MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2513 裏金問題は財務省の陰謀?

2023年12月16日 | 政治

 自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金問題を巡り、同派所属の閣僚は12月14日、岸田文雄首相あてにそれぞれ辞表を提出しました。

 交代することになった4人の閣僚、政権の要を担う松野博一官房長官と西村康稔経済産業大臣、鈴木淳司総務大臣、宮下一郎農林水産大臣に加え、自民党の要職にある萩生田光一政調会長、高木毅国対委員長も近く退任する見込みと報じられています。

 安倍派は直近5年間で議員に還流した総額が約5億円に上る可能性が浮上しており、東京地検特捜部は近く政治資金規正法違反容疑で同派閥の強制捜査に乗り出すとされています。

 自民党所属議員の4分の1を超える100人規模を誇る安倍派が閣僚ゼロになるこの事態。さらに影響は安倍派を超えて広がる可能性も示唆されており、首相の求心力に影響するのは必至の状況です。

 政策のふらつきのもと、首相自身が「増税メガネ」などと揶揄される中、岸田政権の支持率の低下に追い打ちをかけるような今回の事態は何故このタイミングで表面化したのか。

 総合情報サイトJ-CASTニュースに、経済評論家で元内閣官房参与の高橋洋一氏が、「裏金問題で考える財務省の思惑と岸田政権の意思」と題する(ある意味大変興味深い)一文を寄せていたので、参考までに小欄にその視点を残しておきたいと思います。

 令和6年度予算編成を控え、大揺れの岸田政権。筆者は今回の政局を財務省発と考えていると、高橋氏はこの論考の冒頭に記しています。

 ちょっと穿った見方だが、岸田文雄首相は親戚縁者が財務省官僚も多いため、財務省にとっては身内の存在。しかし、2023年11月に取りまとめた経済対策で、岸田首相は少し自分を出してしまった。財務省関係者なら口に出してはいけない「減税」がそれだと高橋氏は言います。

 結果として、岸田首相の従兄弟で、元財務官僚の宮沢洋一自民党税調会長は、先の臨時国会では所得税減税を処理せずに来年度に回した。つまりこれは、(件の)所得税減税は来年通常国会で処理するということで、言ってしまえば「簡単にやらないぞ」という財務省の意思表示だというのが氏の見解です。

 11月2日の経済対策の閣議決定では、岸田首相は過年度の税収増3.5兆円を(減税で)「還元する」としていたが、11月8日の衆院財政金融委員会で鈴木俊一財務相は、増加した税収増はすでに使われていると岸田首相のハシゴを正面から外した。

 そして、財務省のこうした「倒閣」まがいのスタンスを見て、検察も自民党議員の裏金問題を表に出す決心をした。財務省(国税庁)と検察はともに国家権力を支える役所として交流が深いこともあり、今回の事案を(形式犯としての政治資金規正法違反だけでなく)税法違反(脱税)までもっていきたい検察は、財務省と水面下で手を握ったというのが高橋氏の見解です。

 財務省としては、岸田首相に「自我」を覚醒させ「減税」を吹き込んだ安倍派幹部をよく思っていない。「安倍晋三回顧録」では、財務省と故安倍晋三首相の暗闘が赤裸々に描かれているが、その流れを汲む安倍派を排除できるのであれば検察の動きを財務省も後押しするだろうということです。

 おそらく、今となっては岸田首相も、芽生えた「自我」を悔やんでおり、この際、検察や財務省の動きを利用し安倍派一掃に出たと見ていいだろうと、高橋氏は推測しています。

 岸田氏はもともと、安倍首相の暗殺後、安倍派を一掃しようと旧統一教会騒動を利用しようとしたフシもある。今度こそ、安倍派一掃で、自前の内閣を持ちたいというのは、政策より人事をやりたいという岸田首相の悲願かもしれないということです。

 傍から見ると、政権支持率などから見て墜落寸前の岸田政権。人事こそ命の岸田首相は、好きな人事を自由にできるので充実感があるのだろうと氏は言います。

 今回の内閣人事で財務省の思惑通りに安倍派を一掃し、財務省に恭順の意を表した岸田政権。しかし、この裏金問題はどこの派閥にも他党にもある。一部新聞は、安倍派では「裏金」、岸田派では「不記載」と表記を変え印象操作しているが、本質的には変わらないというのが高橋氏の認識です。

 政治的には、自民党主流派から安倍派を一掃すれば、次にあるのは安倍派からの報復か。安倍派は会長不在でまとまらないとも言われるが、これから先は仁義なき党内抗争になるかもしれないと高橋氏は話しています。

 いわば「犬猿の仲」とも言える安倍晋三元総理と財務省。陰謀論と言ってしまえばそれまでですが、このような(さもありそうな)話に興味をそそられるのは私だけではないでしょう。

 しかし、どちらが勝っても結局は井戸の中の話。国民そっちのけの争いの中で、自民党の支持率はさらに低下する可能性が高いと話す高橋氏の指摘を、私もさもありなんと受け止めたところです。

 



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