ミッちゃん 山元気!

自由気ままに 自分の目線で
山歩きの様子を綴っていく日記です

大峯奥駈道を繋ぐ 明星ヶ岳 5 楊枝の宿

2020年08月09日 | 山 近畿 大峰山系

7/23~7/24 ☂/☁ ガス・風強し

明星ヶ岳:カナビキ尾根~楊枝ノ宿小屋まで往復

 

七日迷からの続きです

 

行けども 行けども

先の見えない白い闇に延びる道を歩いて

目の前に見える踏み跡を確認して進むと

途中…道が消えた

 

消えた…?というより 

その周辺に残る微かな踏み跡が

四方八方に向いている…

だが その道は見当たらない

急な斜面が白い闇の底に落ちているだけ…

 

一旦引き返し 小さな分岐の道で

地図を確認する…

 

ここから行ったり来たりの動きになる

 

 今度は上方向へ

 

稜線の方向に延びる道を進めば

倒木が通せんぼ!

その先には バイケイソウの群生が広がり

道は無い…?

見えない…

 

地図を再度確認するが 行く方向は

ここなのだが…?

 

チチがまた地図を確認している間に

野生の勘が働きだした私が

倒木に向こうに広がるバイケイソウの群生地

割るように入って道を探してみる

 

 

 

懐に飛び込むと

見えないものが見える事がある…

まさにその通りだった

 

ちち~ 道があったよ~

 

あったか~♪

 

あった!あった!

 

薄いが踏み跡はすぐに見つかった

 

チチに知らせるようと声を上げると

チチはすでに地図をなおして

こちらに向かっていた

 

 

 バケイソウの中でチチがウロウロ

 

バイケイソウの群れの中道を一旦下って

再び登って稜線を歩くと

石標?墓石のようなが草に囲まれて見えた

 

 第46靡 船の多和

 

石標の表面は削れ刻字が消えかかって

よく読めない…

よくよく見てみるとの???とある

 

何か彫ってある…の??

チチに聞こえるように言うと

 

と書いているか?

何かを探していたチチが

確認するように訪ねてきた

 

だけはハッキリと読めるよ…

 

そうか ここが舟の多和だ!

 

 

 舟…?と書かれた石標

 

チチはそれを探してしていたのか…

今まで無言だった父の声に

何か期待感が含まれたようながあった

 

ここから 楊枝の宿は近い…

チチは思っていたらしい

 

 

チチの思うところは近いのか…否か…

取りあえず進まねば分からない…

 

さっさとバイケイソウの中に消えていくチチ

慌てて チチの後を追う…

 

しかし 甘んじて辿り着けるものではない事を

度々 味わわせられるようだ…

 

ここからは 

バイケイソウ洗礼が待ち受けていた

バイケイソウのあの芳香…

漂うその特徴的な臭いに 

目がくらくら…

気分が悪くなってくる

それはチチとて同じだったよう…

 

しばらく…

バイケイソウはご遠慮したくなった…

 

 踏み跡の道を辿り後を追う…

 

七日迷い辺りから 舟の多和に辿り着き

その先は 更に二重稜線となって

その底部には バイケイソウが蔓延り

ともすれば 道が分かり難い!

ガスの中では心して歩く必要があった

 

このあたりを迷い平というらしいが

今回はガスに包まれ 周囲の状況を確認するには

難しいものがあり 帰ってから確認をして知る事になる

 

 

 

抜けても 抜けても 続く

バイケイソウの地獄

そこは まやかしの園のようだった…

 

鬱蒼と茂ったバイケイソウの下に道が隠れ

バイケイソウの匂いが辺り一面漂い

人を惑わせる…

 

踏み跡があり 道を外さなければよし…

踏み跡を見逃すと 迷い道になる

 

季節を間違えると難易度が上がるのか…

バイケイソウの中を泳ぐように藻掻き

抜けようと必死になる

 

 登山道の標識に ホッ♪

 再びバイケイソウが阻む!

 

バイケイソウの匂いで気分が悪くなりそう…

そんな時 開けた感じでバイケイソウがまばらに!

 

バイケイソウの海を泳ぎ切った…?

 

ガスの中に浮かぶ1本の大木が目に飛び込む

まるで救いの目印の様に立つシラビソを目指して

進むと…稜線上の所で…

チチの足が止まった

 

ここにも…あった

 

 

 何かを撮っているチチ…?

