MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2680 今どきの中学校では「13人に1人」が不登校

2024年12月06日 | 教育

 昨年度、国内で不登校の状態にあった小中学生の数は34万人余りにのぼり、11年連続で増加して過去最多となったと10月31日のNHKニュースが伝えています。

 文部科学省の調査によれば、全国の小中学校で30日以上欠席した児童・生徒は34万6482人で、前の年度と比べて4万7000人余り、率にして15%増え、11年連続で増加して過去最多となった由。小学生が13万370人で10年前の実に5倍、中学生が21万6112人で10年前の2.2倍に、それぞれ増えたということです。

 不登校の理由としては、学校生活に「やる気が出ない」が32.2%と最も多く、次いで「不安・抑うつ」が23.1%、「生活リズムの不調」が23%と続いているとされています。また、認知されたいじめの件数は、小学校が58万8930件、中学校が12万2703件、高校が1万7611件、特別支援学校が3324件に及び、前年度よりも5万件余り増えて過去最多を更新しているということです。

 こうした状況に文部科学省は、「子どもの状況に応じた教育が必要だという保護者の意識の変化も背景にあると考えられる」とコメントしています。また、不登校やいじめの問題に詳しい上越教育大学いじめ・生徒指導研究センター長の高橋知己氏は番組において、「学校に行かないことがよくないという従来の意識に変化が出ている」と指摘しているところです。

 氏によれば、「子どもがストレスを抱えたまま通学するよりも、自分が学びやすい場所(フリースクールなど)で学ぶことが可能だということが広く認知されてきているのではないか」とのこと。「学ぶ場が整った環境であれば、学校教育に限らなくてもいいと保護者が気づき始めている」というのが、こうした状況に対する氏の見解です。

 不登校の理由が「やる気が出ない」(つまり「かったるい」)からというのも笑ってしまいますが、まあ(状況が許すのであれば)何も目くじらを立てて「登校」に執着する必要もない(だろう)というのは私も理解するところ。多様性が重視される現代社会において、「ほかの子供と同じ」(→量産型)というのは、もはやそれほどの意味を持たなくなっている(のではないか)とも感じます。

 一方で、だからと言って教育現場の先生たちが「来たくなければ来なくていいよ」と突き放すのは(それはそれで)無責任な話。いじめの排除なども含め、学校が子供たちにとってより魅力的なものになるような努力を続けていってほしいものだと思います。

 さて、そんな折、11月7日の報道サイト「FNNプライムオンライン」に『中学生の13人に1人が不登校に…東京都の小中高で過去最多更新も学校復帰率は上昇』と題する記事が掲載されていたので、指摘の一部を小欄に残しておきたいと思います。

 増え続ける不登校。都内の中学生の13人に1人が不登校であることが分かった。原因は、学校生活に対してやる気が出ない、が最も多く、不安・抑うつなどの相談も多く寄せられていると記事は綴られています。

 ここでいう「不登校」とは、年度内に30日以上登校しなかったことを指し、病気や経済的理由などのケースは除外されている由。在籍児童・生徒数に占める割合は小学校で2.21%、中学校で7.8%。ともに11年連続で増加。中学校ではなんと13人に1人が不登校という高い割合を示したということです。

 不登校の問題への対応の難しさの1つに、不登校になった児童生徒本人が、なぜ学校に行けなくなったのか、理由がわからないケースがあると記事はしています。東京都の調査では、最も多かったのが「学校生活にやる気が出ない等」で、次いで「不安や抑うつ」「生活リズムの不調」など。このほかにも、親子関係、家庭生活、学業の不振、友人関係をめぐるトラブル、などといったケースも報告されているということです。

 東京都は、不登校の児童生徒が増えている原因として、「保護者の学校への意識が変化し、通学だけがすべてではないという考えをもつ家庭が増えた」「新型コロナウイルスを機に登校への意欲が低下した」「フリースクールなど多様な学びに接する機会が増えた」などを挙げているとのこと。

 思春期のデリケートなハートは、ちょっとしたことでも傷きやすいもの。「今日はガッコ行きたくないな…」と思ったそんな時、家族が誰も家にいなかったり、「行きたくなければ無理して行かなくてもいいよ」などと言われれば、「じゃ、休んじゃお」と思うのも無理のないことかもしれません。

 調査を担当した東京都教育庁の美越英宣氏は記事において、「不登校は、とりまく環境によってどの子にも起こり得ること。家にいることが心身の休養であったり、自分を見つめなおすなどの意味をもったり、エネルギーを貯める時間になることもある」と話しているということです。

 何事も、無理を迫らないのが「現代流」というものなのでしょうか。とはいえ、学校に行きたくない理由も人それぞれのはず。面倒くさがらず、十羽一からげにせず、(親や学校が)個別にじっくり子供に向き合っていく必要があるのだろうなと、記事を読んで改めて感じているところです。



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