12月6日に「特定秘密保護法」が衆議院に続いて参議院を通過して成立しました。
私は、これは言論の自由をはじめとする基本的人権を大きく侵害し、日本の民主主義の根幹を揺るがすとんでもない悪法だと考えます。なので、この間、市民として、歴史研究者として法案の成立に反対してきました。「特定秘密保護法に反対する学者の会」に賛同者として名を連ねましたし、5日には国会前の抗議行動にも参加しました。私としては異例なことに授業中にこの問題の重要性を学生に話すこともしました。でも、ああ、成立してしまいました。
だからといってあきらめてしまうわけにはいきません。私たちの生きる社会がのびのびとした自由な活動ができるものであり続けるよう(今だってアヤしいものではありますが)、これからもできることを続けます。
この間、主としてFacebookでこの問題に関する情報をやりとりしてきました。伝えたいことは多々ありますが、若い人にもわかりやすい文章になおされた自由法曹団の声明を以下に貼り付けます。この間、独立したジャーナリストとして活発な活動を展開している岩上安身さんのウォールからのシェアです。
★以下、特定秘密保護法案の可決に反対する自由法曹団の抗議声明を、若手弁護士が「超訳」したものを転載します。
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秘密保護法案強行採決なんかダメ!まだまだやりましょう!
12月6日、政府・与党は、参議院で、特定秘密の保護に関する法律(秘密保護法)「修正案」の採決を押し切ってしまいました。かなり多くのみんなが反対している、憲法を踏みにじる法案が、まともな審議もしないで、たった9日間で押し切られてしまったんです。
全国の弁護士2000名が加入している自由法曹団は、こんなとんでもない採決をした政府・与党に、怒りをもって全力で抗議します。
1 秘密保護法が成立すると何が起こるの?
秘密保護法では、
① ナントカ大臣とかいう人たちが、防衛、外交、スパイ、テロと名の付くいろいろな情報を「特定秘密」だと言って、「なにが秘密か」も秘密にします。
② 特定秘密を、メディアや私たち市民、国会議員にも裁判官にも秘密にします。そして、特定秘密を知った公務員・従業員やその家族に対して、身元や家族、交友関係を調査して監視します。
③ 秘密を漏らしたり、なんかよくわからないけど官僚の上のほうにとって都合の悪い方法で情報を得たり、「これってどうなってるのかな?取材しようよ」と内輪で相談すること、「取材してよ」「教えてよ」と頼むことまでも、刑務所に入らなければならないような刑罰を科します。
ナントカ大臣の思うままに特定秘密の指定ができるので、官僚トップが情報を独り占めして、好きなように操作できるようになります。ジャーナリストも一般国民も、国会議員も裁判官も、官僚の「好き勝手」に入っていくことができません。
秘密保護法は、国家安全保障会議(NSC)設置法と同時に生まれました。これは、日本が戦争をできるようにするいろんな法律(「集団的自衛事態法案」や「国家安全保障基本法案」)とつながっています。こんな法律が全部通ったら、この国は「集団的自衛権」を口実に、アメリカが戦争をしたいときに、外国に出て行って人を殺し、殺される国になります。
石破茂さんは、「デモはテロ」だと言って、秘密保護法が民主主義に反することをあらわにしました。秘密保護法が成立しちゃうと、首相の言うことを批判すると「テロ」となってしまい、公安が国民を監視するなんていう社会になっちゃいます。
こんなことは絶対にだめです。秘密保護法は、そういう社会に向けた入口なので、絶対に廃止させましょう。
2 ぼくたちの40日間戦争
秘密保護法案が提出された10月25日から40日くらい経ちました。
この40日間、いろんなところから秘密保護法案は厳しく批判されました。法案の何が問題か、何を目指すものなのかもわかりました。自由法曹団も、法律家の目線から批判しました。
「なぜ必要」「なぜ急ぐ」「なにが指定できる」「どうチェックする」「どう管理する」「調査はどこまで広がる」「なにが処罰される」「国会はどうなる」「裁判はどうなる」「報道の自由はどうなる」・・これらの「問い」に、なにひとつまともな説明はなかったですね。