七面山揺拝石

 

年数の立った御札が置かれてその中央に

ポツン拝石が無言で立っていた

 

修験者たちがここで祈る姿を想像しつつ

私もまた 無言で会釈をして通り過ぎる

 

 

 振り返って拝石を望む

 石標 楊枝の宿まで0.7Km

 もう1Kを切った…急ごう…

 

七面山揺拝石から1分ほど先に

今度は ポツンと石標!

 

そこには 目指す今日の泊地

楊枝の宿まで0.7kmと書かれてあった

漸く先が見えたと思ったが

時間は16時を過ぎていた…

 

楊枝の森へと足を進めて

もうすぐ

もうすぐと言い聞かせながら

チチの後を追う…

 

 再びバイケイソウを泳ぐ

 抜けたと思ったらトラバース

 

楊枝の森を巻くように進む

 

行けども行けども続く道は変わりなく

復路でも同じ距離 同じ道を歩かねばならない

内心…目的の場所に辿り着く前から

 

この道を復路で使うなんて…嫌だ~!

 

そんな感情が湧いてきて

歩く気力に水を差しだし 

余計に足が重かった…

 

 

 トラバースは足元注意

 道が再びびていく…感じ

 

どこまで続くのか楊枝の森

道は 先を示さず続くだけ…

夕暮れの焦燥感が増すばかり…

 

悲壮感と共に心のなかで

明日は別のルートで下山し

近くまで娘に迎えに来てもらって…

密かに明日の復路について

変更計画を立てはじめていた…私

 

疲れ果てたコロナ太りした体と気力

持って動くだけでもい…

 

明日の心配をしつつ 

自身の体力の無さを理由に

明日のルート変更をどうしたらしてもらえるか

考えながら ただただ 

無言で足を前に運ぶだけだった…

 

 再び ぽつんと石標

 楊枝宿避難小屋あと6分

 

あと6分で着くぞ!

 

チチの声に目を上げると

古びたプレートに書かれた文字が・・・

 

チチはあと6分感じてホッとしたようだ・・・が

私は まだ6分歩かねばならぬ・・・と感じた

 

 

 果てしなく続く白い闇への道

 

無情の世界が広がり

白い闇に包まれたまま 

笹原の尾根は消えていく

 

風が体当たりして来て 

身体も心も揺れる

 

あと6分…って もう過ぎた…

時計の針を見て チン…

 

標識の嘘つき…!

 

 

 果てしない笹尾根

 なぜに急な登りに…

 登っては激下り…なぜ?

 これが原因か!

 

楊枝の宿へもうすぐというところで

崩壊して道を巻かなければならなかった

 

6分過ぎても着かないはずだ…

高巻きの部分は計算に入っていない

急登の急下り 道は荒れて注意が必要!

 

ここに来て この試練を与えられるとは…

奥駈道の為せる業なのか 

修行の一環なのか…

 

それにはさすがに霹靂する気持ち…

もう いいよ

ボソっと呟いた時だった

チチの声がした

 

 下を見て何か言ってる!

 おっ!あっ!

 チチがどんどん下る

 もう一度確認!あぁ~♪

 

これ以上歩くのはしんどい・・・

そう考えていた時に見えた!

 

楊枝の宿(第44靡)

 

 

小屋に着いた!

なだれ込むように小屋に入ると

そのまま数分 意識を失った…

 

その間にチチは水を汲みに行ったよう…

 

気が付いて 落ち着いた頃 

もう一度小屋に着いた時点をやり直す私

 

 小屋の入口

 

 

小屋の入口の正面に書かれた注意書き!

もっと大きく書いてもいいのでは?

マナーは守らねば…ですね

 

数分休んだ分 急に落ち着きを取り戻し

チチがいない事に 今度は不安を覚える

水汲みって…30分以上もかかる?

 

探しに行こうと思った時

チチが帰って来た

小屋の裏側から水場に行けるのだが

水がちょろちょろしか出ておらず

3リットルの水を満タンにするのに

かなり時間が掛かったらしい・・・

 

そうか… そんなに大変で

その間私は気を失っていたのか…

 

苦笑いするほかなかった…

 

ゴメンなさい チチ・・・

 

 

綺麗にされている小屋の中

今夜の客は 我が家だけのよう…

本当は小屋の裏にテント場スペースがあるのだが

テントは張らずに 小屋を利用することにした…

 

これは疲れた身体には

朗報の様に助かる事だった

 

テント設営と撤収の作業がなく

快適に使える小屋の中

今宵はゆっくりと休めそうだ

 

 

コーヒーを味わい

食事をゆっくりとして

シュラフに入ってすぐに

深い眠りへと堕ちていった

 

つづく

 

ちなみに 水場は…

 

小屋の左横を通って

裏のテントが張れるスペースがあり

その裏から樹林帯を下っていく

 

 入口左横壁に表示!

