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8月2日に日本政府が韓国を「ホワイト国(輸出手続きを優遇する対象国)から除外する」ことを閣議決定したと伝わるやいなや、韓国政府や韓国メディアはこぞって「対韓輸出規制発動」「日本による経済戦争の宣戦布告」と、ハチの巣をつついたような大騒ぎとなりました。
日本のメディアなどの報道を目にしてきた限りでは(こうなることは十分予想できた)当然の流れのように感じるのですが、韓国の認識はそれほどではなく「どうせまた…」とタカを括っていたということかもしれません。
8月6日の国内報道によれば、韓国のニュース番組は一斉にこの問題に切り替わり、午後2時には青瓦台(大統領府)が臨時の国務会議を召集。会議に入る前に文在寅大統領が異例の生中継で対国民向けのメッセージを発表するなど、まるで本当の戦争が始まったような様相です。
このメッセージで文大統領は、「加害者である日本が、盗っ人たけだけしく大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」「わたしたちは二度と日本に負けない」「わたしたちも段階的に措置を強めていく」と、かつてないほどの強い口調で断じたと報じられています。
こうした官民挙げてのキャンペーンに応え、韓国内で「NO JAPAN」の掛け声とともに日本製品の不買運動や日本への渡航自粛の動きが広がっているのは伝えられているとおりです。
このような世論の動きを「日本の経済侵略への第2の独立運動」などと煽り立てる韓国政府のあまりのストレートさ(と多少ヒステリックとも取れる動き)には眩暈いがしそうですが、そこに「反日」で燃え上がる国民感情をエンジンに支持率を挙げたいと考える文政権の目論見が透けて見えるとの指摘もあるようです。
いずれにしても、文在寅大統領は日本政府の決定を韓国大法院が日本企業に賠償を命じた判決に対する「報復」と主張し、これに対決する姿勢を強調しています。
韓国国会も日本の輸出規制の撤回を求める決議案を全会一致で採択したほか、8月24日に更新期限を迎える軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を継続しないなど、報復を辞さない考えを示しています。
今回の日本による韓国の「ホワイト国除外」措置に関しては、輸出管理を問題視する日本に対し韓国は自由貿易に反する経済報復という主張を繰り返しています。
7月にジュネーブで開かれた世界貿易機関(WTO)の一般理事会でも、日本代表は(韓国では)日本が求める協議が過去3年間行われず不適切な事案があったと説明したところです。
しかし、韓国代表は元徴用工問題に対する報復であり自由貿易制度に反する措置であることを強調し国際社会の賛同を求めるなど、各国に韓国の立場への理解を強く求めたと伝えられています。
8月6日のニューズウィーク日本版(「韓国・文在寅大統領は日本との関係には無関心?」)によれば、1965年の日韓基本条約以降、韓国の歴代政権は友好と反日を繰り返しながらも基本的には日本外交を重視してきたということです。
日本との友好を掲げた盧武鉉政権や李明博政権は、支持率が低下した後半は一転反日を主張した。一方、異常なまでの日本批判を続けた朴槿恵政権は、後半で日本に歩み寄ったと記事は説明しています。
しかし、現政権である左派文在寅政権は、(実は日本への直接的な関心が薄く)日本との外交は朴正煕・朴槿恵政権の批判に終始しているというのが記事の認識です。
慰安婦問題は「日韓基本条約で解決済み」とする日本に対し、歴代政権は「条約には含まれない」として謝罪と賠償を求めてきたが、文政権は朴槿恵政権下での日韓合意のみを問題視している。
韓国大法院が日本企業に賠償金の支払いを命じた判決でも、司法府の判断を尊重すると(内容には)関与しない方針を示し、政令改正に先立ち日本側が行った経緯説明にも政府として正面から対応することはなかったということです。
また、前述のように韓国政府は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄の可能性を示唆していますが、韓国軍内部では否定的な意見が多いと記事は記しています。
韓国はGSOMIAにより日本が有する情報収集衛星や地上レーダー、イージス艦などの高度な軍事情報を共有する一方、日本は脱北者など人的ネットワークの情報を主に得ているということです。
韓国軍としては(日本の情報が得られなくなり)米軍からの情報のみに頼る状況は、国防力の脆弱化を招くことから、GSOMIAの破棄はできれば避けたい局面だとということでしょう。
北朝鮮は韓国が推進するコメ支援の受取りを拒否し、(日・米・韓の警告を身視して)7月下旬から8月初めにかけ距離弾道ミサイルを数回にわたって発射しています。
また、時期を合わせたかのような竹島領域への中国・ロシアが連携した領空侵犯なども、日・韓両国政府の不協和音に乗じた「揺さぶり」の意味が強いと言われています。
もちろん、GSOMIAの破棄などによって日・米・韓の軍事的連携の一角が崩れるようなことがあれば、東アジアの軍事的な安定に大きなリスクを与えかねないことは言うまでもありません。
そうした観点から、「日米韓の安全保障に深刻な事態をもたらしかねない協定破棄に対し、日韓の確執を傍観していた米国は(いよいよ)神経を尖らせている」と結ぶ記事の指摘を、(今後の動きも含めて)注意深く受け止めたところです。
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