MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2540 「政治とカネの問題」再び

2024年02月08日 | 政治

 国会議員に採用された公設秘書のうち552人の雇用情報が国会のルールに違反し、公表されていなかったことがわかったと1月29日の毎日新聞が報じています。

 国会議員が公設秘書を雇う場合、秘書名や採用日、勤務地などを示す文書を国会に届け出ることが義務付けられているとのこと。一方、これを怠ったまま秘書を雇用している(雇用しているとして給与を受け取っている)議員は衆参両院で273人に上り、その中には岸田内閣の閣僚や野党代表も含まれているということです。

 公設秘書は衆参両院で約2000人いるとされいるが、(そのうちの)「4人に1人」の割合で存在そのものが公になっていなかったというこの話。衆参合わせて710人の国会議員の実に4割が勤務実態が分からない公設秘書を雇っていた計算になると聞けば、その杜撰さには驚かされるばかりです。

 自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件が正解を大きく揺るがしている昨今ですが、さらに、国民の税金を原資とする数十億円にも上るような公設秘書の人件費が、実体がよくわからないまま各議員に支給されていたとすれば、それはそれでかなりの問題と言えるでしょう。

 税金で給与を賄う公設秘書の存在そのものが開示されず、ブラックボックス化が横行している実態が明らかになったと、同紙は改めて指摘しています。雇用情報が分からない秘書を採用したされる国会議員の中には、閣僚や与野党の最高幹部を含む大物議員も名を連ねている。国会議員が自ら襟をただすことを誓った20年前の反省は、もはや影も形もないというのが記事の指摘するところです。

 国会議員が地方議員を公設秘書にしていたケースが与野党で相次いで判明し、問題視されたのは記憶に新しいところ。公設秘書の兼業自体は禁止されていないものの、「兼業できるような業務ではない」「国と地方の(給料の)二重取りではないか」といった批判も相次ぎ、野党からは「政党が自ら律するべき問題」との指摘もあるようです。

 折しも、1月26日に開会した第213回通常国会では、自民党の派閥の政治資金事件を受け、(開会早々から)衆議院予算委員会で「政治とカネ」をめぐる集中審議が行われています。一方、自民党が国会開会前にまとめた党改革の「中間とりまとめ」では、政治資金規正法の改正こそ課題に挙げられているものの、具体的な改正内容には一切触れられていないのが現実です。

 仮にも国会議員足るものが、テレビカメラを前に「知らなかった」「秘書に任せていた」といった情けない言い訳を吐くのは教育上もよろしくありません。

 野党は(集中審議において)自民党派閥の「裏金疑惑」の実態や、関係者の政治責任を明確にするよう求めている由。議員を確実に処罰対象にできるような「連座制」の導入や(実体のない)政策活動費の使途公開など、政治資金規正法の改正に向け議論を戦わせてほしいと願うところです。

 特に今年は、「平成の政治改革」から30年の節目にあたる年とのこと。税金を原資とする「政党交付金」の導入を決めた当時の原点に立ち返り、(今度こそ)時代に合ったしっかりした議論を行ってほしいと願ってやみません。



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