 裏の樹林帯を下っていく

 水の看板あり

 水場

 

チチ曰く…

水はちょろちょろ 

砂交じり…

時間がかなりかかる…

 

 

 

 


大峯奥駈道を繋ぐ 明星ヶ岳 4 五鈷峰

2020年08月05日 | 山 近畿 大峰山系

7/23~7/24 ☂/☁ ガス・風強し

明星ヶ岳:カナビキ尾根~楊枝ノ宿小屋まで往復

 

明星ヶ岳から先は未踏の道です

大峯奥駈道を繋げる一つに

ここを通らねば 繋がりません

そして 日帰りで繋いでいく中で

このコースだけはどうしても 泊登山でなければ

厳しいものがあります

今日の宿にかんがえている楊枝の宿小屋へと

歩を進めるところからの続きとなります

 

明星ヶ岳からの続きです

 

奥の靡(なびき)に進むことを 奥駈けという…

 

トウヒ・シラビソに包まれた

亜高山性の常緑針葉樹林はどこか他の山と異なり

ガスの中 幻想的に演出してくれるものの

大峰独特の雰囲気が醸し出され

その奥の深さに…

言いようのない気持ちが沸き起こる

 

ただ 大峰を取る修験の奥駈道は

優しい道ではなく 修行の場として厳しさを伴い

ともすれば…

きっぱりと拒否してきそうな

そんな様相を呈して迎えてくる

 

 

 地面に置かれた新旧の標識

 立ち枯れの倒木が横たわる道

 倒木 木の根 苔付き滑る!

 越えて下ってトラバース!

 ちょっとした急な下り慎重に

 

笹ではなくシダの林床が青々しく風に揺れる

禅師の森は何処までも青く包み込み

そのまま抜け出る事が出来ないような錯覚に陥る…

 

 倒木 急斜面 トラバース

 濡れた岩や石が滑りやすい!

 

行けども 行けども

中々目途が付かない程に遠く

アップダウンの道なりに

越えて 下って また登って…

そして目の前に 飽きる事のない道が続く

…というよりも

一つの登りを終えて見える先に

びていく感じがした

 

道が延びていく…

果てしなく延びて延びて…

その先に行きつけるのだろうか…

 

そんな不安が過るほどに

道は遠く…長く感じた

背中の荷の重さを感じない分

先に進んでないような錯覚に 焦りが出てくる

ガスに包まれ陽の差さぬ世界に

時間の感覚もマヒしそうだった…

 

頭の中で ビバーグも過り

延びていく道を恨めしく見つめる…

 

すると…

トラロープがぼんやりと見えて来て

道の様相が少し変わったように感じた

 

 角度が変わりトラロープが…

 左側の斜面をよじ登る💦

 勾配を表す様に斜めの標識!

 急に急な登りになるんだ!

五鈷峰(ごこのみね)1694mの岩場

 

こんな岩場が待っていようとは…

以前とは様相が変わっているらしい

 

年月をかけて崩れている証なのか…

それでもトラロープが張っているので安心?

…かと思ったが

 

 崩れたような岩をチチが下る

 濡れて滑る岩に苦戦!

 

岩が乾いていれば

たぶんロープに頼らずとも下れる感じだ

しかし 一旦濡れると 性格が変わるようだ

よく滑る…

 

油断して足を置くと

そのまま滑落することになりそう

 

それに崩れた跡もあり 今の自身の状からも

ここは 慎重に 慎重に下る

 

さっきの激登りは

この地獄のような下りへの

予兆だったのか…

 

緊張に包まれながら 漸く下った先には…

ザレ場の下りが待っていた

 

 

 ザレ場の急坂

 

急なザレ場を下れば

そこには視界を閉ざした草原地帯

闇雲に歩くと道を見失いそう

して…

今日という日においては

ここから見えるはずの

五鈷峰の姿を見る事は叶わず

白い闇の中をただ歩いていくだけ…

 

 

 

…まだまだ 道は続くのか

 

無限の白い闇が行く先を閉ざすなか

鎮守の森は無言で道を延ばして誘う…

 

 

只管チチの後を追い続けるも

時にガスがそのチチの姿すら飲み込まれる…

 

チチ・・・

 

 

大峯の不思議な魔力

行けども行けども続く道に

惑わされるような錯覚に陥る

 

 

ガスはますます濃くなる

包み込むように濃くなり

昼なお暗く 夕暮れに感じる寂しさと

一抹の不安が過り出す

 

