青さに深いという形容は
ひとが捉えた感覚です
けれど銀河のように地上を遠く離れている
紫陽花はその色で
リトマス試験紙のように
雨にぬれる土のphを測る
けれど鉢植えの紫陽花は
もう花ひらいていて
初めからその青さを見染められたのだ
見知らぬ街角のように
夢見がちな白を抱いた
まだ淡いブルーだった
わたしはベランダに降り立つ
街路に背を向け
じょうろから先の虹でつながる
土がほどけてしまえば
紫陽花は大きな頭をがっくりと垂れ
夕闇に沈みこんでしまう
わたしは夕闇に紛れ込ませるくらいの
わずかに意地悪な本能をくすぐられながら
朝晩朝晩水を遣る
うなだれた首は立ち上がる
街が翳っていく中に
紫陽花は色づき上気する
錯覚だろうか
思わず目を凝らした
青色が深くなっている気がする
道端では当たり前に見てきた変化を
我が家のベランダでは
降ってきた星くずのように思う
この紫陽花はわたしのものだ
けれどわたしよりもたくさんの大気に触れて
そらに属している
吸いあげる栄養が
胸に深く青を染み込ませる
やわらかで緊密な法則がある
青い焔のように花びら
ますます深くなっていく
ひとが捉えた感覚です
けれど銀河のように地上を遠く離れている
紫陽花はその色で
リトマス試験紙のように
雨にぬれる土のphを測る
けれど鉢植えの紫陽花は
もう花ひらいていて
初めからその青さを見染められたのだ
見知らぬ街角のように
夢見がちな白を抱いた
まだ淡いブルーだった
わたしはベランダに降り立つ
街路に背を向け
じょうろから先の虹でつながる
土がほどけてしまえば
紫陽花は大きな頭をがっくりと垂れ
夕闇に沈みこんでしまう
わたしは夕闇に紛れ込ませるくらいの
わずかに意地悪な本能をくすぐられながら
朝晩朝晩水を遣る
うなだれた首は立ち上がる
街が翳っていく中に
紫陽花は色づき上気する
錯覚だろうか
思わず目を凝らした
青色が深くなっている気がする
道端では当たり前に見てきた変化を
我が家のベランダでは
降ってきた星くずのように思う
この紫陽花はわたしのものだ
けれどわたしよりもたくさんの大気に触れて
そらに属している
吸いあげる栄養が
胸に深く青を染み込ませる
やわらかで緊密な法則がある
青い焔のように花びら
ますます深くなっていく