ああ、今の雨の匂い
これは幼稚園の登園のときに嗅いだことがある
もうすぐ春が来ると、わかる匂い
かすかに草木の青を含ませる
長靴の湿った感触、やわらかい土
ぬれたアスファルトのでこぼこ
小さな緑の歩道橋にある滑り止め
その違いを、足の裏全体がはっきりと感じていた
水溜りを渡るタイヤのしぶき
小さな空き缶に落ちる甲高い音、
私のかさに落ちるポツポツという音
蕗の大きな葉に落ちては溜まる低い音
調和しない不規則な音たちを耳は全部拾っていた
道の途中に立ち寄る牛乳屋さん
軒先で見るたくさんの雨の柱
ガラスにつく雨粒
鏡になった水溜り
空を隠れながら流れる雨雲
さえぎられた太陽の光が注がれているのが見えた
すべてがあっという間の時の流れをこえて
鮮やかに私の中から蘇ってくる
ほとんどお弁当に興味のなかった私に持たせるため
瓶入りのフルーツヨーグルトを買う母
そのやさしい思いや、つないでくれただろう手の
暖かさをはっきりとは思い出せないというのに
これは幼稚園の登園のときに嗅いだことがある
もうすぐ春が来ると、わかる匂い
かすかに草木の青を含ませる
長靴の湿った感触、やわらかい土
ぬれたアスファルトのでこぼこ
小さな緑の歩道橋にある滑り止め
その違いを、足の裏全体がはっきりと感じていた
水溜りを渡るタイヤのしぶき
小さな空き缶に落ちる甲高い音、
私のかさに落ちるポツポツという音
蕗の大きな葉に落ちては溜まる低い音
調和しない不規則な音たちを耳は全部拾っていた
道の途中に立ち寄る牛乳屋さん
軒先で見るたくさんの雨の柱
ガラスにつく雨粒
鏡になった水溜り
空を隠れながら流れる雨雲
さえぎられた太陽の光が注がれているのが見えた
すべてがあっという間の時の流れをこえて
鮮やかに私の中から蘇ってくる
ほとんどお弁当に興味のなかった私に持たせるため
瓶入りのフルーツヨーグルトを買う母
そのやさしい思いや、つないでくれただろう手の
暖かさをはっきりとは思い出せないというのに