 

倒木 苔付き 滑る岩

浮いた小さな石さえも 疲れたには堪える…

 

 

惑わされないように歩くも

森から何かが囁き

まやかしの世界に引き込まれる…

 

鳥の声が

何時しか聞こえなくなっていた…

 

 

そして 七日迷い辺りに来た時の事だった…

 

チチの足が止まる

地図を確認…

 

道が消えた…

 

つづく

 

大峯奥駈道

峯奥駈道は修験道の開祖、役行者が8世紀初めに開いたとされる修験者の修行の道です。吉野川「柳の宿」(あるいは「柳の渡し」)を北の起終点とし、吉野山、青根ヶ峰、四寸岩山、大天井ヶ岳を経て山上ヶ岳(大峯山)までを「山上道」とし、大峰山寺本堂から熊野に向かう道を「奥通り」もしくは「奥駈道」と呼びました。

野から熊野までの約170kmの道程は、山上ヶ岳や弥山、八経ヶ岳、釈迦ヶ岳など標高2000m近い山々の尾根をたどる、修験道の中でも最も過酷で厳しい修行の行場です。この行は奥駈修行と呼ばれ、幾日もの間、崖をよじ登り谷を渡って歩き続けます。道中には大峯七十五靡き(なびき)と呼ばれる拝所・霊所があり、修験者たちはそれをひとつひとつ巡拝しながら峻険な山々で修行を行うのです。

の大峯奥駈修行は、山脈を仏法で云う金剛界(吉野側)と胎臓界(熊野側)に見立て、その場所を巡拝しながら即身成仏し、そして生まれ変わるという、擬死再生の修行を行う場所とされています。今なお多くの修験者たちが厳しい修行を行っています。千年の歴史を超えて引き継がれてきたこの道は、今回世界遺産登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の中心的構成要素と呼ぶにふさわしいものと言えるでしょう。

成16年の7月に「紀伊山地の霊場と参詣道」として、ここ霊場「吉野大峯」そして参詣道「大峯奥駈道」は、高野山。熊野三山などと共にユネスコ世界文化遺産に登録されました。日本では12番目、道としての登録は世界でスペインとフランスを結ぶ「巡礼の道」とここだけと言うことになります。

(こころ)の道・祈り  古の日本人は、遥かなる峰々・豊かな森・断崖絶壁などに畏敬の念を抱き、また水を生み、生命の源と考えた山岳を、神聖な場所として崇めてきました。この自然崇拝や神道と仏教などが融和したものが修験道であり、中でも大峯山「山上ヶ岳」は、わが国最初の山岳信仰の聖地として一三〇〇年の歴史を刻み、今なお多くの修験者が山に入り自身を見つめるなど修行に訪れており、ここ天川村、大峯の山々は少なからず日本人の精神形成に影響を与えた場所といえます。

天川村公式hpより

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


大峯奥駈道を繋ぐ 明星ヶ岳 3

2020年08月03日 | 山 近畿 大峰山系

7/23~7/24 ☂/☁ ガス・風強し

明星ヶ岳:カナビキ尾根~楊枝ノ宿小屋まで往復

 高崎横手からの続きです

高崎横手

 

頂仙岳 明星ヶ岳への古の道は

天川村と 下北山村を繋ぐ交通路であったという

 

その分岐でもある高崎横手

弥山を介して奥駈道へ進む登山道を歩くか

明星ヶ岳を介して奥駈道に入る歩道を歩くか

左右選択をするところとなる

 

以前は周回してここ高崎横手に戻り

川上村川合へと下ったが

今回は 明星ヶ岳の更に先へと進む予定のため

右直進へと歩を進め まずは

明星ヶ岳を目指して進む

 

 

 高崎横手を道なりに直進

 シラビソに巻かれたテープ

 シラビソの森が続く

 トウヒの間を抜けて行く

立ち枯れのシラビソとヒメワラビの林床

 

 

緩やかにアップダウンを続けて歩く

次第に体に力が入らなくなり

ザックの重さが空腹感と共に耐えられなくなる

 

ちち~ 

そろそろお昼ご飯なんぞは…

 

食べたいの?

 

ハイ! 

食べたいとお腹が泣いております!

私の腹時計は正確なのだ!

 

中平坦な所で休憩を取り

持参の爆弾おにぎりを頬張って

エネルギーを補給する

 

 

 出発だ!お腹一杯!ガス一杯!

