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郵便配達は二度ベルを鳴らす

2017-04-06 20:52:01 | 映画
ヴィスコンティ生誕110年、没後40年記念祭を忘れていた。昨年末から1月にかけてだったか。
ロビーで上映スケジュールを観ていたが、既に観ているのか確信を持てないままだった。日本公開が1979年。なんと制作が1942年。ヴィスコンティの長編処女作「郵便配達は二度ベルを鳴らす」だ。

やっぱり観ていなかった、たぶん。
観たのはアメリカ映画ジャック ニコルソンのだった。それだって相当昔1981年作だ。

新宿武蔵野館は素晴らしい企画をやってくれた。
デジタル修復、画質も音質も想像を超え立派だ。なんと言っても大戦中のムッソリーニのファシズム体制下の作品なのだ。

北イタリアの街道筋でブラガーナ(ファン デ ラング)は年の離れた美しい妻ジョヴァンナ(クララ カラマイ)とガソリンスタンドと食堂を営んでいる。ある夏、一文無しの風来坊のジーノ( マッシモ ジロッティ)は自動車修理の腕を見込まれブラガーナの店で雇われる。

ジョヴァンナはジーノを目線を合わせたときから性的魅力に圧倒される。


風来坊の色男は危険な怪しい魅力を持っている。ジョヴァンナは身も心も揺らぐ。僕らも胸騒ぎがしてくる。何かしら必然的に事件が起こるに違いないと。

二人は駆け落ちを試みるが、ジョヴァンナは思案のあげく罪悪感で思い直し家に戻る。

ジーノは再び流浪の旅に出るのだが。
ある港町でブラガーナ夫妻に再会することになる。 ジーノに再会したジョヴァンナの心は再び燃えはじめる。
ジーノは店に戻ることになる。
その夜、ジーノとジョヴァンナは交通事故と見せかけ夫を殺してしまう。

二人の生活は暫し続くのだが、店に留まっているジーノは息苦しさから町にでる、町で若い女性と恋仲になりジョヴァンナの元に戻らなくなる。

やがて事故は儀装とばれジーノは追われる身となる。
ジーノはジョヴァンナが警察に通告したからだと思い込むが、結果的にジョヴァンナの元に戻ることになる。

ジョヴァンナはジーノの子を宿していた。

二人は、新しい土地に旅立つことにする。ジーノは猛スピードで車を走らせる。トラックとすれ違いざまだ。
ハンドルミスでジョヴァンナは崖下に投げ出されて亡くなってしまう。
夫ブラガーナと同じように。

愛人との共謀による夫殺し映画と言ってしまえば、通俗だが、4本も映画化されていることから原作ジェームズ M ケインの「The Postman Always Rings Twice」は魅力あるのだろう。


郵便配達員などは出てこない。
二度ベル鳴らすことで郵便配達だと分かる、これを引き合いに、二度目のベルは決定的な報告を意味するのだ、という意味で原作者はタイトルを決めたと言う。
映画では、重要なこと=事件が二度ずつ起きて二度目が決定的な事態になっている。

いま、何故か、ジーノと再会した港町で、
ブラガーナがのど自慢で歌った「椿姫」のアリアのシーンが思い出される。

とても美しい声だった。






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