MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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♯100 土下座の作法

2013年12月16日 | うんちく・小ネタ

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 今年評判になったドラマ「半沢直樹」の最終回では、主人公「半沢直樹」役の堺雅人が敵役である香川照之演じる「大和田常務」に対し「さあ、土下座して詫びてもらいましょう」と言い放ち、ドラマはクライマックスを迎えます。父親の復讐を遂げることになるこの「決め台詞」に、大きく溜飲を下げた視聴者も多かったのではないでしょうか。

 話題が話題を呼び、一躍脚光を浴びたこの「土下座」。テレビで(そして実物は選挙の時などに)何回か見たことはありますが、実際に目にしてあまり気持ちのいいものではありません。本来、土下座などはしないで済むように、そしてさせないで済むようにするのが大人のマナーというものでしょう。

 しかし、大きなミスをしでかした時の「開き直り」に近い最後の手段として、「土下座」は今もビジネスの世界で生き続けていることが、このドラマによって再認識されたことも事実です。

 歌舞伎の世界ではありませんが、そもそも「土下座」は最大の謝意を抽象化したパフォーマンスであり、「男がプライドを捨てて謝罪をしている」という形を作ることが何よりも求められます。

 そういった意味では、土下座はやはり可憐な女性よりも、屈強な男に似合うプレゼンテーションと言うことができます。それだけに、ひとつ間違えば「常識知らず」、さらには「滑稽」のそしりも免れません。やるとなったら失敗は許されないということです。

 できることならこういう経験はしたくないのですが、「万が一」ということもありえます。総合経済誌の「PRESIDENT(2013.11.18)」に、これまで公式には語られることが少なかったビジネスマナーとしての正しい「土下座」の作法について実に興味深い記事が掲載されていましたので、参考までに紹介させていただきます。

 お笑いコンビ「ラーメンズ」がネタづくりの際に確立させたという、「正しい型」は以下のとおりです。

① 何か重大なミスをしでかす(←土下座モードをオン。やるとなったら躊躇しない潔さが肝心です。)

② 目で、申し訳なさを精一杯あらわす。(←顔の表情を思いっきり情けなく。わざとらしくても大丈夫。すがるような目がポイントらしい。)

③ 立っている位置から、一気に5歩下がる。(←後ろを向いたりせず、一気に素早くあとずさる。)

④ おもむろにスラックスの膝上15cmをつまみ股関節のやや下まで引き上げる。(←のんびりやっては効果半減、流れるように⑤に続ける。)

⑤ 躊躇せず膝を床につける(←利き足から順に膝をつく。下が砂利だろうがぬかるみだろうが、いさぎよく膝をつく姿が美しさを作る。)

⑥ 膝の次は、手を床につける。(←目線は外さず相手を見つめたままで。手はハの字が理想的。)

⑦ 頭を床上1cmのところまで一気に下げる。(←この際、髪は乱れた方が効果的。美しい背中の曲線を相手に見せるつもりで。)

⑧ この姿勢のまましばらく硬直する。(←しでかした失敗の大きさに合わせて時間を調節する。)

⑨ 相手から「まあ頭を上げて」が出ても2回は拒否する。(←言葉をかけられてもやせ我慢を。嬉しさのあまりいきなり立ち上がっては重みが出ない。)

⑩ しぶしぶの体で顔を上げる。(←相手が肩に触れたら許しが出た合図。わざとよろめいたりしながら不器用に立ち上がること。)

⑪ すがるような目で相手を見る。(←涙を流すのはやりすぎ。ためる程度にとどめること。事前に練習が必要かもしれない。)

⑫ 相手から「なかったことにします」の言葉が出る。(←その場はしのげた。しかしもう少しの辛抱が必要。)

⑬ 相手が立ち去るまですまなそうな表情をキープする。(←先方がいきなり振り向くこともある。ここが最後の我慢のしどころ。)

相手が立ち去った後、

⑭膝に付いた汚れをスマートに2回払う。

 ⑮として、「やり遂げた締めとして唾を吐く」…というものもありましたが、そこまでやってはやり過ぎでしょう。

 基本
的に「押しつけがましさ」が鼻につく土下座ですが、美しく決められれば相手もぐうの音が出ないはず。先方も「普通の人」(そうでない場合の責任は持てませんが…)であれば、土下座するその頭を足蹴にしたり、頭から痰や水をかけたりはできないはずです。

 本当に困った時の最終兵器。古来の伝統や風習というのは実にありがたいものだと言わざるをえません。





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