 ゆるりとアップダウンが続く

 案内板にあれ? 手書き~

日裏山 1725m

 

 

樹林帯から抜け出た感じの広場が

日裏山のようである

標識は特になく案内板があり 

それが山頂を示すものであった

 

よ~く見ると 案内板の下の隅に

手書きの標示があった日裏山と…

 

 

急な登りではないが アップダウンはつきもので

未だ半分以上歩かねばならぬ

今日はなぜか身体に堪える…

背中のみがのみならず

をもめる感じだ…

がんばれ! がんばれ! まずは明星ヶ岳

 

 斜面はトラバース谷側は注意?

 平たい樹林帯木の根に注意!

トウヒ・シラビソ林 ヒメワラビの林床の道

 

 

この辺りは 日本では珍しく 

シラビソ林が

亜高山性常緑針葉樹林を形成している

ガスに包まれてもなお 緑濃く生い茂る

シラビソ・トウヒ林に

別世界に導かれている様な錯覚に陥る

 

疲れた身体も

この深き緑に包まれると癒されるのか 

心地よい空間に身をゆだね

歩く足取りも軽くなる……事はないが

心鎮まり癒される事により歩く力となる

 

 

 倒木が目立ちだし

 倒木の間を泳ぐところも

 あれよっと!しんど!

 

日裏山を過ぎていくと 気づく事がある

西側の斜面の樹林帯に

倒木立ち枯れが多いような…

 

シラビソ・トウヒ墓場のような森の中

木々の影の向こうに広がる幻想的な世界が

自然の厳しさが浮かび上がらせている感じ…

なんとも不思議な気持ちにさせられた

 

・・・かと思うと

 

 

 

若いトウヒの群生と 

シラビソが混生する森…

倒木 立ち枯れ シダの広がる林床や

ガスが微妙に動きながらも

緑豊かな森に包まれ 

自然の懐に抱かれる感じ

 

 シラビソの樹林帯を通っていくと

 若木の間から案内板が見えてきた

 石標? おお~

 

弥山辻に着いたようだ!

 

弥山辻

 

弥山辻に着いたと言う事は

漸く 奥駈道に出た… と言う事!

ここから王道の道だ!

 

に進めば 八経ヶ岳 弥山

に進めば 明星ヶ岳

 

その明星ヶ岳

ここからは目と鼻の先ほどに近い ただ…

山頂ではきっと風が大暴れしているだろう…

 

ならば

ここで少し休んでからと言う事になり

ザックを下ろして一休憩!

 

ところが…

身体が解放され軽くなると 今度は

汗だくの身体から体温を奪う様に

絡んで通り抜ける風のおかげで 

寒くなる

 

なぜか落ち着かなくなり

次第に体を小刻みに動かしながら

 

 

チチ…行こう…

 

ボソっという

 

行こうか…

 

チチは笑いながら腰を上げた

 

 

 

まずは 明星ヶ岳へ出発だ!

 

相変わらずのガスに

弄ぶような風の音が頭上でする…

取りあえず山頂を目指そう…と

重いザックを担いだ… 重!

 

 景色はないが雨も感じない

 途中の分岐を左!奥駈の寄道

 景色はないと木々は囁く

 

おいで おいで

山の天辺へ

 

おいで おいで

風の遊び場へ

 

今日は煙幕巻いたよ 

な~にも見えない

どうする どうする

楽しみは何処じゃ?

 

風の姿を木々が現し

倒木が目立つ山頂までの道

ガスに包まれたそこは

風の遊び場になっていた…

 

 明星ヶ岳山頂

 

木々が消えれば 

甚振るように体当たりしてくる風!

少しの雨交じりで 帽子をも飛ばす勢いだが

倒されるほどではない!

 

木々を揺さぶって脅しても

私は負けない!と思いながらも

弥山辻で休んでおいてよかったと心底思った…

 

 

明星ヶ岳 1894m

 

無言で迎える明星ヶ岳

 

今日の明星ヶ岳は… 

周りの風がうるさいだけで

倒木 立ち枯れに囲まれたその

ガスの所為もあるが 

どこか哀愁めいたものを感じた

 

展望も何もないベールに包まれた明星ヶ岳に

別れを告げて 早々に奥駈道の

明星ヶ岳の分岐点まで下る…と

いっても 2分も掛からない所だが…

 

 奥駈道からの分岐

 トウヒの立ち枯れが更に目立ち

 バイケイソウが目に留まる様になる

 可愛い花と思った この時は…

 

バイケイソウ

少しみじめな姿だがチラホラ見かけ出す

 

森に華と変化を添えてくれた感じで

この時は まだ 

バイケイソウの花をかわいいと思っていた…

この時は…

この時は…

 

 

 禅師の森もガスを纏う

 

今までとは違う 

奥駈道魅力?怖さ?面白さ?