めちゃくちゃな答弁の結果、法案は一応ちょっと修正されました。
① 秘密は60年間みんなに秘密にするよ。ものによっては永遠に秘密だよ。
② 何をするのかよくわからないけどとにかく内閣総理大臣が何か関与するよ。
③ 決まってなきゃいけない問題は法律が成立したあとで決めるよ。
④ よくわからないものをちょっとこねくりまわして、もっとよくわかんないものにしたよ。
というもので、全然「修正」なんかじゃありません。
世界から見ると、情報は国民みんなに知らされなきゃいけないのに、秘密保護法は全然世界基準についていけてません。
でも、ここまで与党を追い詰めたのは、どんどん国民が声を上げていった、それがどんどん増えていったことです。海外の人たちまで批判してきたでしょ。戦争が嫌だという人、民主主義とか人権が大事だと思う人、情報公開が大事だと思う人、原発やTPPに反対する人も一緒になって、秘密保護法に反対しました。
自由法曹団はいろいろやってきたけど、こんなにいろんな人が反対したっていうことは今までないと思います。
秘密保護法は押し通されました。でも、押し通した政府・与党は、国民からも国際社会からもそっぽを向かれています。
3 明日へ
なにが隠されようとし、なにが認められなくなるのか。
政府・与党は、どんな国と社会をつくろうとしているのか。それが、私たちのくらしとどれだけ深くかかわっているか。
私たちは、この活動で大きなことを学びました。こういう声を、もっと広げていかないといけません。
秘密保護法が実際に動き出すことを止めて廃止を求め、マスコミや国民が情報を得ることができるようにして、誰も逮捕されたりしないように自衛隊や警察を見張りましょう。
国民が望んでもないのにこんなめちゃくちゃなことをやった政府・与党を許さず、国民の声が国会や政治に反映されるようにしましょう。
日本が戦争をできるようにすることをやめさせましょう。
みんなと一緒に秘密保護法に反対したことで、私たち自身が、民主主義と人権を守れる力を持っていることがわかりました。
一緒にがんばったすべての皆さん、自由法曹団ともっと一緒にやりましょう。自由法曹団も全力でがんばります。
2013年12月 6日 自由法曹団 団長 篠原義人
(超訳 自由法曹団東京支部 早田由布子)
私は、これは言論の自由をはじめとする基本的人権を大きく侵害し、日本の民主主義の根幹を揺るがすとんでもない悪法だと考えます。なので、この間、市民として、歴史研究者として法案の成立に反対してきました。「特定秘密保護法に反対する学者の会」に賛同者として名を連ねましたし、5日には国会前の抗議行動にも参加しました。私としては異例なことに授業中にこの問題の重要性を学生に話すこともしました。でも、ああ、成立してしまいました。
だからといってあきらめてしまうわけにはいきません。私たちの生きる社会がのびのびとした自由な活動ができるものであり続けるよう(今だってアヤしいものではありますが)、これからもできることを続けます。
この間、主としてFacebookでこの問題に関する情報をやりとりしてきました。伝えたいことは多々ありますが、若い人にもわかりやすい文章になおされた自由法曹団の声明を以下に貼り付けます。この間、独立したジャーナリストとして活発な活動を展開している岩上安身さんのウォールからのシェアです。
★以下、特定秘密保護法案の可決に反対する自由法曹団の抗議声明を、若手弁護士が「超訳」したものを転載します。
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秘密保護法案強行採決なんかダメ!まだまだやりましょう!
12月6日、政府・与党は、参議院で、特定秘密の保護に関する法律(秘密保護法)「修正案」の採決を押し切ってしまいました。かなり多くのみんなが反対している、憲法を踏みにじる法案が、まともな審議もしないで、たった9日間で押し切られてしまったんです。
全国の弁護士2000名が加入している自由法曹団は、こんなとんでもない採決をした政府・与党に、怒りをもって全力で抗議します。
1 秘密保護法が成立すると何が起こるの?
