MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2533 エナジードリンクはなぜ効くのか?

2024年01月25日 | うんちく・小ネタ

 先日、テレビのインタビューで、岩手県内にお住いの大正2年(1913年)生まれの久保田イチさん(110歳)が「長寿の秘訣は?」と聞かれ、「これまで生きてこられたのはリポビタンDのおかげ。今はリポビタンのおかげで元気になりました」と答えているのを聞いて、思わず笑ってしまいました。

 実際、リポビタンDは息子さんが毎回箱で50本くらい届けくれているものだとか。イチさんはそのリポビタンDを毎日欠かさず1、2本、それも一気に飲むのではなくて、日中にちびちびと長い時間をかけて飲んでいるのだそうです。

 「ファイト一発!」のリポDが本当に効いているのかどうかはわかりませんが、我々の世代にとっても親しみのあるリポビタンやオロナミン、ユンケル、リゲインなどの栄養ドリンクを口にすると、なんか疲労回復に役立っているような気がするのは事実です。それでは現代の若者たちも、こうした飲み物から元気をもらっているのでしょうか?

 株式会社RCCOO(東京都渋谷区)が運営するリサーチサービス『サークルアップ』が今年の9月、Z世代に対し「エナジードリンク」に関する調査を行っています。これによると、(いわゆる)エナジードリンクを「一日に1回以上飲む」と答えた若者は回答者全体のわずかに1%。以下、一週間に数回が6%、2~3週間に1回程度が8%、1カ月に1回程度が26%で、「ほとんど飲まない」との回答が全体の過半(58.5%)を占めたということです。

 コンビニによく並んでいるエナジードリンクと言えば「若者の飲み物」というイメージが強いですが、調査結果からはまだまだそれほど一般化していないことが見て取れます。なお、この調査において「エネジードリンクの好きな銘柄」を聞いたところでは、MONSTER ENERGYが34.7%とトップで、以下、「好きなものはない」が27.1%、Red Bullが21.8%、リアルゴールドが8.9%、デカビタが7.6%という結果だったそうです。

 自分自身ほとんどエナジードリンク系のものを口にしないので正直よくわかりませんが、(とは言え)黒いのやら青いのやら、あれだけコンビニの棚にたくさん並んでいるところを見ると、日常的に親しんでいるヘビーユーザーがそれなりにいるということなのでしょう。

 欲物による健康被害の危険性を知らせる横浜市のホームページによると、エナジードリンクの摂取には習慣性が生まれる可能性があるとのこと。依存状態が進行するとドリンクでは十分な効果が得られなくなり、市販のカフェイン錠剤や別の覚醒作用のある市販薬を多量に服用してしまうこともあるとされています。

 また、飲むのをやめても、身体からカフェイン(依存対象)がなくなった際に、離脱症状として、睡眠障害や精神不安、疲労感などの(過眠、イライラ、集中困難など)を起こす場合などもあるようです。

 さて、こうした話を聞いていると、コーラなどの炭酸飲料なども含め結構危険な香りがしてくるのですが、それでも(それだからこそ?)、あのほのかに甘酸っぱい口当たりやシュワっとした爽快な喉越しが恋しくなるのも(「スカッと爽やか」で育った)昭和の世代だからということでしょうか。

 東京農業大学名誉教授で医学博士の田中越郎氏によれば、イライラしているときに炭酸水を飲むとリラックス感が増し、気分を落ち着かせる効果があるとのことです。(「コーラを飲むと歯が溶けるは科学的に正しい…砂糖たっぷりのコーラが腐らないゾッとする理由」PRESIDENT ONLINE 2023.11.21)

 そのメカニズムははっきりしていないようですが、炭酸水に溶け込んでいた二酸化炭素が胃のなかで発泡して胃を膨らませ、胃の神経を刺激して副交感神経を活発化させるのではないかとのこと。胃の中の二酸化炭素は胃腸で吸収されて血液中に溶け込んだあと、最終的には肺から呼気中に捨てられる。その際、効率よく余計な二酸化炭素を捨てるために呼吸が深くなり、その呼吸運動が副交感神経を活発化させるという影響もあるようです。

 さて、そして次は「栄養ドリンク」の話。疲労回復には栄養ドリンクという人も多いが、その主成分は、①タウリン、②ビタミン、③カフェイン、④その他―に大きくまとまられると田中氏はこの記事で説明しています。

 ①のタウリンは肝臓の機能を助けるもの。お酒を飲んで疲れたときに適しているということです。一方、②のビタミンには代謝を助ける効果が期待できる。肉体的に疲れたときになどには効果があるかもしれないと氏は言います。

 そして、③のカフェインです。興奮剤の一種であるカフェインは精神的に疲れたときに適しているが、これは脳を興奮させて疲労感をゴマかしているだけとも言えると氏はしています。④の「その他」の代表選手は漢方薬や乳酸菌だが、いずれにしろ、1本飲んだからといって疲労が完全消滅することは期待しないほうがいいというのが氏の見解です。

 まあ、どれも「気休め」と言われれば気休めに過ぎない。この手のドリンクの最大の効果は、「効くはずだ」という本人の思い込みだろうというのが氏の指摘するところです。

 例えば、氏が試しに飲んでみた多数の栄養ドリンクの中で、最も効いた感じがしたというのが(ヤクルトが製造販売している)「タフマンスーパー」というドリンク剤だとか。元気が出たような気がしたが、これも「高麗人参1000mg」に加え、多くの人参エキスなどが入っている」というラベルを見たことが思い込みに火を付たからだろうということです。

 「病は気から」というのはよく聞きますが、健康に生きるためにもまずは「気持ちが」大切だということでしょうか。まあ、もしも毎日1本の「リポD」が長寿の秘訣になるのだとすれば、それはそれで安いものだと思わないでもありません。



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