ここからげっぷが出る程味わう事になろうとは

この時どうして気づく事が出来なかったのか…

 

幻想的な奥駈の道

今日の宿までわって歩くだけ…と

気楽に考えていた面があった…

 

アップダウンはあるが

然程急な変化はなく 

雨という邪魔もの

濡れた木の根や石滑りやすい事を覗けば

然程 しんどいと思う事も無く

もうすぐ今日の宿に着けると思っていた

 

急な道 険しい道 崩れた道…

少しは想像できたであろうに

ただただ…今日の宿は何処だと

奥駈の道を歩いて 歩いて 歩き続けた…

 

歩き続けて…

 

 

つづく

 

 

吉野・大峯と熊野三山を結ぶ修験者の修行の道で、標高千数百メートルの山々の主稜線を踏破するように拓かれ、随所に行場が設けられている。

伝説によれば修験道の祖とされる役行者が拓いたとされ、修験者は奥駈を義務づけられ、回数を重ねることが重要とされている。道の途中には靡と呼ばれる行場が75ヵ所設けられているが、特に冬ごもりの洞窟として知られる「笙の窟」、役行者修行の地と伝えられる「弥山」、山伏集落である「前鬼」は重要な場所とされている。

        ー大峯奥掛道hpよりー

 

 


大峯奥駈道を繋ぐ 明星ヶ岳2 高崎横手まで

2020年07月31日 | 山 近畿 大峰山系

7/23~7/24 ☂/☁ ガス・風強し

明星ヶ岳:カナビキ尾根~楊枝ノ宿小屋まで往復

 

カナビキ尾根の取付きからの続きです

 

 林道終点からの杣道?

 植林の急登を九十九折に登る

 

歩き始めてから 急登を無言で登る

ただ只管に杣道を九十九折に登る

下の方から沢の音が聞こえてくるが

それすらも入らないようになる…

久々にザックの重さがえる…

 

杣道が終り 尾根らしい道に出た時に

未だ1時間も経っていないが休むことにした…

 

 杣道が終る所で休憩

 

チチも 久々のテン泊用のザックの重さが

些か 応えるようだ…

身体というより 足…に堪えるのだろう

 

本来なら荷は私が持つべきだろうが

足を引っ張る事になる…

膝の悪いチチと 体力のない私…

 

それでも 自身の身体と向き合いながら

出来る範囲を少しずつ狭めながらも

続けられる努力をするだけ…

 

 道は自然林へと変わる

 洞穴になった木

 

自然林の中は また雰囲気が違う

古木 大木 捩じれた木

 

様々な様相を呈して迎えてくれるが

何処までも同じなのは 静寂という空間…

 

時折風が通り過ぎるが

の姿は…感じない…

 

樹林に守られているのか否か…

心配していたに当たる事はなかった…

 

急登は変わらず続き

地面とにらめっこしながらの登りが続く

 

 生き物のような木の根

 

雨は無いが 濡れた木の根が良く滑る

足の置き方を間違えると

容赦なく足を掬われる感じだ

 

それは大峰らしいといえばそうなのだが

今回の山行では常につき纏い 

この先の奥駈道では

更に緊張を与えられる事になる…

 

そう思えば まだこのカナビキ尾根は

歩き易い方だ…

ただ な登りに喘ぐだけ…

 

 あれ?ロープが張られている!

ロープ地点

 

ロープが張られ

通せんぼするところに出た!

よ~く見ると脇道が出来ている…

登って来た方向のルートに

ロープが張られていると言う事は…

 

えっ!

歩いてはいけない方向から

登って来たの?!

 

どうも 昔ながらの急登を

必死こいて登って来たけれど

いつの間にか巻き道が出来ていたよう…

 

そして登って来たところではなく

脇道の方を通るように

ロープが張られていた…というわけ…

 

そういえば 来る途中に道が分かれていたが

その道がどこに行くのかわからず

昔のまま登って来たのだが…

 

帰りは こちらを通ろう

ロープの横の新しい道をみてチチが言う

 

えっ!

実はこの時私は…

違う事で気になる事が出来た…

 

ルートはチチに任せっきりの私…

それまで往復するコースとは思っていなかった

 

大体 そのこと事態が間違いなのだが…

通り抜けるか周回するものと勝手に決めて

忙しさを理由に 地図をよく見ず ほいほい

チチの後についてきたのだった

 

そしてそれが 後に 

気持ちを萎えさせる原因になるとは…

 

 

 

それと…

下山して 通ったルートを確認すると

気付いた事だが

往路では 厳しい方ばかり歩いていたよう

カナビキ尾根も 急斜面を選んで歩いていた感じだ…

 

そりゃ~しんどかったはず!