秘密保護法では、
① ナントカ大臣とかいう人たちが、防衛、外交、スパイ、テロと名の付くいろいろな情報を「特定秘密」だと言って、「なにが秘密か」も秘密にします。
② 特定秘密を、メディアや私たち市民、国会議員にも裁判官にも秘密にします。そして、特定秘密を知った公務員・従業員やその家族に対して、身元や家族、交友関係を調査して監視します。
③ 秘密を漏らしたり、なんかよくわからないけど官僚の上のほうにとって都合の悪い方法で情報を得たり、「これってどうなってるのかな?取材しようよ」と内輪で相談すること、「取材してよ」「教えてよ」と頼むことまでも、刑務所に入らなければならないような刑罰を科します。
ナントカ大臣の思うままに特定秘密の指定ができるので、官僚トップが情報を独り占めして、好きなように操作できるようになります。ジャーナリストも一般国民も、国会議員も裁判官も、官僚の「好き勝手」に入っていくことができません。
秘密保護法は、国家安全保障会議(NSC)設置法と同時に生まれました。これは、日本が戦争をできるようにするいろんな法律(「集団的自衛事態法案」や「国家安全保障基本法案」)とつながっています。こんな法律が全部通ったら、この国は「集団的自衛権」を口実に、アメリカが戦争をしたいときに、外国に出て行って人を殺し、殺される国になります。
石破茂さんは、「デモはテロ」だと言って、秘密保護法が民主主義に反することをあらわにしました。秘密保護法が成立しちゃうと、首相の言うことを批判すると「テロ」となってしまい、公安が国民を監視するなんていう社会になっちゃいます。
こんなことは絶対にだめです。秘密保護法は、そういう社会に向けた入口なので、絶対に廃止させましょう。
2 ぼくたちの40日間戦争
秘密保護法案が提出された10月25日から40日くらい経ちました。
この40日間、いろんなところから秘密保護法案は厳しく批判されました。法案の何が問題か、何を目指すものなのかもわかりました。自由法曹団も、法律家の目線から批判しました。
「なぜ必要」「なぜ急ぐ」「なにが指定できる」「どうチェックする」「どう管理する」「調査はどこまで広がる」「なにが処罰される」「国会はどうなる」「裁判はどうなる」「報道の自由はどうなる」・・これらの「問い」に、なにひとつまともな説明はなかったですね。
めちゃくちゃな答弁の結果、法案は一応ちょっと修正されました。
① 秘密は60年間みんなに秘密にするよ。ものによっては永遠に秘密だよ。
② 何をするのかよくわからないけどとにかく内閣総理大臣が何か関与するよ。
③ 決まってなきゃいけない問題は法律が成立したあとで決めるよ。
④ よくわからないものをちょっとこねくりまわして、もっとよくわかんないものにしたよ。
というもので、全然「修正」なんかじゃありません。
世界から見ると、情報は国民みんなに知らされなきゃいけないのに、秘密保護法は全然世界基準についていけてません。
でも、ここまで与党を追い詰めたのは、どんどん国民が声を上げていった、それがどんどん増えていったことです。海外の人たちまで批判してきたでしょ。戦争が嫌だという人、民主主義とか人権が大事だと思う人、情報公開が大事だと思う人、原発やTPPに反対する人も一緒になって、秘密保護法に反対しました。
自由法曹団はいろいろやってきたけど、こんなにいろんな人が反対したっていうことは今までないと思います。
秘密保護法は押し通されました。でも、押し通した政府・与党は、国民からも国際社会からもそっぽを向かれています。
3 明日へ
なにが隠されようとし、なにが認められなくなるのか。
政府・与党は、どんな国と社会をつくろうとしているのか。それが、私たちのくらしとどれだけ深くかかわっているか。
私たちは、この活動で大きなことを学びました。こういう声を、もっと広げていかないといけません。
秘密保護法が実際に動き出すことを止めて廃止を求め、マスコミや国民が情報を得ることができるようにして、誰も逮捕されたりしないように自衛隊や警察を見張りましょう。
国民が望んでもないのにこんなめちゃくちゃなことをやった政府・与党を許さず、国民の声が国会や政治に反映されるようにしましょう。
日本が戦争をできるようにすることをやめさせましょう。
みんなと一緒に秘密保護法に反対したことで、私たち自身が、民主主義と人権を守れる力を持っていることがわかりました。
一緒にがんばったすべての皆さん、自由法曹団ともっと一緒にやりましょう。自由法曹団も全力でがんばります。
2013年12月 6日 自由法曹団 団長 篠原義人
(超訳 自由法曹団東京支部 早田由布子)