物の種子がくっついていた。

きっとさきほど木漏れ日の下
歩いてきた山道のどこかで。

いたずらしようとして引き返した足跡。
ひとつひとつ抜いた。
じゃれてきた仔猫を膝からおろすように。
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大学いも

2016年12月12日 | 雑記
仕事帰り、乗り換えの駅で、エスカレーターを駆けあがった。電車はホームに来ていて、もうすぐドアが閉まろうとしているのが、聞こえてくるアナウンスでわかった。

目の前で駆ける女性の背中を追いかけて、ホームに着いた。ドアが閉まる前に乗り込むつもりで走りつつ、左後方の電光掲示板をチェック。いま停まっているのは各駅停車で、3分後に来る次が特急だとわかる。

途端に減速。私が住んでいる駅は、特急でひと駅目だから、3分後に来るなら特急を待つほうがいい。ホームの混んでいない位置に移動しようとくるりと向きを変えると、背の高い金髪の外国人の男性が、こっちに背を向けている日本人と思われる男性に話しかけているのが目に入った。

その瞬間、口の中に何かの味がひろがった。うん、これはさつまいも。何か味がついている。おいしい。これ食べたい。なんだっけ、これ。数秒咀嚼。まわりに甘いタレがついていてゴマの味もする。あ、大学いも。大学いも!そんなの、あったね!そういえば最近ぜんぜん食べてない。存在すら忘れていた。けっこう頻繁にさつまいもを買って、甘く煮て、しょっちゅうお弁当に入れているのだけれど。

それにしても、いまのこのシチュエーションで何か大学いもを思い出すようなこと、あったっけ?私のこの頭のスイッチは、いったいどうなっているんだ?
と、思ったことでした。

自分の中でおもしろかったことは、まとめると、というか無理矢理分割すると4つ。
1. 何かがきっかけで、何かの味を思い出した。
2. それを思い出す過程(それが何かをわかっていないのに食べたいと思い、むしろ食べるために、それが何かをわかりたい、と思い、ようやく思い出す、プロセス)。
3. それがなんと大学いもだった。
4. 大学いものことをすっかり忘れていた、まるで懐かしい頃を、忘れていたかのように。ほんのり、ほんとにわずかに、切ないような気がした、気がする……。

私って、つくづくつまらない人間だなぁと思いながら職場から帰宅する途中の出来事でした。
確かに、地味だ、地味すぎる。これがおもしろいだなんて。
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