だがこの時は

知らぬが仏で…

先は長いと頑張って登っていた

 

 倒木や木の根が邪魔をする

 大峰らしい雰囲気になり出す

 

ツルアジサイだろうか…

イワガラミだろうか…

付着根型の植物が古木に絡み 

覆っている姿が目を惹く

 

巧く共存できているのか…

大木は枯れてなお 抵抗する事なく

絡まれているだけなのか…

 

どの山でも見る事が出来る光景だが

ここ大峰に至っては

どうしても違った雰囲気に感じてしまう

それは…私だけなのだろうか…

 

 樹林帯の急登は続く

 スカイラインが見えて…

 

支尾根とは思えない広さの

カナビキ尾根の最期の登り

出合地点に出たのか…

チチの足が止まった…

 

ガスの動きが見えるわけではないが

どこか神秘的であり 神々しい何かを秘め

森の吐息を感じさせるよう…

 

ふと…

見えぬ空を見上げ  溜息をついた…

そこがちょうど 

カナビキ尾根から主稜線へと

バトンタッチされる出合だった…

 

 

 金引橋方向がカナビキ尾根を指す

カナビキ尾根分岐

 

T字の分岐に立ち周辺を見るが

これといって目立つものは無し

標識と踏み跡の道が それを指し示しているだけ

 

カナビキ尾根はここで終了!

あの急登に比べると ここからは

アップダウンはあるが まだ歩き易い…かも

 

方向に延びる尾根は

天川川合の健民グランド横にある登山道に下る

方向に延びる尾根を進み

明星ヶ岳を目指す

 

少し足休めをしてから 歩きはじめる

 

 ガスはますます濃くなる

 ナメリ坂も急登…

 雪深いのか 高い位置の標識

 

ぼやけたスポットライトを浴びたような個所

薄暗い樹林帯の中に明るさを見つけると

なぜかホッとする

 

風が勢いよく通り過ぎる・・・

雨ではなさそうだが

濡れた木の葉の雫が大粒の雨の様に落ちてくる

閉ざされた世界に明るさが届いた時だった…

 

カナビキ尾根分岐からのナメリ坂

やや変化に富んだ感じだ 

アップダウンもある

急な坂もある…が然程長くはない…

小さなピークもあり

それを巻くような道は笹床の道

 

鬱蒼と茂った樹林帯では

どの辺りをどう歩いているのか

分かり難い感じだが

道はしっかり残っていて

迷う心配はない

 

景色も何もない 灰白色のガスに包まれ

見通しのない山道をただ ひたすら

登る 登る 登るだけ

 

 

 笹床の道

 ナベの耳辺りを通過

崩壊した斜面トラバース

 

ナベの耳と呼ばれる

タワ付近を通り過ぎると

斜面の崩壊が所々あり

谷側に崩れ落ちるザレ

 

足元を確認しながらも

谷間に堕ちる先はガスの中

お陰で恐怖を感じる事はない…

 

 

 崩壊部分もガスの中 らっき~?

 濡れて滑る岩場 用心用心

 ガスの中 な~にも見えず風が笑う

 道はドロドロ 泥濘いやだ~!

 

何、我儘言ってんのよあんた!

覗き込む鹿さん 

高崎横手に近づくころ

逃げるでもなく距離を保ちながら 

こちらの様子を伺う様に見ている

 

泥濘に嵌ってアタフタする姿…

見て笑っていたのかな?

 

高崎横手

 

分岐点だ…

 

昔 ここに来たことがある

微かな記憶の中  確か…

明星ヶ岳から八経ヶ岳を通って

弥山周りで周回したはず…

 

そうか…今回

明星ヶ岳2回目という事になるのか…

 

ただし これも下山してから思い出したこと

この時は微かな記憶の中ですら

思い出してはいなかった…

 

前に来ただろう…とチチが言っても

そうだったかな…ぐらいで

ただ久々の装備の重さに

耐えている自分が居ただけ…

 

雨が落ちてきているのかいないのか

湿度の高いガスに包まれたまま

明星ヶ岳を目指して歩を進めていった

 

 

つづく

 


大峯奥駈道を繋ぐ 明星ヶ岳 取付きまで

2020年07月29日 | 山 近畿 大峰山系

7/23~7/24 ☂/☁ ガス・風強し

明星ヶ岳:カナビキ尾根~楊枝ノ宿小屋まで往復

 

コロナ禍で今年は翻弄されっぱなし

漸く山活動を再開して 少しずつ体力をつけ始めた

連休となればアルプスを目指すところ

今年は難しい状況に置かれている

近場の山を愉しむことに止める事とし

以前より温めていた大峰山行を実行しようかと考える

 

奥駈道を全走破したいが…

一応女の身である私には

逆立ちをしてもできる事ではない

いや 許される事ではない…

 

そこで チビチビと繋げて 

登れるところを制覇しようと目論んできた…

 

女人結界から北部を日帰りで繋ぎ 今まで

八経ヶ岳 弥山 明星ヶ岳 孔雀岳 行者還岳…等々

入山可能なルート範囲で登っている

 

ただ どうしても日帰りだけでは難しいコースもあり

今回その一つである明星ヶ岳から楊枝ヶ宿…

往復するにしても 抜けるにしても

日帰りは難しい そこで今回 一泊予定で

往復することにした

 

久々の テン泊用の装備を担いで…といっても

チチがほとんど担いでくれるのだが…

水はしっかりと3~4リットル必要!

その装備で最期までついて歩けるか…

今の私の体力では どうなるのか

本当は不安であったが チチがいるという安心が

背中を押してくれた

 

いつも以上に 長々となるであろう記録を

記憶の中にあるものを呼び起こしながら

ここに残しておこうと思う

 

コースタイム

 

7/23 

熊渡 川迫川橋 → 8:48 カナビキ尾根・弥山川分岐 → 8:52 金引橋 → 10:53 カナビキ尾根分岐 1440m 11:00 → 11:45 鍋の耳 → 12:13 高崎横手 → 12:50 日裏山1725m → 13:40 弥山辻 13:50 → 13:55 明星ヶ岳1894m → 14:47 五鈷峰1694m → 15:45 舟の多和 → 16:30 楊枝ヶ宿小屋 1594m 泊

 

7/24

5:50 楊枝ヶ宿小屋 → 6:40 舟の多和 →7:58 五鈷峰1694m → 9:00 菊の窟 → 9:10 弥山辻 → 10:03 日裏山725m → 10:25 高崎横手 10:40 → 11:35 カナビキ尾根分岐 11:45 → 13:00 カナビキ橋 13:10 → 13:45 熊渡 川迫川橋

 

 

 

 熊渡 川泊川橋

川迫川

 

澄んだ水の流れが静かである

思ったより水量は少なく

思いの外 雨は降っていなかったようだ…

 

ここ川迫川は  子供がまだ小さい頃 

よく遊びに来た川でもある

そのころはゴルジェも深く青緑に染まっていた 

 

真夏でも水は冷たく長く浸かっていると

唇の色が変わるほどであった

そのころと変わらず 水は透明で美しいが

砂利が堆積しており 浅くなっているように思う

 

その川迫川を眺めながら橋を渡り

ゲートを越えて林道をしばらく歩いていく

 

 

 ゲート

 登山届BOXがある

国有林道

 

静かとはいい難い…

 

渓谷の水の音は静かな谷間を割って響く

それでも 山の静寂さを邪魔することは無く

自然の音の心地よさが響いてくる感じがする

 

林道といっても進めば進むほど

姿は変わり 車両が走れる状態ではない

崩壊した所もあり 荒れた状態が目立つ

 

人が手掛けたものも  何時しか

取り込まれ自然に還っていくのだと感じる…

 

 林道崩壊地

 車両さえ拒否するような林道

トサカ尾山

 

林道を道なりに進んでいくと

樹林帯の間からトサカ尾山が顔を出してくる

 

そのトサカ尾山を望んで間もなく

金引尾根と弥山川分岐の広場に出る

 

 

金引尾根・弥山川分岐

 

の方向に進むと弥山川沿いに双門滝ルートへ…

このルートは険しい事で知られているが 面白い♪

今回はカナビキ尾根を進んで明星ヶ岳を目指す

 

 カナビキ尾根へと進む

 自然に戻る感じの金引橋

 

林道終点から本格的山歩き開始です

支尾根のカナビキ尾根を登っていく!

 

急な登りの始まりだが

久々のテン泊装備が肩に圧し掛かってくる

 

大丈夫か…

いや 歩きだしたら慣れてくるはず…

最後まで歩けるか…

いや 歩かねばならない

自問自答しながら登る事に…

 

歩き始めから が吹き出してきた…

 

 

つづく